例えば、志望していた企業の選考を通過できなかった時。例えば、留学がしたかったのにコロナ禍の影響で叶わなかった時。
夢に向かって邁進する若手ビジネスパーソンは、きっと「うまくいかないこと」「自分の力ではどうすることもできないこと」などに直面することもあるでしょう。
そんな時は、どんな風に思考を転換して乗り越えて行けばよいのでしょうか。
株式会社ジコリカイの「自己理解コーチ」として活躍する須藤勇馬さん(25)は、学生時代にフィリピンのセブ島にてスタディーツアーを学生向けに提供。起業して波に乗っていた矢先、コロナ禍の影響でやむなく事業をストップしました。
その後、自身で壁を乗り越えて、キャリアコンサルタントという道を選択し、現在は自己理解コーチとして活躍中です。
どのように壁を乗り越え、どのようにして今のキャリアに進むことができたのでしょうか。詳しく話を聞きました。
「3カ月・10STEPでやりたいこと探しを終わらせる」自己理解プログラム
株式会社ジコリカイは、「3カ月・10STEPでやりたいこと探しを終わらせる」をコンセプトとした自己理解プログラムを提供。自己理解メソッドを元に、二度とやりたいことで迷わない人生を手に入れるための社会人向けプログラムです。
2021年5月からはコーチ養成講座「自己理解コーチアカデミー」を開講し、今年2月時点で、これまで合計35人の自己理解コーチを輩出してきました。
同社の自己理解メソッドをまとめた八木代表による著書『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』は、世界4カ国で合計27万部発行されており、手に取ったことがある人もいるのではないでしょうか。
「人生が変わる海外体験」をコンセプトにセブ島で起業
須藤さんは大学時代、「人生が変わる海外体験」をコンセプトにセブ島にて起業。現地の大学で講師を勤めながら、セブ島スタディツアーを行っていました。
その後、キャリア教育に舵を切ることを決意し、キャリアコンサルタントの国家資格を取得。同社の自己理解メソッドに感銘を受けたことがきっかけで、自己理解コーチとしての活動を2021年9月頃にスタートしました。
-----なぜセブ島で起業しようと思ったのですか?
須藤さん:自分自身が過去の"海外経験"により考え方が大きく転換したため、「日本人を海外に連れて行くことで、自分自身や人生について考えるきっかけを提供できるのでは?」と考え、スタディツアーの事業を始めました。
私は中学時代にいじめを受けており、ずっと自分を押し殺して生きてきたのですが、縁あってフィリピンに留学する機会に恵まれました。そこで、電気や水が通っていないのに幸せに笑う現地の人たちに囲まれ、「幸せ」について改めて考えるきっかけになりましたし、何より「自分から動くことの大切さ」を学びました。留学は、考え方や物事の捉え方を大きく変えてくれたんです。
-----そうだったんですね。実際に事業を始めてみて、いかがでしたか?
須藤さん:100人以上の大学生をフィリピンに送ることができました。
世の中には、過去の私と同じように「そもそも自分自身を見つめ直したり振り返ったりするきっかけがない」人が多いと思っています。
スタディツアー参加者の多くは、日本文化を現地の人に紹介したり、現地の学生と一緒にSDGsやLGBTQについてディスカッションしたりすることで、「もっと自分も思考しなければ!」といった危機感や「なぜ現地の人はこんなに幸せそうなのか」といった幸福に関する疑問などを抱くことになります。
そうした"自分自身を振り返るきっかけ"を提供することができたという点では、この事業の意義も見出せましたし、可能であれば続けたかったですね。
コロナ禍で事業継続を断念し、キャリア教育へ
事業を通じて「海外体験は人生を変える」と確信した須藤さん。しかしコロナ禍で海外渡航が叶わなくなり、事業をストップせざるを得ない状況に陥ってしまったといいます。
-----自分の力ではどうすることもできない状況で、きっと苦しかったですよね。
須藤さん:はい、1年半ぐらいは何も手につかない状況でした。英会話講師の仕事は続けていましたが、「これは本当に自分がやりたいと思っていることではない」と思ってしまうなど、どんどん思考がネガティブな方へ向かってしまっていました。
-----そこから、どのようにしてキャリア教育に舵を切り直すことができたのですか?
須藤さん:改めて自分の中で「スタディツアーの事業は、何を目的として行っていたのか」「自分が提供したい価値とは何か」を見つめ直してみたことがきっかけです。
その結果、自分が人々に届けたいのは「新しい生き方」を考える"きっかけ"であることに気が付き、スタディツアーはそのための手段に過ぎないのだと腹落ちすることができました。
その後「キャリア教育」「キャリアコンサルタント」という言葉に出会い、「自分がやりたいことはこれだ!」と閃いたのです。
-----そうしてキャリアコンサルタントの資格を取得されたんですね。自己理解コーチになろうと思ったきっかけは?
須藤さん:八木代表の書籍『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』を読んだことがきっかけでした。
スタディツアーを振り返って「楽しかった!」と感想を述べてくれる人は多くいらしたのですが、その経験を自分のキャリアや未来にうまく組み込めているかと言うと、必ずしもそうではないと感じていて…。
どうすればそういったきっかけや経験を、その後の人生に組み込むことができるのか、その方法について答えが見出せなかった時に、この本で提唱されている「自己理解メソッド」に出会ったんです。
「このメソッドがあれば再現性を高めることができるはずだ」と確信し、自己理解コーチ養成講座を受けて活動をスタートすることにしました。
「この仕事をずっとしたい」と思えるように
須藤さんはこれまでに10人以上のクライアントに対し、自己理解プログラムを提供してきました。
-----一番印象に残っているクライアントは?
須藤さん:不安の気持ちが大きく、話をしている最中に涙を流してしまう方がいらっしゃいました。
私はとにかくメソッドを活用して「課題を整理する」「受け止める」に徹したアプローチをとっていたのですが、時にはこちらも「大丈夫かな…?」と不安になることがありました。
しかしプログラム終了後には、笑顔で「これまでの人生のモヤモヤが晴れました!」と伝えてくださったんです。オンラインなのに、最終日には大きな花束を用意してくださり、私に見せてくださいました。
この時初めて「自分がやりたいことで、こんなに喜んでもらえるなんて嬉しい!」「私はこの仕事をずっと続けていきたい!」と思えましたね。
-----これまで本当にさまざまな経験をされてきたと思いますが、須藤さんは何か壁に直面した時、どのような思考を心がけていますか?
須藤さん:いつも「努力の量」「努力の質」「努力の方向性」の3軸で考えるようにしています。
この3つをクリアしているのであれば、その努力を中長期的に続けていけば目的は達成されると考えているので、何か壁に直面した時はこの3つのうち改善すべき軸があるかどうかを見極めます。
スタディーツターを実施できなくなった時も、「努力の量」「努力の質」の向上に時間と労力を費やしても仕方がないと判断して「努力の方向性」に目を向けたところ、新しいキャリア教育というキーワードに巡り合えました。
自己実現のサポートもしていきたい
-----最後に、今後の展望についてお聞かせください。
須藤さん:縦軸としては、今後さらに自己理解を広めたいと思っており、横軸としては「自己理解」に留まらず「自己実現」までをサポートできるようなコーチを目指したいと思っています。
コロナ禍がおさまったら、もちろんスタディーツアーも再開したいです!
スタディーツアーの継続が叶わなくなってしまった当時の自分について「崩れ落ちてしまった」という表現を使うほど落胆してしまった須藤さんですが、「自分がやりたいことは何か」と目的に立ち返ったことで、新たな夢を見つけることができました。
今まさに「やりたかった仕事に就けなかった」などの壁に直面している人は、一度自分自身を見つめ直して、手段の向こうにある"目的"に立ち返ってみると、新たな道が拓けるかもしれませんね。
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