日本語教師になるために資格を取ろうと思っている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、日本語教師になるために取っておきたい日本語教育能力検定資格・日本語教師養成講座について詳しくご紹介します。
どのような資格を取ればいいか悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
- 日本語教師になるために資格は必要?
- 日本語教師を目指せる「日本語教育能力検定試験」
- 日本語教師になるための「日本語教師養成講座」
日本語教師になるためには資格は必要?
日本語教師と聞くと、学校の先生のように資格が必要だと思っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、実際には日本語教師になるために資格は必要ありません。以下では、日本語教師の資格事情をご紹介します。
資格がなくても日本語教師にはなれる
日本語教師になるためには必ずしも資格は必要ありません。そのため、日本語を外国人に教えたいと思った時点で、日本語教師として働くことが可能です。
しかし教育機関や、働く企業や場所によっては、特定の資格や条件が必要になる可能性はあります。
例えば多くの日本語学校では、法務省による日本語教育機関の運営に関する基準と日本語教育振興協会の基準を採用しています。
以下は、日本語教育機関の運営に関する基準の引用です。
日本語教育機関の教員は次の各号の一に該当するものとする。
一 大学(短期大学を除く。)において日本語教育に関する主専攻(日本語教育科目45単位以上)
を修了し、卒業した者
二 大学(短期大学を除く。)において日本語教育に関する科目を 26 単位以上修得し、卒業した者
三 日本語教育能力検定試験に合格した者
四 次のいずれかに該当する者で日本語教育に関し、専門的な知識、能力等を有するもの
(1) 学士の学位を有する者
(2) 短期大学又は高等専門学校を卒業した後、2 年以上学校、専修学校、各種学校等(以下「学
校等」という。)において日本語に関する教育又は研究に関する業務に従事した者
(3) 専修学校の専門課程を修了した後、学校等において日本語に関する教育又は研究に関する業
務に従事した者であって、当該専門課程の修業年限と当該教育に従事した期間とを通算して 4
年以上となる者
(4) 高等学校において教諭の経験のある者
五 その他これらの者と同等以上の能力があると認められる者
引用:法務省「日本語教育機関の運営に関する基準」
第5項にあるように「その他これらの者と同等以上の能力があると認められる者」と書いているため、資格がなくても能力さえあれば教えることはできることがわかります。
日本語教育振興協会の基準では、以下のように記載されています。
教員の資格
基準11(教員の資格)第四号の「日本語教育に関し、専門的な知識、能力等を有するもの」とは、学士の学位を有する者及び高等学校において教諭の経験のある者については、学校、専修学校、各種学校等における日本語に関する教育若しくは研究に関する業務に1年以上従事した者又は420時間以上日本語教育に関する研修を受講した者とする。
日本語の教員としての資格を満たさない者については、収容定員に必要な教員数として認めないものとする。引用:日本語教育機関審査内規
つまり、「学士の学位があり420単位時間以上受講する」「日本語教育能力検定試験に合格」「大学で学ぶ」などの条件が仕事の応募に必要なことがあるので、就活をする際は注意して応募しましょう。
公認日本語教師として国家資格が新設される
現在日本では、公認日本語教師としての国家資格が新設される動きがあります。
現時点(2022年2月)ではまだ、公認日本語教師の国家資格の法案が施行されるかどうかは確定されていません。しかし、質の高い日本語教師を確保するために国家資格が新設される可能性は高いです。
公認日本語教師が新設される背景
今まで資格がなくても就業できた日本語教師を国家資格とするのはなぜでしょうか。
現在、日本語教育人材の数は約4万人いますが、約6割はボランティアであり、職業としての日本語教師が約4割しかいないことが問題視されています。また、日本語学習をする人の国籍や職業が多様化していることから、多様なニーズに対応できる専門家が必要とされています。
これらの背景から、日本語教育の専門家を育成するためのとして国家資格の新設が検討されているのです。
参考:文科省「日本語教師の資格の在り方について(報告)」
日本語教師を目指せる「日本語教育能力検定試験」
日本語教師になるための資格として一般的なものに日本語教育能力検定試験があります。
日本語教師に関する多くの求人で日本語教育能力検定試験が条件に出されるほど、有名な資格です。
以下では、日本語教育能力検定試験の内容や難易度、費用など気になる点をご紹介します。
日本語教育能力検定試験の内容
日本語教育能力検定試験の出題内容は、以下のとおりです。
- 社会・文化・地域
- 言語と社会
- 言語と心理
- 言語と教育
- 言語一般
もっと詳細に日本語教育能力検定試験の出題内容を知りたい人は「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改定版」を参考にしてくださいね。
日本語教育能力検定試験の難易度
日本語教育能力検定試験の難易度は、合格率は例年約30%弱です。
試験を受けた10人に3人は受かっているので、他の難関資格と比較するとそれほど難しい資格ではないといえます。
参考:公益財団法人日本国際教育支援協会「日本語教育能力検定試験 応募者・全科目受験者・合格者数 推移」
日本語教育能力検定試験は独学でも合格できる?
日本語教育能力検定試験を独学でも合格できるか不安に思っている人もいるのではないでしょうか。
「日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第5版」や、過去問を使用して勉強することで合格することは可能です。
特に日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイドのみでも合格できるほど、内容が優れています。テキストは3500円ほどなので、手にとってみてはいかがでしょうか。
日本語教育能力検定試験の取得に必要な費用
日本語教育能力検定試験の受験料は、14500円です。また、上記でご紹介したテキスト(3500円)に加え、過去問数年分のテキスト代を加えると、全体で2万円強掛かる可能性が高いです。
過去問一年分のテキストは、1500円程度で購入できるため、お財布と相談しながらどの程度過去問を解くか考えてみましょう。
過去問を解く人は、なるべく最新の過去問を手に入れて傾向を把握しましょう。
令和3年現在の場合「令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験問題」を解くことをおすすめします。
日本語教育能力検定試験を取得するための要件
日本語教育能力検定試験は受験資格は必要ありません。そのため学歴・職歴関係なく受験できるので、挑戦したいと思っている人は勉強を始めてみましょう。
日本語教師になるための「日本語教師養成講座」
日本語教師になるための「420時間カリキュラムを修了」という目標を達成できるのが日本語教師養成講座です。
しかし、日本語教師養成講座のみで日本語教師になれるわけではなく、学士の学位を有することが必要です。
学士の学位を有することは、以下の新基準で追加されたので注意が必要です。
新基準の第1条第1項第13号ニにおいて,日本語教員の要件の一つとして,「学士の学位を有し,かつ,日本語教育に関する研修であって適当と認められるものを420単位時間以上受講し,これを修了した者」と定められています
引用:文科省「日本語教員養成研修の届出について」
日本語教師養成講座を開設している学校は複数あるので、自分にあった講座を探すことが大切です。
日本語教師養成講座の内容
日本語教師養成講座は、どこの学校を選ぶかで内容が異なります。
理論192時間、実技156時間、実習134時間と、420時間を大きく超えるカリキュラムを組んでいる学校があったり、理論学習と実技学習で分けたカリキュラムがあったりします。
そのため、自分がどの内容を主に学びたいのかを考えてから学校を選びましょう。
日本語教師養成講座に必要な費用
日本語教師養成講座に必要な費用は、どの学校に通うかで異なってきます。
ヒューマンアカデミーの日本語教師養成講座では、コースによりますが495,000円〜593,440円ほどかかります。
アークアカデミーの日本語教師養成講座では、418,000円〜462,000円ほどかかります。
日本語教育能力検定試験よりもお金がかかってしまいますが、独学が苦手な人は日本語教師養成講座を受けてみるのも一案です。
日本語教師を目指すなら試験や講座の利用もおすすめ
- 日本語教師になるために資格は必要ないが、教える場所によって必要になるときもある
- コスパを考えて独学をするなら日本語教育能力検定試験がおすすめ
- 講座を受けたいなら日本語教師養成講座がおすすめ
本記事では、日本語教師を目指す人が持っておきたい資格をご紹介しました。
日本語教師として働くためには、特に資格は必要ありませんが、企業に勤めたい場合は「学士の学位があり420単位時間以上受講する」「日本語教育能力検定試験に合格」「大学で学ぶ」などが条件になることがあります。
日本語教育能力検定試験は、独学でも取得可能ですし、独学だと挫折しそうな場合は日本語教師養成講座を受けるのもよいでしょう。
どの方法を選ぶか・どのように日本語を教える力を身につけるかなどを考えて、日本語教師になる道を探してみてはいかがでしょうか。
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