日本語を学ぶ人に日本語を教える、日本語教師になりたいと興味を持っている人もいるのではないでしょうか。
日本映画やアニメなどの影響から日本語を学ぶ人も増えており、注目されている職業です。
本記事では、日本語教師になる主な3つの方法や年収、向いている人の特徴などの日本語教師になりたい人が知っておきたい情報をご紹介します。
本記事を参考に日本語教師になるための一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
- 日本語教師が活躍しているシーン・主な勤務先や働き方
- 日本語教師に向いている人の特徴
- 日本語教師になるための主な3つの方法
日本語教師とは?
そもそも日本語教師とは、どのような職業のことを言うのでしょうか。
日本語教師とは、日本語を母国語としない外国人に日本語の文法や話し方などを教え、日本語の文化や歴史などを伝える仕事のことをいいます。
日本語教師になるために資格は必要ありませんが、企業や学校などで日本語教師になるためには、資格を持っておかなければ就職できないケースが多いです。
公認日本語教師とは?
日本語教師になるための資格は必要ないとご紹介しましたが、現在日本では公認日本語教師と呼ばれる国家資格が導入される可能性が高くなっています。
日本には日本語教育人材の数は約4万人いると言われています。しかし、その約6割がボランティアの日本語教育人材であるため、職業として日本語教育をしている人はかなり少ないのが現状です。
また、日本語を学ぶ人の国籍や職種、目的が多様化しているので、これらのニーズにあった専門性の高い日本語教師が求められています。
日本語教師の需要が高まる中、より多様化したニーズに適応できる日本語教師を増やすためにも将来的には国家資格として公認日本語教師が導入されるでしょう。
参考:文科省「日本語教師の資格の在り方について(報告)」
日本語教師の仕事内容
日本語教師は実際にどのような仕事を行っているか気になっている人も多いのではないでしょうか。
企業や学校機関で働く日本語教師の場合は、カリキュラムに沿って授業を行います。また、独立して教師をしている場合は、教材を準備したり、学習プランを検討したりなど、生徒の学習のペースやニーズに合わせて指導を行います。
また、生徒の出入国の管理や自治体の文化イベントに参加するなどの仕事もあります。
日本語教師が活躍しているシーン・主な勤務先や働き方
一口に日本語教師といっても働き方は様々です。
日本語教師の活躍しているシーンや勤務先を知って、どのような教師になるかを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
国内外の教育機関・日本語学校
日本国内の教育機関で日本語を教える人もいれば、海外の教育機関で日本語を教える人もいます。
日本に来ている外国人は、実践的な日本語の授業を求めているのに対し、海外にいる外国人は趣味程度に日本語を勉強したい人が多い現状です。
また、海外の教育機関で日本語を教える人は、多くの場合永住するため、競争率が高い可能性があります。
さらに、働き方も専任としてひとつの教育機関専門として働く働き方や、非常勤講師としていくつかの教育機関をかけ待ちする働き方があります。
日本で働くか海外で働くかだけではなく、専任で働くか非常勤講師として働くかを考えておくことをおすすめします。
企業やビジネスシーンでの研修
企業やビジネスシーンで日本に働きに来ている外国人に研修を行う日本語教師もいます。
専門的な企業で働く外国人に日本語を教える場合、専門用語の知識が必要になる場合もあります。例えば、IT企業のエンジニアとして働く人と、病院で看護師として働く人ではビジネスシーンで使う言葉が異なります。
日本語教師として、業界の知識を持っておくことが求められているでしょう。
オンラインレッスン
日本にいる日本人がオンライン英会話レッスンをしているのと同様に、海外にいる外国人も日本語をオンラインレッスンで学びたいと思っています。
そのため、日本語教師のオンラインレッスンの求人は多々あり、日本語教師の需要は高いです。
オンラインレッスンでは、日本語を話したいと思っている外国人と日本語をゆっくり話したり、文法を教えたりなど様々です。
オンラインレッスンの日本語教師になるためには、採用条件をクリアする必要がありますが、無資格でもできる仕事もあります。フリーランスとしてオンラインレッスンをしている人も多く、始めやすいのではないでしょうか。
プライベートレッスン
日本語をもっと深く学びたいという外国人を対象にプライベートレッスンを行うこともあります。
プライベートレッスンは相手の日本語の理解度に合わせて教え方を変えたり、カリキュラムを変更したりする必要があります。相手に合わせてプランを立てる必要がありますが、その分柔軟に日本語を教えることが大切です。
プライベートレッスンは、長期的な顧客を獲得でき、生徒と仲良くなれることなどがメリットです。
正社員だけではなく、副業やセカンドライフとして日本語教師をする人も多い
日本では、約60%の日本語教師がボランティアとして働いています。
また、日本語学習に関する調査報告書によると、非常勤教員が 55.2%を占めていると発表されています。
参考:栃木県「日本語学習に関する調査報告書」
つまり半数以上の人が正社員になれていないのが現状です。日本語教師として生活していくためには、まずは副業として日本語教師をしていくのも一案です。
日本語教師の年収の目安
日本語教師の年収が気になっている人も多いのではないでしょうか。
給料BANKによると、日本語教師の平均年収は346万円〜453万円といわれています。
また、初任給は18万円〜とかなり低い傾向があります。
参考:給料BANK
しかし、経験を積んだ40代以上になると、年収も500万円を超えている人もいます。企業に勤める場合は、キャリアを積んだときの給料も確認しておくといいでしょう。
独立して日本語教師を行う場合は、働き方や授業の内容に合わせて、自分が続けやすい金額を設定するといいですね。
日本語教師に向いている人の特徴
自分は日本語教師に向いているか不安になっている人もいるのではないでしょうか。
以下では、日本語教師に向いている人の特徴をご紹介します。
1.異文化の背景や、異なる価値観を認められる人
日本語教師に向いている人の特徴の1つ目は、異文化の背景や、異なる価値観を認められる人です。
日本で生まれ育った場合、無意識であっても自分の文化を判断の基準としています。
異文化の価値観や背景を「自分とは違うから」と排斥するような態度を取ると、生徒から信頼されることは難しいでしょう。
例えば、家族への考え方や、宗教への考え方など日本と他の文化では異なっていることも多いもの。
また、日本では丸が決定・正解、バツがキャンセル・不正解という意味を持っていることが当たり前です。しかし、海外の場合、バツが決定や正解の意味を持つことがあります。
日本ではこうだから世界でも同じと捉えるのではなく、誤解を与えないためにも異文化の知識を知り認められる人が向いているといえるでしょう。
2.日本の文化・歴史なども伝えられる人
日本語教師に向いている人の特徴の2つ目は、日本の文化・歴史なども伝えられる人です。
日本の言葉には、日本の文化や歴史が反映されていることがほとんどです。
例えば、尊敬語・謙譲語・丁寧語などの相手を敬う言葉が多々あることは、日本人の奥ゆかしさが現れているといえます。
また、言葉の裏にある歴史的な背景だけでなく、現在の日本の文化や歴史、政治的な内容に興味を持つ生徒もいるでしょう。このような言葉に現れる歴史や言葉の成り立ちを説明し、もっと日本語や日本語の文化に興味を持ってもらえるよう、日本についての理解も深める必要があります。これらを楽しんで行える人は、日本語教師に向いているといえるでしょう。
3.教えることが好きな人
日本語教師に向いている人の特徴の3つ目は、教えることが好きな人です。
誰かにわかりやすく道筋をたてて教えることは、難しいことです。特に、日本語を母国語としない人に、教えることは簡単なことではありません。
教えること自体が好きな人や、根気をもって教えられる人は、教師に向いているといえるでしょう。
4.主体性がある人
日本語教師に向いている人の特徴の4つ目は、主体性がある人です。
日本語教師は、日本語を教えるために日本語だけではなく日本の文化や歴史、相手の文化や歴史などを学ぶ必要があります。
学ぶべき範囲が広い中、主体性を持って自ら学べる人は日本語教師としても活躍できる人です。自分の能力に満足せず、さらなる高みを目指して勉強をしていきましょう。
5.面倒見がいい人
日本語教師に向いている人の特徴の5つ目は、面倒見がいい人です。
言語学習は、言葉をそのまま覚えるのではなく、文化的な背景を理解することも重要です。そのため、異文化で育った人には理解することが難しい内容もあるでしょう。そのようなときでも、諦めず、相手に理解してもらえるまで根気よく付き合える人が教師として向いています。
相手のニーズに合わせて先回りして動けるような面倒見のよさも、教師としての信頼を得られやすいでしょう。
日本語教師になるための主な3つの方法
日本語教師になるためには資格は必要ありませんが、企業や教育機関などに勤める際には、以下の3つの条件が課されることがほとんどです。
独立するのではなく就職を目指す場合は、以下の3つの方法のいずれかを満たしておきましょう。
日本語教育能力検定試験
日本語教師になるための主な方法の1つ目は、日本語教育能力検定試験です。
日本語教育能力検定は、文化審議会国語分科会による「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改定版」によって、出題内容が決められています。
テキストを買えば、独学でも努力次第では合格できる試験だと言われています。
日本語教師養成講座
日本語教師になるための主な方法の2つ目は、日本語教師養成講座です。
日本語教師養成講座は、420単位時間以上の日本語教育に関する研修を受けます。
文科省によると、以下のように日本語教員の要件が発表されています。
新基準の第1条第1項第13号ニにおいて,日本語教員の要件のひとつとして,「学士の学位を有し,かつ,日本語教育に関する研修であって適当と認められるものを420単位時間以上受講し,これを修了した者」と定められています
引用:文科省「日本語教員養成研修の届出について」
つまり、420単位時間以上受講し修了した者に加えて、学士の学位を有することが必要なことを覚えておきましょう。
日本語教育主専攻・副専攻プログラム
日本語教師になるための主な方法の3つ目は、日本語教育主専攻または副専攻プログラムです。
日本語教育主専攻・副専攻プログラムは、大学や大学院で修了することが可能です。
現在高校生以下の人で、日本語教師になりたいと思っている人は、大学を卒業した上で日本語教師になることをおすすめします。大学で日本語教育について学ぶことで、じっくりと日本語教育を学べるだけではなく、将来的な給料も上がる可能性が高いです。
日本語教師に必要な資格
すでにご紹介したとおり、日本語教師をするためには資格は必要ありません。しかし、日本語教師をするために資格を持っておいたほうがいいケースがあります。
以下では、日本語教師の資格事情について更に詳しくご紹介します。
特別な資格は必要ではないが、勤務先によって異なる条件があることも
日本語教師になるための資格は必要ありませんが、すでに説明したように働く場所や日本語学校の場合働くための条件が課されていることがほとんどです。
例えば、4大卒(4年制の大学を卒業した人)や、授業経験が◯年以上などの条件があります。
また、上記でご紹介した日本語教育能力検定試験・日本語教師養成講座・日本語教育主専攻・副専攻プログラムのいずれかひとつを満たす人が条件であることが多いです。
日本国内で日本語学校の教員になるために必要な資格
日本語学校の教員になるために取っておきたい資格のひとつに、日本語教育能力検定資格があります。
日本語教育能力検定資格の合格率は約30%と、難関ではありますが努力次第で合格することは可能です。
日本国内で日本語学校の教員になるための資格について詳細に知りたい人は「日本語教師に必要な資格とは?国家資格・日本語教育能力検定試験の詳細を解説」を参考にしてくださいね。
日本語教師のキャリアパス
日本語教師は専門性の高い職種のため、他の職種にキャリアパスするより専門性を高める人が多いです。
ボランティアで働いている人が、正規雇用の日本語教師になったり、海外の日本語教師になったりと働き方や活躍の場を変えることもあります。
その他、日本語を教える面白さに目覚めて大学の教授になったり、日本語教師を目指す人に対して日本語を教えたりするなどのキャリアパスもあります。
自分らしい日本語教師としての働き方を考えてみよう
- 日本語教師として働くための資格は必要ない
- 日本語教師は授業をする以外にも生徒のサポートを行う
- 日本語教師の平均年収は346万円〜453万円
- 多くの日本語学校は、働くための条件がある
本記事では、日本語教師の年収や仕事内容、向いている人の特徴などをご紹介しました。
日本語の言語だけでなく、日本の歴史や文化など幅広い知識が求められる日本語教師。日本語を学びたいと熱い思いがある学生に日本語を教える喜びはひとしおです。
国内・海外、企業への勤務からプライベートレッスンなど様々な働き方があるからこそ、自分らしい日本語教師としての働き方を見つけてみましょう。
【関連記事】
使える資格とは?スキルアップに役立つ資格25選の難易度や受験資格、合格率などを紹介
「スキルアップのために、資格の取得を考えている」「どのような資格を取ればいいかわからない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。 本記事では、使える資格の選び方やおすすめの資格などを紹...
【長所一覧】就活の自己PRや面接での長所のアピール方法、短所の言い換えを紹介
就活の面接や自己PRで頻出の「あなたの長所は何ですか?」の質問は、回答を事前に用意していないと上手に答えられない質問のひとつです。 本記事では、長所をアピールするときの方法や長所一覧・例文...
【心理学】マズローの欲求段階説(マズローの法則)とは?6つの欲求の意味や活用方法を詳しく紹介
マズローの欲求段階説は、看護・薬学などの医療分野だけではなく、マーケティングやビジネスなどでも広く活用されています。 本記事では、マズローの欲求段階説の段階ごとの説明や分類を解説。また、マ...
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう