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介護福祉士に必要な資格とは?資格取得のための条件やルートなどを紹介

U-NOTE編集部

2022/03/22(最終更新日:2022/03/22)


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介護福祉士」は、数ある介護に関わる資格のなかで唯一の国家資格です。今後ますます介護職の需要が増していく日本社会において、注目度が高い職種のひとつでもあります。

今回は、介護福祉士国家試験を受けるために必要な受験資格を解説。併せて、資格を取得できる4つのルートもご紹介します。

 

国家資格である「介護福祉士」とは?

介護福祉士」とは、生活する上で介護を必要とする方の生活行為や生活動作を支援する職業のこと。数ある介護に関する資格のなかで、唯一の国家資格です。

介護福祉士は主に、特別養護老人ホームや社会福祉施設などで介護職員として勤務し、介護業務を行います。日々の介助以外に、介護利用者の生活全体の支援を行うのも介護福祉士の役目です。そのために、医師や看護師など他職種と連携を取って環境を整備し、介護利用者の自立支援を目標に介護を実践します。

>>介護福祉士国家試験の公式サイト

参考:公益社団法人日本介護福祉士会「介護福祉士とは」

参考:社会福祉法人全国社会福祉協議会「福祉の資格」

 

介護の仕事をする際に介護福祉士の資格を取得しておく3つのメリット

国家資格である介護福祉士の資格は、取得しておくとさまざまなメリットがあるのは想像に易いかもしれません。特に知っておきたい3つのポイントをご紹介します。

 

メリット1.介護に関するスキルを客観的に証明できる

介護の仕事をする際に介護福祉士の資格を取得しておく1つ目のメリットは、介護に関するスキルを客観的に証明できることです。

介護福祉士は、介護過程の展開による根拠に基づいた介護実践や指導・育成に加え、環境整備や多職種との連携と、3項目に関する業務を取得していると考えられています。これらの専門性の高いスキルを身に付けていることを客観的に証明できるのが、介護福祉士という資格です。

 

メリット2.業務や職種の選択肢が広がる

介護の仕事をする際に介護福祉士の資格を取得しておく2つ目のメリットは、業務や職種の選択肢が広がることです。

介護福祉士は多方面で活躍できる国家資格です。介護分野における有効求人倍率は高い傾向にあり、超高齢化が進む日本社会では介護職の需要が年々高まっています。

介護福祉士自体は名称独占資格ではあるものの、介護に関する専門的な知識や技術を持っているため、今後の介護の現場でも非常に重宝されます。

参考:厚生労働省「第1回福祉人材確保対策検討会(H26.6.4)資料2(11ページ)」

 

メリット3.給与や待遇が良くなる

介護の仕事をする際に介護福祉士の資格を取得しておく3つ目のメリットは、給与や待遇が良くなることです。

介護に関する業務に携わっている場合、介護福祉士の資格を取得することで給与が上がります。厚生労働省が公開した「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果(166P)」によれば、介護職員の平均給与額のうち、無資格が約27万円であるのに対し、介護福祉士の平均は約32万円。介護福祉士と同様な業務内容であれば、資格を取得した方がメリットが大きいといえます。

また転職をする際にも、資格を取得していたほうが給与や待遇を交渉しやすいこともメリットだといえるでしょう。

 

介護福祉士の資格の難易度とは?

介護福祉士国家試験の合格率は、例年70%前後。同じ国家資格でも取得が難しいといわれている社会福祉士に比べると、そこまで難易度は高くありません。例えば、令和3年に実施された「第33回介護福祉士国家試験」の合格率は71.0%です。

合格率が高い要因として考えられるのが、解答方式です。選択式を採用しているため、論述式に比べて解答しやすいといわれています。過去の出題傾向から大きな変化が少ないので、過去問を反復し、傾向対策を行うことも大切です。

参考:厚生労働省「第33回介護福祉士国家試験合格発表」

 

介護福祉士の資格取得に必要な費用

介護福祉士の国家資格を取得するには、受験手数料と登録手数料がかかります。

  • 受験手数料:18,380円
  • 登録手数料:3,320円

 受験する地域にかかわらず費用は一律です。

参考:厚生労働省「ページ4:介護福祉士の概要について」

 

介護福祉士の資格の取り方・受験の要件とは?

介護福祉士資格を取得するルートは、日本在住者にとって主に3つあります。福祉系高校に入学する場合や養成施設で学ぶ場合など、さまざまな選択肢から受験資格を得ることが可能。自身の状況を照らし合わせながら、各ルートのポイントを確認しましょう。

 

1.養成施設ルート

介護福祉士の資格を取得する1つ目の方法は、養成施設ルートです。

平成19年度以前は、2年以上養成施設で学び卒業と同時に資格を取得できていました。平成27年度の改正で教育内容を追加し、1850時間の研修を受講することで介護福祉士の資格を取得できます。

養成施設ルートでは、高等学校卒業後、介護福祉士養成施設に入学するか、大学・社会福祉士養成施設・保育士養成施設に入学するかでルートの内容が多少変わります。

介護福祉士養成施設に入学した場合は、2年以上の学習が必要。大学・社会福祉士養成施設・保育士養成施設に入学した場合は、卒業後に介護福祉士養成施設にて1年以上学ぶ必要があります。

参考:厚生労働省「介護福祉士資格の取得方法について(4ページ)」

参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験」

 

2.実務経験+研修ルート

介護福祉士の資格を取得する2つ目の方法は、実務経験+研修ルートです。

3年以上の実務経験があることが受験資格とされていましたが、平成19年度に改正され、現在では、実務経験に加えて実務者研修の受講が必須となっています。さらに平成27年度に法が改正され、研修時間の見直しが行われています。

具体的には、3年以上の実務経験に加え、実務者研修もしくは介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修を受講することで、国家資格の受験資格を得られます。

参考:厚生労働省「介護福祉士資格の取得方法について(4ページ)」

参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験」

 

3.福祉系高校

介護福祉士の資格を取得する3つ目の方法は、福祉系高校ルートです。

福祉系高校や特例高校などを卒業することで受験資格を得られます。福祉系高校の場合、平成20年度以前の入学者と、平成21年度以降の入学者では、資格までのルートが多少異なるので注意が必要です。

平成20年度以前の入学者は、卒業後に介護福祉士国家試験の筆記試験と実技試験の両方に合格することで資格を得られます。一方、平成21年度以降の入学者は、筆記試験のみ。実技試験は免除されます。

特例高校の場合は、卒業後に9カ月以上の実務経験を積むことが必須。その後、筆記試験・実技試験をパスすれば資格を取得できます。実技試験の免除を申請する場合は、実務経験に加えて、介護技術講習または介護課程・介護課程IIIの履修が求められるので注意が必要です。

参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験」

 

4.経済連携協定(EPA)ルート

日本に在住者にとっては関わりが薄いものの、経済連携協定(EPA)ルートも存在します。

経済連携協定(EPA)ルートの対象者は、EPA介護福祉士候補者と呼ばれています。EPA介護福祉士候補者は、経済連携協定に基づき、受入施設において日本の介護福祉士資格の取得を目的に研修を受けながら就労している方々のことを指します。

現状、EPA介護福祉士候補者の対象とされている国は、インドネシア・フィリピン・ベトナムです。

EPA介護福祉士候補者は3年以上の実務経験を積んだあと、筆記試験・実技試験を受けることで介護福祉士資格を取得できます。

参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験-受験資格」

参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験-受験資格(資格取得ルート図)」

 

介護職に関係する他の資格も確認しよう

介護職で活躍したいという方には、介護職で唯一の国家資格である介護福祉士の資格を取得することで、キャリアを客観的に示せたり、業務や職種の選択肢を広げたりすることができます。本記事で紹介した資格を取得するルートから、最もご自身にあったルートを検討し、資格の取得を試みてはいかがでしょうか。

また、介護職には、介護福祉士以外にもさまざまな職種があります。介護に関する国家資格は介護福祉士のみですが、ケアマネジャーとも呼ばれる介護支援専門員や、介護職員実務者研修などの資格も存在します。

それぞれ試験の受験要件を確認し、自身のキャリアアップのために必要な資格取得を検討してみてください。


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