通訳になるために必要な資格や、通訳としてステップアップするために勉強の指針にするための資格を探している人もいるのではないでしょうか。
通訳の資格は一般的な言語力を示すものから、専門的な用語まで把握していることを示すものまで様々あります。
以下では、通訳になりたい人におすすめの資格をご紹介します。
- 通訳になりたい人におすすめの資格
- 英語以外の言語の通訳になりたい人におすすめの資格
- 海外で通訳の仕事をする場合
通訳になるためには資格は必要?
通訳になるためには、医者や薬剤師のように、決められた資格が必要なのかなと思っている人もいるのではないでしょうか。
実は、通訳になるためには資格は必要ありません。資格がなくても通訳として仕事をすることは可能です。
ただし、「英語が得意なので通訳できます!」といっている人よりも「TOEICのスコアが950点あります」と伝えるほうが信用してもらえるように、資格を取ることで自分のスキルの高さを表明でき仕事をもらえる可能性が高いです。クライアントに仕事を任せてもらうためにも、自分のスキルを磨くためにも資格の勉強をすることはおすすめです。
通訳になりたい人におすすめの資格
どのような資格を持っていたら、通訳として信用してもらえるのかと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
以下では、英語の通訳になりたい人におすすめの資格をご紹介します。
ビジネス通訳検定(TOBIS)
通訳の資格として最も有名なもののひとつに「ビジネス通訳検定」があります。ビジネス通訳検定は、Test of Business Interpreting Skillsの略でTOBISと呼ばれることも多いです。
試験は、逐次通訳・同時通訳の二種類。試験を受けたあとは、結果によって1級から4級までに振り分けられます。2級は2%、3級は17%、4級は47%、不合格が34%と、2級を取ることは相当難しいことがわかります。
1級を受験するためには、2級に合格して2年以内という制約があるので、まずは2級を取ることを目指しましょう。
4級はボランティア通訳レベル、3級は初級通訳者レベル、2級は一般的な通訳者レベル、1級は一流の通訳者として働けるレベルを証明してくれます。
また、試験を受けたあとに現役の通訳者にフィードバックがもらえるので、受けるだけで成長することも可能です。
試験は年に2回です。オンライン試験も開催されています。実施回数が少ないので、計画をしてスケジュールを進める必要があることに注意しましょう。
全国通訳案内士
全国通訳案内士とは、通訳ガイドとも呼ばれる、外国語を使ってガイドや案内をする仕事です。
「酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすることをいう。以下同じ。)を行うことを業とする」と、通訳案内法によって規定されています。
平成30年1月4日により通訳案内士法が改正されたため、全国通訳案内士の資格を持っていなくても通訳案内業務を有料で外国人の旅行の案内をすることが可能になりました。しかし、全国通訳案内士を名乗るためには、国家試験である全国通訳案内士試験を受ける必要があります。
全国通訳案内士試験の英語の合格率は、8.5%とかなり難関な試験です。
全国通訳案内士では、語学力だけでなく、日本を説明できる知識が求められます。外国語・日本地理・日本歴史・一般常識・通訳案内の実務と幅広い内容が出題されるので、試験対策をしっかりと行う必要があるでしょう。
TOEIC®
TOEICは、TOEIC Listening & Reading Test、TOEIC Speaking Test、TOEIC Writing Testなどの試験の種類があります。
名前はよく知られているテストですが、試験の種類は様々のため、どの技能のテストを受けたいのかを考えて試験を選びましょう。
通訳になるための基準としては、TOEIC Listening & Reading Testでは900点以上あることが望ましいです。また、TOEIC Speaking Testでは160以上、TOEIC Writing Testでは170以上あるといいでしょう。
上記で示した点数以上の場合、全国通訳案内士試験の外国語筆記試験が免除されます。
実用英語技能検定
文部科学省認定の資格である実用英語技能検定は、英検とも呼ばれ聞く・話す・読む・書くの4つの技能を判断する資格です。
就活でのアピールはTOEICが一般的ですが、英検も同じぐらい知名度があります。年配の方の場合は「英検」の認知度が高いため、アピールするためにも準1級や1級レベルの資格を取ることも一案です。
英検準1級は、大学中級程度の英語を実際に使えるレベルを証明できる資格。また、英検1級は、大学上級程度の世界で活躍できる英語レベルを証明できます。
参考:英検「各級の目安」
英検は、定期的に試験を開催しているので、自分の能力の伸びを把握するためにもおすすめです。
医療系の通訳者を目指す場合は「医療通訳専門技能認定試験」
医療通訳をやってみたいと思っている人は、医療通訳専門技能認定試験がおすすめです。
医療通訳専門技能認定試験は、厚生労働省の医療通訳育成カリキュラム基準を基にして試験内容が作られています。
厚生労働省の医療通訳育成カリキュラム基準とは、医療通訳を育成するための実施要領であり、医療通訳の持つべき能力や知識の指標を表すものです。
参考:厚生労働省「医療通訳育成カリキュラム基準(平成 29 年 9 月版)」
試験は、一次試験・二次試験に分かれていて、二次試験では対面で長文逐次通訳試験・対話通訳試験が行われます。
英語以外の言語の通訳になりたい人におすすめの資格
英語以外にも韓国語や中国語などの言語の通訳になりたい人もいるのではないでしょうか。
以下では、韓国語や中国語の通訳になりたい人におすすめの資格をご紹介します。
韓国語の通訳を目指す場合は「TOPIK」
韓国語の通訳を目指す場合は「TOPIK」と呼ばれる韓国語能力試験がおすすめです。
韓国語能力試験は、大韓民国政府の教育省が実施する唯一の試験である世界で70ヵ国以上で開催されている国際的な資格です。
TOPIKⅡ(中・上級)を受けると、6級から3級に振り分けられます。6級が最上級で、専門的な内容でも理解できることを証明できます。
韓国で仕事をするときには、6級の取得がスタートラインです。通訳をする場合も6級の取得は最低限必要だといえるでしょう。
中国語の通訳を目指す場合は「HSK」
漢語水平考試(HSK)は、中国政府認定の中国語能力試験で日本で最も受験されている中国語検定です。
筆記と口頭試験があり、筆記は1級~6級・口頭試験は初級・中級・高級の3段階に評価が別れます。筆記の6級が一番レベルが高く、5000語以上の常用中国語単語の語彙力を持っていることを証明できます。
参考:HSK各級の一覧表
ビジネスレベルを証明するためには、6級を取ってスタートラインに立てるレベルだと言われています。
医療通訳専門技能認定試験も中国語の試験を行っています。通訳の中でも医療通訳になりたい人は、医療通訳専門技能認定試験を受けることを考慮に入れてみてはいかがでしょうか。
政府が認定している資格のほうが信頼度が高いケースが多い
民間の言語の資格はたくさんありますが、政府が認定している資格のほうが信頼度が高い傾向にあります。英語に関する資格は多々ありますが、その他の言語については、政府が認定している資格を探して受けることをおすすめします。
例えば、先ほど紹介した韓国語・中国語の試験以外にも、フランス語の場合、フランス語能力認定試験(TEF)があります。パリ商工会議所による世界共通のフランス語能力試験なので、信頼度も高いです。
海外で通訳の仕事をする場合にはその国の資格制度も確認しよう
通訳には国際資格は存在せず、資格がなくても通訳として働ける場合がほとんどです。
しかし、日本における「通訳案内士」のように、業務内容によっては特定の通訳の仕事をするためには国家資格が必要な場合もあります。
自分の働きたい国が他国の場合は、その国の資格制度を確認してから通訳の仕事に取り掛かりましょう。
通訳を目指す人は、資格の取得も視野にいれながら言語力を磨こう
- 通訳になるためには資格は必要ないが、取った資格で自分のスキルや能力を示せる
- ビジネス通訳検定やTOEICなどの資格を目標にして勉強する
- 政府が認定している資格をとるほうがおすすめ
本記事では、通訳になりたい人におすすめの資格をご紹介しました。
通訳として活躍するために資格取得はマストではありませんが、仕事を任してもらうためにも自分の信頼度を上げるためにも、資格が客観的なスキルを示してくれるため取得しておくことがおすすめです。
本記事を参考に、通訳になるための資格の受験を検討してみてはいかがでしょうか。
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