大学で学んでいた分野と全く異なる分野へ進むことを決める人は、実は少なくありません。しかし、新たな道への挑戦には相当な勇気と覚悟が必要です。
株式会社スペースマーケットでバックエンドエンジニアとして働く水沼能嵩さん(24)もその一人。就職活動中に自身の未来へ疑問を抱き、生物学系の学科から、エンジニアへの道を歩むことを決めました。
全く未経験の分野へ進むことを決めた理由は、何だったのでしょうか。また、そのために必要なこととは。水沼さんを取材しました。
スペースを貸し借りするプラットフォーム
株式会社スペースマーケットは、スペースを貸し借りするプラットフォーム「スペースマーケット」を運営。プラットフォームには全国1万9000件以上のスペースが掲載されています。
住宅、古民家、会議室、撮影スタジオ、映画館、廃校など多岐にわたるスペースが、ビジネス・個人問わずに撮影、会議、イベントなどに利用されています。
未経験分野への挑戦
生物学系の学科で学ぶ傍ら、大学4年生の頃にエンジニアとしての勉強を始め、新卒でエンジニアとしてのキャリアをスタートさせた水沼さん。
3社目となる株式会社スペースマーケットでは、サービス内における新規機能の開発を中心に、既存システムの刷新を行っています。
----全く違う分野からエンジニアという道を選んだきっかけはなんだったのでしょうか。
水沼さん:大学4年生で就職活動が始まった時は、自分が生物系の学部だったこともあり、先輩や周りと同じように何となく食品会社の説明会などに行っていました。けれど、あまり興味が湧かなくて、心のそこからやってみたいとは思えなかったために一度就職活動を休んで、改めて自分のキャリアについて考える時間を作るようにしたんです。
そんな時に、エンジニアという仕事が時代の流れとして必要とされているなと感じたとともに、自分で何か1つでも「これができます!」と言えるものを身につけようと考えて、エンジニアになることを決めました。そこからは自分で学習教材などを使って勉強をして、就職活動に挑みましたね。
----なるほど。不安になったり、周りの目などが気になったりはしましたか?
水沼さん:エンジニアになると決めたことは、周りにも親にも言うのが怖かったです。就職活動を始める時までは自分がどんなキャリアを歩んで行きたいかについて真剣に考えたことも無かったですし、親や先生に言われた通り、受動的に生きてきたので、自分の意志で選択すること自体、自分にとっては勇気のいる決断でした。
でも、これから40〜50年働くとなった時に、誰のためでもなく自分が納得できるキャリア選択をしたかったこと、終身雇用の崩壊だったり、様々な不安要素がある中で、自分が社会に対して提供できる何らかのスキルを身につけることが 一番大事だと思ったので、迷いはありませんでした。
----自分から強い意志を持って行動されたんですね。実際にエンジニアになってみてどうでしたか?
水沼さん:「エンジニアの仕事は何をやってるかが分からない」とIT業界以外の人から言われることも多いのですが、僕にとってエンジニアは、自分のちょっとした創意工夫次第で面白い仕掛けをつくることができるので、非常にクリエイティビティに溢れている面白い仕事だと思っています。
もちろん、一定の努力が必要だったり、人によって向き不向きはあるかと思いますが、しっかりとした信頼や経験を積むことができれば、自分の興味がある業界へ横断的に選択することができるくらい汎用性があるということも魅力の一つだと思うので、最初のキャリアの一歩目として、夢のある選択だったなと思います。
シェアハウスで過ごした経験が業界への興味へ
-----スペースマーケットへの入社の決め手は何だったんでしょうか。
水沼さん:まず最初にスペースマーケットを知ったきっかけが、社会人1年目の頃に住んでいたエンジニア向けのシェアハウスだったんです。そこのシェアハウスのオーナーがシェアリングエコノミー協会のアンバサダーも務めている方で、「スペースマーケットというサービスは使いやすくてオススメだよ」と教えてくれたんですよね。
そこから一度は別のスタートアップの会社に転職をしたんですが、経営上の都合で、半年ほどで会社が無くなってしまうことになって、次の会社を探している時にスペースマーケットの求人を見つけました。
シェアハウスでの生活を通じて、シェアリングエコノミーという分野に興味があったことや、これまでの業務経験も評価してもらったことなどから、入社を決めました。
-----シェアリングエコノミーの分野には以前から興味があったんですか?
水沼さん:実際にシェアハウスに住むようになってから興味が湧きました。住む前は分からなかったのですが、実際に住んでみるとこれまでの生活のなかでは会えなかったであろうタイプの方や、非常に行動的で目標をもって突き進んでいる方などと、共に生活することができてすごく楽しかったんです。同じエンジニアの人がいる環境の中で切磋琢磨して、勉強することに対するモチベーションも継続できたので凄くよい経験になりました。
何よりシェアという文化がもっと広まれば、人は場所やものの選択において自由になることができるし、それによってたくさんの人との出会いだったり、色々な機会、挑戦が生まれると思ったんですよね。
----素敵です。実際に入社してみてどうですか?
水沼さん:人が良さに溢れていて、優秀な人が多いなというのを日々感じます。会議の場でも、相手の意見を常に尊重してくれますし、何より挑戦すること自体にかなり寛容な姿勢を持っている方が多いです。
自分もまだ入社して半年ほどではありますが、やりたいことには挑戦させてくれますし、分からないことは素直に伝えれば嫌な顔一つせずに教えてくれるので、凄くよい環境だなと思います。
入って4カ月でプロジェクトマネージャーに
----優秀な方が多いとのことですが、周りと比べてしまって力不足や経験不足を感じたことはありましたか?
水沼さん:エンジニアとして優秀な人がたくさんいるので、技術的な観点でもまだまだ自分は及ばないなと思うことはあるんですが、それ以外の観点で言えば、入社後4カ月でプロジェクトマネージャーをやらせていただいた時に、自分はまだ人をまとめる力が足りないなと感じましたね。
「ここはこういう風に進めてくれているだろうな」と自分の勝手な想定で動いていた部分があったので、プロジェクトの終盤になって初めて微妙にチームメンバー間で認識がずれてしまっていることに気が付くという場面もありました。そのため、これからはもっと密に連携を取りながらプロジェクトを推進したいと思います。
----仕事をするうえで大切にしていることはありますか?
水沼さん:なるべく「できません」と言わずに、やりたいと思ったことには手を挙げて挑戦するということは意識しています。何にでも前向きな姿勢が大事かなと。できることは1つ1つ増やしていきたいです。
直近でやっているプロジェクトも難易度が高めなのですが、やりたいという何事にも前向きな姿勢を評価してもらって、やらせてもらっています。
----挑戦がキーワードですね。では学生時代の水沼さんと同じように、キャリアへ悩む同世代へメッセージをお願いできますでしょうか。
水沼さん:
重複してしまうのですが、とにかく、やりたいと思ったら挑戦して欲しい。それに尽きます。興味があることにはとりあえずやってみる。それで失敗してしまっても、「これは向いてなかったんだな」と分かるので、決して無駄にはならないです。むしろ、若いうちなら多少の失敗も巻き返せると思っています。
自分自身も、会社や世の中に対して、自分の技術や領域で提供できる価値や強みを生かして、やりたいことには心の赴くままに挑戦していきたいなと思っています。
----ありがとうございました!
学生時代は受動的だったとは思えないほど、仕事に対するアグレッシブで前向きな姿勢が印象的だった水沼さん。自分の興味があることには挑戦したいと強い瞳で語ってくれる姿には、勇気をもらえました。
インタビュー中に「辛いことがあった時の乗り越え方」を聞いてみると、「辛さは成長痛だと思って前向きに捉えています」と明かしてくださり、その言葉からも、水沼さんが未経験ながら成長し続けてこられた理由が感じられました。
自分の進む道に少し疑問を持った時が、未来や自分を変える分かれ道なのかもしれません。
出典元:株式会社スペースマーケット
出典元:スペースマーケット
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