通訳の仕事に興味を持っている人や、年収、向いている人の特徴などを知りたい人もいるのではないでしょうか。
本記事では、通訳の仕事の種類や活躍シーン、年収などの、通訳の仕事を志す人に知っておきたい内容をご紹介します。必要なスキルも紹介しているので、通訳になるための参考にしてくださいね。
- 通訳の仕事の種類・活躍シーン
- 通訳の働き方・年収
- 通訳になるための方法・求められるスキル
通訳とはどんな仕事?主な仕事内容を解説
異なる言語と言語を結びつける通訳の仕事は、なんとなくイメージはつきますが、具体的にどのようなことをやっているのかわからない人もいるのではないでしょうか。
通訳の仕事は、ある言語を違う言語に置き換えるような仕事ではありません。
その言葉の本質的な意味や文化の違いなどを踏まえた上で意味を翻訳し、コミニケーションできるようにする仕事です。
例えば「覆水盆に返らず」は英語では「It is no use crying over spilt milk.」と言います。単に「Do not return to the water basin.」と文字を訳すのではなく、その文字の裏に隠された意味ごと訳す必要があります。
言葉のバックグランドを踏まえた上で、他言語に変換するおもしろさを実感できるやりがいのある仕事だといえるでしょう。
通訳の仕事の種類
通訳と聞くとニュースや記者会見などの同時通訳をイメージする人も多いのではないでしょうか。
実は通訳には大きく分けて以下の3つの仕事内容があります。通訳の仕事内容を押さえて、どのような通訳になりたいのかを考えてみましょう。
同時通訳
相手の話していることを即座に違う言語に変える通訳のことを「同時通訳」と言います。
相手の話していることを聞いた瞬間に通訳する必要があるので、高い集中力と言語能力が必要とされています。
同時通訳は海外のニュース番組や国際的な議会などでも行われています。集中する必要があるので、チームを組んで15分交代など通訳することも珍しくありません。
同時通訳をするためには、国際的なマナーやストレスに打ち勝つ力なども必要になることを頭に入れておきましょう。
逐次通訳
同時通訳よりも時間をかけて通訳する「逐次通訳」は、会話の区切りごとに通訳を行います。
逐次通訳は時間をかけて通訳できますが、その分正確性を求められることが多いです。
逐次通訳は企業の打ち合わせや商談などの専門的な知識が必要とされます。母国語の段階で身についていない知識は、当然他言語で話せません。
そのため、まずは幅広い知識を身につけることが大切です。
ウィスパリング通訳
「ウィスパリング通訳」とはその名の通りささやきながら通訳をすることを言います。
同時通訳の技術に加えて、相手との距離の近さや声の大きさなどにも気を配る必要がある難易度が高い通訳です。
通訳が活躍しているシーン
通訳が具体的にどのようなところで活躍しているのか気になる人もいるのではないでしょうか。以下では通訳が活躍しているシーンをご紹介します。
ビジネスシーン・会議・コミュニティでの通訳
通訳はビジネスシーンでも需要が高い職業です。
例えば、日本から海外へ取引先の視察を行うときや、海外から日本に視察が来たときなどのシーンで通訳が仕事をします。通訳が間違えていたり、意図と違った伝え方をしたりすると取引が残念な結果に終わる可能性があります。
通訳次第で、その後の取引内容が変わるというプレッシャーの中で通訳をする必要がある難しい仕事です。
また、通訳として最も難易度が高いと言われているのが国際会議。国と国の関係を左右する通訳の仕事は、自国の文化だけではなく相手の国の文化を詳しく押さえておく必要があります。専門知識や海外の状況など様々な知識を持って、通訳をする隠れた橋渡し役であると言えるでしょう。
エスコート通訳
エスコート通訳とは、海外の芸能人やアスリートなどに連れ添って通訳を行う人のことを言います。
エスコート通訳は、通訳だけではなく身の回りの生活やスケジュールの管理などにも携わることもあります。
芸能関係の仕事の場合は、コネクションや芸能会社で働いていることが大切になります。どのような仕事をしたいかどうかを考えて、会社を決めるのも一案です。
通訳案内(通訳ガイド)
通訳案内は、海外から来た人に日本の伝統文化や歴史を伝える仕事です。
平成30年までは、通訳案内士を名乗るためには国家資格が必要でした。しかし、通訳案内士の業務独占規制が廃止され、国家資格を持っていない人でも通訳案内を有償で行うことが可能になりました。
全国通訳案内士になるためには、通訳案内士試験を受けて合格する必要があります。試験では、外国語・日本地理・日本歴史・一般常識・通訳案内の実務を聞くだけではなく、口述の試験があります。
幅広い知識が必要になるので、合格率は10%前後と低いです。
自分の知識を磨くためにも資格を取りたいという人は、以下の公式サイトを参考にしてください。
通訳の働き方
通訳は、企業や特定非営利活動法人などに勤める働き方や、フリーランスとして独立して仕事をする働き方などがあります。
また、特定非営利活動法人「通訳ガイド&コミュニケーション・スキル研究会(GICSS研究会)」のように仕事を斡旋してくれる機関もあったり、人気の通訳になると、企業や個人から直接依頼が来たりすることもあります。
参考:特定非営利活動法人 「通訳ガイド&コミュニケーション・スキル研究会」
通訳として働きたい人は、企業に就職するか・個人として活動をするかなどを考えておくことをおすすめします。
通訳の年収の目安
どれだけあこがれの職業であっても年収が伴わないと、生活をしていくのは難しいもの。以下では、通訳の年収の目安についてご紹介します。
通訳は、派遣社員やアルバイトなどの非正規雇用では、時給で雇われることが多いです。
非正規雇用の場合、時給は1200円が平均的です。
正社員の平均年収は約400万円です。
参考:求人ボックス「通訳の仕事の年収・時給・給料」
国税庁によると、令和2年の平均給与は正規雇用では496万円、非正規176万円と発表されています。
参考:国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」
通訳の平均年収が約400万円と正規雇用の平均よりも低いのは、同じ通訳の仕事でも難易度などで給料が変わってくることにあります。
医療系の通訳を始め、専門性の高い通訳はより高単価になります。年収アップやキャリアアップを目指す場合は、語学以外の専門性を磨くことも検討するとよいでしょう。
通訳に向いている人の特徴
自分は通訳に向いているのかと不安になっている人もいるのではないでしょうか。以下では、通訳に向いている人の特徴をご紹介します。
1.異文化のバックグラウンドがある人とコミュニケーションを取るのが好き
通訳に向いている人の特徴の1つ目は、異文化のバックグラウンドがある人とコミュニケーションを取るのが好きなことです。
通訳は言語の知識だけでなく、文化的な背景を理解している必要があります。異文化のバックグラウンドを理解することは容易いことではありません。文化や歴史的な背景を学んだり、実際にコミュニケーションをしながら理解する努力が必要です。異文化のことを知れることを楽しめる人は通訳に向いているといえるでしょう。
通訳をする上では、通訳をする相手やその周りの人などたくさんの人とコミュニケーションをする必要があります。引っ込み思案であまり人と会話するのが好きではないという人は、人と関わってする同時通訳よりも、在宅でできる通訳の方が向いているでしょう。
また、固定観念に囚われて、自分の考えこそ正しいと思ってしまいがちな人は上手に通訳できない可能性が高いです。異文化を理解し、寄り添った通訳をするためにも、日頃から様々なバックグラウンドを持つ人と触れ合ったり、理解したりする努力が必要です。
2.好奇心旺盛で向上心がある
通訳に向いている人の特徴の2つ目は、好奇心旺盛で向上心があることです。
通訳は今ある自分のスキルに納得して勉強をやめてしまうと、日々新しく使われる言語や価値観などを理解できずに通訳として働くことが難しくなります。
例えばネット用語や流行語などの知識を持っていないと、生の会話を訳せなくなります。
言葉の使い方や異文化の理解などに興味を持って自分から進んで身につけられる人が通訳に向いているといえるでしょう。
3.臨機応変に対応できる
通訳に向いている人の特徴の3つ目は、臨機応変に対応できることです。
どんなに勉強をしていても、通訳できない言葉が飛び出す可能性があります。すぐには通訳できない言葉が出てきてしまった場合、パニックにならずにニュアンスを伝えたり、誤解のないように伝えたりする必要があります。
相手が思わぬ行動や言動をしたときでも落ち着いて対応できる人は、通訳としても活躍しやすいでしょう。
通訳になるための方法
「通訳になりたいけれど、大学に入ったほうがいいの?」「やっぱり留学をするべきかな」とこれからの将来について悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
以下では、通訳になるための方法を3つご紹介します。
1.通訳の養成学校や専門学校に通う
通訳になるための方法の1つ目は、通訳の養成学校や専門学校に通うことです。
通訳になるための第一歩として「語学力」を身につけることがあります。
語学力の身につけ方は様々にありますが、通訳の養成学校や言語に特化した学校に通うのも一案です。
例えば、通訳・翻訳養成学校のISSインスティテュートでは、英語や中国語を半年間のコースを通して身につけます。TOEICのレベルに応じて、受けるレッスンを選べるので、英語力を成長させられるのではないでしょうか。
また、サイマル・アカデミーでは、通学するコースやインターネットで受けられるコースもあります。
社会人だけど学校に通って勉強したいという人にも、通訳の養成学校や専門学校に通うことはおすすめです。
2.留学をして語学力を身につける
通訳になるための方法の2つ目は、留学をして語学力を身につけることです。
通訳になるために必ず留学をしなければいけないわけではありませんが、留学をすることで教科書では学べない英語や他言語を学べます。その地域独特のアクセントやスラングなどが学べるのはもちろん、異文化を理解するために、留学をすることはおすすめです。
もちろん、留学をするのではなく日本にいながら海外の人と交流するもの生の言語に触れるチャンスです。
大切なのは、留学をするかしないかではなく実際に使用されている言葉に触れることであることを忘れないようにしましょう。
3.副業として通訳業務を行ってみる
通訳になるための方法の3つ目は、副業として通訳業務を行ってみることです。
クライアントはキャリアを見て仕事を依頼するか判断します。また、経験を積むことで今までにない語彙力を身につけることにも繋がるので、経験を増やすことは何よりも大事です。
まだ通訳の経験がない人は、副業として通訳業務を始めてみてもいいでしょう。じっくり考えて進められる、文書の通訳業務からはじめて見ることをおすすめします。
通訳に求められる能力・スキル
通訳として活躍するためにはどのような能力が求められるのでしょうか。以下では、通訳になるために必要なスキルをご紹介します。
1.語学力
通訳に求められる能力の1つ目は、語学力です。
他言語から日本語、日本語から他言語と訳すためには、語学力が必要不可欠です。通訳の場合、日常会話ができるような一般的なレベルを超えて、専門家としての語学力が必要です。
スクールに通ったり、留学をしたりして語学力をつけるために積極的に勉強しましょう。
2.コミュニケーション能力
通訳に求められる能力の2つ目は、コミュニケーション能力です。
人と関わる仕事であるため、コミュニケーション能力はとても大切です。人前でも緊張せず話せるように練習してみたり、相手の機微から何を考えているのか把握したりする能力を磨きましょう。
3.専門分野の知識
通訳に求められる能力の3つ目は、専門分野の知識です。
科学のシンポジウムや金融についての国際会議などでは、それぞれの専門的な分野の単語が多く出てくるため、日本語でも知らない言葉があるかもしれません。専門的な通訳をするためには、様々な知識が必要になります。
専門的な仕事になればなるほど、競合が減り仕事を依頼されやすくなります。一般的な語学力だけを磨くのではなく、自分の得意な専門分野を見つけてみてはいかがでしょうか。
通訳になりたい人が取得しておきたい資格
通訳の仕事をするためには、資格は必要ありません。しかし、通訳の仕事を受注したり、会社に就職したりするためには資格を持っていると有利に働く可能性が高いです。
通訳の資格として有名な資格にTOBISがあります。1〜3級の段階があるので、段階を踏んで勉強していくことをおすすめします。その他、医療通訳などの専門性が高い通訳試験もあります。
資格について詳細に知りたい人は「通訳になりたい人におすすめの資格とは?国家資格や難易度について解説」を参考にしてくださいね。
通訳の人のキャリアパス
通訳は専門性の高い職種のため、別の職種へ変更するよりかは通訳としての専門性を高めて働く人が多いです。
通訳としてさらに活躍するためには、経験や実績を積んだり、専門性を磨くことが挙げられます。また、通訳として成長するためには、自分の訳に納得せずによりよい通訳を目指す向上心が大切です。
より訳をいいものにするためには、自分の訳に向き合って、どう改善すればいいか考えることも大切です。ネイティブや通訳仲間に、自分の訳が間違っていないかフィードバックをもらうこともおすすめです。
通訳の仕事は言語力と向上心がポイント
- 通訳の仕事には、同時通訳・逐次通訳などがある
- 通訳の働き方は様々で、企業に務めたりフリーランスとして働いたりできる
- 通訳の年収は約400万円程度だが、経験や専門性によって変わる
本記事では通訳になるために知っておきたい、仕事内容や働き方、年収や向いている人の特徴などを詳しくご紹介しました。
通訳は、ただ日本語を他言語に、他言語を日本語に変換するだけではありません。相手の文化やバックグラウンドを理解して、本当に伝えたいことや意図を読み取り、伝えることが重要です。
日々変化する言語を扱う通訳は、言語力だけでなく向上心も求められます。
本記事を参考に、通訳としてどのような働き方をしたいのか検討してみてはいかがでしょうか。
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