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ケースワーカーに必要な「社会福祉主事任用資格」の内容・難易度・費用・要件について解説

U-NOTE編集部

2022/03/24(最終更新日:2022/03/24)


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生活に困っている方を支援・援助するケースワーカーになるには「社会福祉主事任用資格」が必須です。社会福祉主事任用資格は難易度は低く、比較的取得しやすい資格といわれています。

今回は、社会福祉主事任用資格の内容や難易度、受験するための要件について解説。併せて、必要な費用についてもご紹介します。

 

ケースワーカーになるために必要な資格

ケースワーカーになるために必須の資格は、「社会福祉主事任用資格」です。任用資格であるため、専門家と名乗ることはできないことに注意が必要です。

支援・援助のプロとしてスキルアップしたいと考えている方は、社会福祉士精神保健福祉士の資格取得も検討してみてください。

では上記で紹介した3つの資格の概要を確認していきましょう。

 

1.【必須】社会福祉主事任用資格

「社会福祉主事任用資格」は、ケースワーカーになるために必須の資格です。取得するには、大学や専門学校、指定養成機関において厚生労働大臣が定めた指定項目を履修・修了することが求められます。

国家資格や民間資格ではないため、試験は不要。指定科目の履修のみで「社会福祉主事任用資格」を得られます。

参考:厚生労働省「社会福祉主事任用資格の取得方法

 

2.【持っていればなおよい】社会福祉士

社会福祉士」の資格は、ケースワーカーになるために必要ではないものの、取得しておくことで専門的な知識を有していることを客観的に証明できます。

国家資格のため、福祉の専門家として名乗れることもメリットです。相談者との信頼関係を築きやすく、適切な支援や援助がしやすくなります。

 

3.【持っていればなおよい】精神保健福祉士

精神保健福祉士」の資格は、ケースワーカーとして相談者の心のサポートもしていきたい場合に活かせます。

ケースワーカーに必要な「社会福祉主事任用資格」では、支援・援助計画の作成や関係各所への連絡・調整などのスキルは身に付けられますが、精神面に関する勉強はそこまで深くは学びません。生活面の問題解決に向けて相談者のサポートをすると共に、心のケアも行いたいと考える場合は、「精神保健福祉士」の資格取得も検討してみてください。

次に、それぞれの資格について詳細を解説します。

 

ケースワーカーに必要な資格①:社会福祉主事任用資格の概要

社会福祉主事任用資格は、取得しやすいのが特徴です。そもそも試験が必要ない点に加え、難易度もやや低め。任用資格なので公務員として採用されなければ名乗れないデメリットはあるものの、取得するだけなら容易です。社会福祉主事任用資格の概要をご紹介します。

 

社会福祉主事任用資格の資格の内容

社会福祉士主事任用資格は、試験なしで得られます。厚生労働省が定める指定科目と4年制大学・短期大学・指定養成期間で履修した科目名とが原則一言一句同様でなければ、履修は認められていないので注意が必要です。

 

社会福祉主事任用資格の難易度

社会福祉主事任用資格は、比較的取得しやすいのが特徴です。試験が不要で科目を履修し、4年制大学や短期大学を修了することで資格を得られることが理由としてあげられます。

同じ社会福祉に携わる社会福祉士の国家試験合格率が例年30%前後であることを考えると、やはり難易度は低いといえるでしょう。

参考:厚生労働省「社会福祉士国家試験の受験者・合格者の推移
 

 

社会福祉主事任用資格の必要な費用

社会福祉主事任用資格を取得するのに必要な費用は、4年制大学・短期大学・養成機関とどのルートを選ぶのかによって異なります。

4年制大学や短期大学は通う機関が長いので、その分学費が高くなります。もっとも安く、かつ短期間で取得するなら養成機関がおすすめ。

例えば、日本社会事業大学通信教育科で開設された「社会福祉主事養成課程」で授業を受ける場合、1年間の学費は134,000円です。勉強する期間が短いので学習計画はしっかりと立てなければならないものの、最短かつ安価な授業料で任用資格を得られるのが特徴です。

参考:日本社会事業大学通信教育科「社会福祉主事養成課程

 

社会福祉主事任用資格を取得するための要件

社会福祉主事任用資格を取得するには、4年制大学や短期大学、指定養成機関において、厚生労働大臣が指定する社会福祉に関する科目の履修が必須です。

4年制大学や短期大学では、社会福祉に関する科目を3項目以上修めて卒業した方が、任用資格を取得できます。指定養成機関に入学する場合は、22科目1500時間を修めて卒業した方が、資格取得の対象です。

ほかにも、都道府県等講習会を受講する場合は、19科目279時間の科目履修が求められます。

参考:厚生労働省「社会福祉主事任用資格の取得方法

 

ケースワーカーに必要な資格②:社会福祉士の概要

ケースワーカーと仕事内容が似ている資格に「社会福祉士」があります。国家資格のため勤務場所に関係なく専門家を名乗れるのが特徴。ケースワーカーとして活躍することを目指している方は社会福祉士資格についても知っておくと、今後のキャリアを考える際に役立ちます。

 

社会福祉士の資格の内容

 

 

「社会福祉士」とは、社会福祉士及び介護福祉士法によって位置付けられた、社会福祉業務に関する国家資格のことです。社会福祉士になるためには、「社会福祉士国家試験」に合格しなくてはなりません。

社会福祉士国家試験は年に1度実施。試験は東京都や神奈川などを含めた24の都道府県で行われます。試験科目の数は多く、計19の科目から問題が出題されるため、すべてを網羅できるよう学習計画を立てる必要があります。

>>社会福祉士国家試験の公式サイト

 

社会福祉士の資格の難易度

社会福祉士国家試験は難易度が高いといわれています。令和3年までに全33回の試験を実施し、もっとも低い合格率は第1回目の17.4%。もっとも合格率が高いのは第30回の30.2%です。

社会福祉士国家には厳格な合格基準が定められています。まず、問題の総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正した点数以上の得点があること。これを満たした上で、18科目群すべてにおいて得点があること。この2つが合格基準とされていることで、試験の合格率が低い数字にとどまっていると考えられています。

参考:厚生労働省「社会福祉士国家試験の受験者・合格者の推移
参考:社会福祉振興・試験センター「出題基準・合格基準

 

社会福祉士の資格を受験するのに必要な費用

社会福祉士国家試験の費用は、試験地に関係なく一律19,370円です。

社会福祉士は精神保健福祉士の国家試験と同時受験が可能なため、2つに申し込む場合の受験料は36,360円とされています。

参考:社会福祉振興・試験センター「試験概要

 

社会福祉士の資格を取得するための要件

社会福祉士国家試験の受験資格は4つ設けられており、いずれかに該当する方は試験を受けられます。

  • 4年制大学で指定科目を修めて卒業した方
  • 2年制(又は3年制)短期大学等で指定科目を修めて卒業し、指定施設において2年以上(又は1年以上)相談援助の業務に従事した方
  • 社会福祉士短期養成施設(6月以上)を卒業(修了)した方
  • 社会福祉士一般養成施設(1年以上)を卒業(修了)した方

上記の要件をそれぞれ分けると、資格取得ルートは全部で10通り。試験の難易度は高いものの、高校卒業前の方から大学卒業後の方まで、多くの方が挑戦しやすい資格です。

参考:社会福祉振興・試験センター「試験概要

参考:社会福祉振興・試験センター「受験資格(資格取得ルート図)


 

ケースワーカーに必要な資格③:精神保健福祉士の概要

ケースワーカーとして、相談者の生活面の支援だけでなく精神面のサポートにも力を入れたい場合、「精神保健福祉士」の資格が役立ちます。国家資格のひとつなので専門家として名乗ることができ、相談者との信頼関係構築がしやすいのも特徴。精神保健福祉士の資格の概要を解説します。

 

精神保健福祉士の資格の内容

「精神保健福祉士」とは、精神保健福祉士法に基づいた国家資格のことです。精神面のサポートやケアに関する専門的な知識と技術を有し、精神障害者の社会復帰を目的とした相談に対して助言・指導・訓練・援助などを行います。精神保健福祉士になるには、「精神保健福祉士国家試験」に合格しなければなりません。

精神保健福祉士国家試験は年に1度、2日間に分けて実施されています。試験地は、北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・広島県・福岡県の計7都道府県です。出題範囲は広く、試験は17科目で構成されています。

>>精神保健福祉士国家試験の公式サイト


 

精神保健福祉士の資格の難易度

精神保健福祉士国家試験の難易度はあまり高くありません。令和3年までに全23回実施されていますが、第19〜23回までの合格率を見ても、60%台と比較的高い数字を維持しています。

第23回の合格者の内訳では、保健福祉系大学等卒業者の合格の割合は36.0%。養成施設卒業者の割合は64.0%です。合格率を考慮するなら、養成施設でしっかりと学習してから試験に臨む方が最短で資格を取得しやすいでしょう。

参考:一般社団法人 日本ソーシャルワーク教育学校連盟「第 23 回精神保健福祉士国家試験の合格発表について


 

精神保健福祉士の資格を受験するのに必要な費用

精神保健福祉士国家試験の受験料は、24,140円とやや高め。社会福祉士国家試験も受験する場合は、2つ合わせて36,360円の費用が必要です。

参考:社会福祉振興・試験センター「試験概要

 

精神保健福祉士の資格を取得するための要件

精神保健福祉士国家試験には、4つの受験資格が設けられています。下記のうち、いずれかの条件を満たしていれば、試験を受けることが可能です。

  • 4年制大学で指定科目を修めて卒業した方
  • 2年制(又は3年制)短期大学等で指定科目を修めて卒業し、指定施設において2年以上(又は1年以上)相談援助の業務に従事した方
  • 精神保健福祉士短期養成施設(6月以上)を卒業(修了)した方
  • 精神保健福祉士一般養成施設(1年以上)を卒業(修了)した方

資格取得ルートとしては10通りが用意されています。短期大学の場合は卒業後に実務経験も積まなくてはならないので、最短で取得を目指すなら保健福祉系の4年制大学への進学がおすすめです。

一般の4年制大学や短期大学卒業後でも実務経験を積んだり、養成機関で1年以上勉強したりすれば受験資格を得られます。多くの方が取得を目指しやすいのは精神保健福祉士の特徴です。

参考:社会福祉振興・試験センター「試験概要

参考:社会福祉振興・試験センター「受験資格(資格取得ルート図)

 

ケースワーカーになるための資格を取得する年齢制限はあるの?

ケースワーカーとして必要な「社会福祉主事任用資格」の取得には、年齢制限は設けられていません。4年制大学もしくは短期大学にて3科目以上を履修するか、養成機関で指定科目を履修すれば、年齢を問わず任用資格を得られます。

ただし、任用資格の効力を発揮させるには、地方公務員として採用される必要がある点には注意が必要です。公務員採用試験は実施している自治体によって年齢制限が設けられています。せっかく任用資格を取得しても、任用されないと名乗ることができないので、資格を得るタイミングには注意をし、公務員試験の準備もしておきましょう。

 

ケースワーカーを目指すならまずは受験する資格を検討しよう

ケースワーカーは、生活に困っている方々の相談にのり問題解決を支援・援助する、なくてはならない職種のひとつです。

ケースワーカーになるのに必要な社会福祉主事は任用資格なので試験は不要ですが、任用されない限り名乗れないのがデメリット。一方、社会福祉士や精神保健福祉士は国家資格であり、就業先を問わず専門家を名乗ることができます。

どのように活躍したいのかを検討した上で、受験する資格を検討してみてはいかがでしょうか。


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