HOMEビジネス ケースワーカーになるには?必要な資格や、仕事内容、年収、向いている人の5つの特徴などを解説

ケースワーカーになるには?必要な資格や、仕事内容、年収、向いている人の5つの特徴などを解説

U-NOTE編集部

2022/03/25(最終更新日:2022/03/25)


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地方公務員として、生活に困っている方々の支援や援助を行う「ケースワーカー」。国家資格のように試験に合格する必要がない代わりに、厚生労働省により履修指定科目が定められています。

今回は、そんなケースワーカーの仕事内容やソーシャルワーカーとの違いなどを解説。併せて、ケースワーカーに向いている人の5つの特徴などもご紹介します。

 

ケースワーカーとは?

ケースワーカーとは、精神面・身体面・社会面のさまざまな理由により日常生活を送るための支援や保護を必要としている方のサポートを行う職種のことを指します。

主に、各地方自治体の福祉課や福祉事務所、自動相談所など福祉に関わる職場に勤務。生活が困難な方々の相談にのり、援助計画を作成したり、福祉機関との調整を行ったりします。

職場によって、役割は2つに分けられています。ひとつは、相談や申請を受け付けつける「面接員」です。相談の内容から可能な援助計画を立てます。もうひとつは、「地区担当員」です。相談者の家庭を訪問し、生活の実態を調査した上で具体的な支援方針を決定します。

参考:13歳のハローワーク「ソーシャルワーカー・ケースワーカー」

参考:きらケア きらッコノート「ケースワーカーとは?仕事内容・主な勤務先・向いている人の特徴を知ろう」

 

ケースワーカーとソーシャルワーカーの違い

「ケースワーカー」と並び似たような職業として「ソーシャルワーカー」という名前を聞いたことがある人も多いでしょう。

ケースワーカーとソーシャルワーカーは、どちらも福祉関連の職種です。ソーシャルワーカーもケースワーカーと同様、身体上・精神上などの理由により生活を送るのに困難を抱えている方の相談にのり、援助を行います。

ソーシャルワーカーの基準は曖昧で、福祉の仕事に携わる職種の総称として使われることもあれば、精神保健福祉士や社会福祉士など資格を取得している方々のことを指すこともあります

一方、ケースワーカーとして働くためには社会福祉主事任用資格が必要です。資格面では大きな違いがあるといえます。

参考:職業情報提供サイト「福祉ソーシャルワーカー」

参考:日本福祉教育専門学校「社会福祉士とソーシャルワーカーの違いとは?」

 

ケースワーカーの仕事内容・働き方

ケースワーカーは、さまざまな理由によって生活に困っている方々の相談にのり、ひとり一人に適した援助計画を立て、各所との調整や申請を行うのが主な仕事です。

細かな実務としては、相談内容や相談者の現状を報告書にまとめたり、住宅調査や家庭訪問などを実施したりします。その調査内容に基づき、受給資格のある支援プログラムを洗い出し、利用の手続きや申請の手続きをサポート。相談者が公的支援措置に適格であるかを判断するため、必要な資料を収集し整理することもあります。

参考:職業情報提供サイト「福祉事務所ケースワーカー」

 

ケースワーカーが活躍しているシーン・主な勤務先

ケースワーカーの主な勤務先は、福祉事務所です。厚生労働省の調査によれば、平成28年時点で1247箇所の福祉事務所が存在しています。

なかには、医療機関や児童相談所で活躍しているケースワーカーも存在します。

参考:厚生労働省「平成28年 福祉事務所人員体制調査について」

 

ケースワーカーに向いている人の特徴

困っている相談者の支援を行うケースワーカーに向いているのはどんな人でしょうか。5つの特徴を解説します。

 

1.相手の役に立ちたい、奉仕の精神がある人

ケースワーカーに向いている人の1つ目の特徴は、相手の役に立ちたい、奉仕の精神がある人です。

ケースワーカーは、生活が困難な方の相談を聞き、適切な支援や援助計画を立てることを仕事としています。相談者ひとり一人の状況は異なるため、相談時には今、目の前にいる人の役に立ちたいと考えることができなければ、相手の現状解決に繋がるような支援計画を立てられません。

事務的に処理をするのではなく、相手の役に立ちたいという気持ちが求められます。

 

2.現状を冷静に判断できる人

ケースワーカーに向いている人の2つ目の特徴は、現状を冷静に判断できる人です。

ケースワーカーには、相談者の話を聞く際、現状に理解を示しながらも適切な解決策は何なのかや、問題の根本は何なのかを判断する冷静さが求められます。

なかには同じ話を繰り返したり、現状を感情的に話したりする相談者もいます。内容をそのまま受け止めず、実情と照らし合わせて判断する能力は欠かせません。

 

3.相手のことを理解して向き合える人

ケースワーカーに向いている人の3つ目の特徴は、相手のことを理解して向き合える人です。

生活に困っている相談者の状況を解決に導くには、相手の目線に立って物事を考えるスキルが求められます。その姿勢は、相談者との間に信頼関係を築くことにも繋がり、結果として相談しやすい空気が生まれたりもします。より素早く的確に現状を解決に導くためにも重要なポイントです。相談者に信頼してもらえるよう、その都度向き合い理解できるよう努められる方はケースワーカーに向いています。

 

4.粘り強く対応できる人

ケースワーカーに向いている人の4つ目の特徴は、粘り強く対応できる人です。

ケースワーカーの仕事では、一度の相談で解決できる問題はほとんどありません。何度も相談や話し合いを重ね、相談者と公的支援措置を繋ぎ、その後の状況を確認します。少しずつ改善に向かうこともあれば、一から援助計画を見直すことも少なくありません。

ケースワーカーとして働くには、多くの相談にのりながら、ひとつ一つが解決に向かうよう粘り強く対応する強さが必要です。

 

5.精神的にタフな人

ケースワーカーに向いている人の5つ目の特徴は、精神的にタフな人です。

ケースワーカーの主な仕事内容は相談を受けることですが、ほかにも相談者の居宅を訪ねて調査を行ったり、相談者に適した支援を調べて計画を作ったりと、細かな業務が数多くあります。サポートがスムーズにいくこともあれば、一からやり直すことも。

そんな場合でも心が折れてしまわずに、強い気持ちを持って相談者の支援をやり切れる方は、ケースワーカーに向いているといえるでしょう。

 

ケースワーカーになるための方法

ケースワーカーとして活躍するには、社会福祉主事の任用資格が必要です。この資格の取得には試験が設けられておらず、厚生労働省が指定する項目を履修することで得られます。ケースワーカーになるための方法を3つのステップに分けて解説します。

 

STEP1.大学や短大、養成機関などで社会福祉に関する科目や講習を受ける

ケースワーカーになるためには、まず大学や短大、養成機関などで福祉に関する項目や講習を受ける必要があります

大学・短大で履修する範囲については、厚生労働省が34の項目を指定しています。
<社会福祉に関する科目>

  1. 社会福祉概論
  2. 社会福祉事業史
  3. 社会福祉援助技術論
  4. 社会福祉調査論
  5. 社会福祉施設経営論
  6. 社会福祉行政論
  7. 社会保障論
  8. 公的扶助論
  9. 児童福祉論
  10. 家庭福祉論
  11. 保育理論
  12. 身体障害者福祉論
  13. 知的障害者福祉論
  14. 精神障害者保健福祉論
  15. 老人福祉論
  16. 医療社会事業論
  17. 地域福祉論
  18. 法学
  19. 民法
  20. 行政法
  21. 経済学
  22. 社会政策
  23. 経済政策
  24. 心理学
  25. 社会学
  26. 教育学
  27. 倫理学
  28. 公衆衛生学
  29. 医学一般
  30. リハビリステーション論
  31. 看護学
  32. 介護概論
  33. 栄養学
  34. 家政学

基本的には、大学などの科目の名称と指定項目の名称が一言一句同じでなければ履修は認められないため注意が必要です。

ただし、なかには読み替え範囲が定められている項目もあり、その範囲に該当すれば項目名が多少異なっていても履修が認められます。厚生労働省の「社会福祉主事任用資格の取得方法」のぺージで読み替え範囲について詳細が書かれているので確認するようにしてください。

参考:厚生労働省「社会福祉主事任用資格の取得方法」

 

STEP2.社会福祉主事の任用資格を取得する

大学や短期学校、指定養成機関で必要な項目を履修したあとは、社会福祉主事の任用資格を取得します。任用資格とは、公務員採用試験などに合格し、その上で該当する職務に任用されて初めて活かされる資格のことです。

ケースワーカーとして働く際に必要な社会福祉主事の任用資格は、試験を受ける必要がありません。厚生労働省が指定する社会福祉に関する項目を履修すれば、任用資格を得られます。

参考:厚生労働省「社会福祉主事任用資格の取得方法」

 

STEP3.地方公務員試験を受験する

社会福祉主事の任用資格を取得しただけでは、ケースワーカーとして働くことができません。資格を得た上で地方公務員試験に合格し、社会福祉主事として任用されることで初めてケースワーカーを名乗ることができます。

地方公務員は、上級・中級・下級・Ⅰ類・Ⅱ類といった区分ごとに分けられ、それぞれの枠で採用試験を行っています。地方公務員の福祉職は、主に上級やⅠ類の区分で募集がかけられているので、試験を受ける際は注意が必要です。

なかには、中級の区分で福祉職の枠を設けている場合も。採用試験を受ける際は、福祉職としての募集があるかをチェックしてみてください。

参考:東京福祉専門学校「なりたい職業No.1公務員 〜公務員福祉職という選択〜」

 

ケースワーカーに必要な資格

ケースワーカーに必要な資格は、基本的には社会福祉主事の任用資格です。民間資格や国家資格とは違う種類の資格なので、ほかにも併用することでより業務の幅が広がります。社会福祉主事の任用資格に加え、持っていればなおよい2種類の資格についてもご紹介します。

 

1.【必須】社会福祉主事任用資格

ケースワーカーになるために必須なのが「社会福祉主事任用資格」です。国家資格のように試験を必要とせず、大学や短期学校などで厚生労働省が定めた項目を履修・修了することで資格を得られます。

国家資格や民間資格と違うのは、任用資格を取得した上で特定の職種に任用されなければ効果を発揮しないこと。ケースワーカーになるには、任用資格を有したあと、地方公務員の福祉職に任用される必要があるのです。ケースワーカーの資格の詳細は、「ケースワーカーに必要な「社会福祉主事任用資格」の内容・難易度・費用・要件について解説」のページにてご確認ください。

 

2.【持っていればなおよい】社会福祉士

ケースワーカーになる上で重宝するのが「社会福祉士」の資格です。国家資格であり、高度かつ専門的な知識を有していることを客観的に証明できます。

社会福祉士の資格を取得しておけば、社会福祉主事の任用資格を得られるのもメリットのひとつ。社会福祉主事から社会福祉士を目指す場合の難易度が高いことを考えると、あらかじめ社会福祉士の資格を持っておいた方が、働く場所や職務内容の幅は広がります。

 

3.【持っていればなおよい】精神保健福祉士

精神保健福祉士」の資格も、ケースワーカーとして働く上で取得しておくと有利です。精神疾患を持つ方の支援が可能なため、ケースワーカーとして生活をサポートすると共に精神面のケアもできます。

社会福祉士同様、精神保険福祉士も資格を有することで、社会福祉主事の任用資格を得られるのもメリットです。

 

ケースワーカーになるための年齢制限はあるの?

ケースワーカーになるための年齢制限は、任用資格を取得するのと、公務員として任用されるのとで異なります。

社会福祉主事の任用資格に関しては、大学や短期学校、指定養成機関での指定項目を履修し修了すれば得られるので年齢制限はありません。

ただし、任用資格を利用してケースワーカーとして働くには、地方公務員試験への合格が必要です。そのため、自治体が定める年齢制限が、ケースワーカーになるための年齢制限となります。

 

ケースワーカーのキャリアパス

ケースワーカーは地方公務員のため、基本的には毎年の辞令で部署を異動しながら経験値を積んでいきます。その数年間のうちにケースワーカーとしての専門的知識やスキルを高めることができれば、3〜4年目もケースワーカーとして従事できます。

昇任試験を採用している福祉事務所なら、試験に合格することで管理職として全体のマネジメントを行う可能性も。知識や能力を磨きながら、いかにアピールをできるかどうかで、その後のキャリアパスが左右されます。

 

ケースワーカーとして働くためには社会福祉主事任用資格が必要

ケースワーカーとして働くには、社会福祉主事任用資格が必須です。試験はない代わりに、大学や短期学校、指定養成機関において指定項目を履修する必要があるため、資格取得には時間がかかります。

また、地方公務員試験も受けなければならないので、同時に試験対策を行っておくとよいでしょう。ケースワーカーとしてキャリアアップを目指すのであれば、福祉に関連する国家資格の取得も検討してみてください。


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