「将来こんなことをしてみたい」「理想のキャリアのイメージはできている」と思っていても、理想と現実のギャップをどう埋めればよいかわからず悩んでいる若手ビジネスパーソンもいるのではないでしょうか。
日本酒メーカーの株式会社WAKAZEの若手社員・有園七海さん(25)は、「地元でチャレンジできる人を増やしたい」というビジョンに向かって、少しずつ経験を増やし、スキルを磨いています。
これまでに二度の転職を経験し、現在は3社目。時には理想と現実のギャップに苛まれそうになることもあると言いますが、ビジョンをぶらすことなく前向きに突き進んでいる姿が印象的です。
そんな有園さんは、どのように理想と現実のギャップに向き合っているのでしょうか。前職の経験や転職の経緯なども含め、詳しく話を聞きました。
クラフトどぶろく「三軒茶屋のどぶろく Chocolate」
株式会社WAKAZEは「日本酒を世界酒に」の実現を目指し、山形県鶴岡市で2016年に創業しました。
2018年7月には東京都・三軒茶屋に「三軒茶屋醸造所」を、翌年にはフランス・パリ近郊に醸造所「KURA GRAND PARIS」を創立し、多様性あふれるSAKEを造り続けています。
今年1月には、クラフトどぶろく「三軒茶屋のどぶろく Chocolate」を新発売。お米の魅力を活かしたとろとろとしたテクスチャと、カカオの香りとコク、米麹の優しい甘さが特徴のどぶろくです。
2社での経験を経て、日本酒スタートアップへ
有園さんは、就職のために止む無く地元を離れる同世代を間近で見てきたなかで、「地元・新潟でチャレンジできる人を増やしたい」という想いを抱くようになったそうです。
そのため、「都市と地方の働くと暮らすをもっと面白く」をミッションに掲げるオフィス仲介や空間デザインなどを行うベンチャー企業へ新卒入社。主に採用と広報を担当していました。
その後、フードロス削減のためのECサイトを運営するベンチャー企業へ転職。「フロントにも挑戦してみたい」と思い、2社目では主に営業の仕事に従事していたといいます。
株式会社WAKAZEには、2021年11月に入社。現在は三軒茶屋醸造所の新商品プロモーションを主に担当しています。
-----1社目のオフィス不動産会社へ入社を決めた理由は?
有園さん:単なるオフィス不動産ではなく、課題のある地方の会社をサポートすることにもチャレンジしていた会社だったからです。例えば地方の工場をスタイリッシュにイノベーションして、それが採用効果にもつながったというケースがありました。
「働く」面白さから、「暮らす」面白さに波及していく…そんな理念に共感を覚えたことが入社の決め手でした。
当時は主に採用と広報をひとりで担当しており、刺激的な毎日を過ごしていました。そして2年目の夏ごろ、学生時代のインターン先の上司からの誘いがきっかけで転職を決意。
インターンをしているときに刺激を受けたメンバーがいる環境でもう一度働いてみたいと思ったこと、さらにフロント業務も経験してみたいと思ったことがきっかけです。
-----2社目で初めて営業を経験してみて、いかがでしたか?
有園さん:実際、初めての営業は難しかったですが、広報と比べると、扱っているものは違えどやっていることは同じだなという発見がありました。
食品のロスが生じてしまって困っている事業者の方がいらっしゃったら、「この食品が欲しい人はどこにいる?」「それをちゃんと届けるためにはどうすればよい?」を考えて、提案する。この仕事は、商品やサービスの価値を、伝えたい人に確実に届けようと動く広報と、考え方は同じだなと思います。
-----その後、WAKAZEに転職された経緯についても教えてください。
有園さん:2社目に在籍している時、改めて「自分は何がしたいんだっけ?」と振り返ってみたことがきっかけです。
私のベースにある想いは「地元でチャレンジできる人を増やしたい」。これは変わっていませんでした。そのためには何を経験し、どんなスキルを身につければよいか、試行錯誤しながらキャリアを歩んできましたが、この時点で「新潟が誇れる"酒"を軸に地元でビジネスができないか」と具体的なイメージを持てるようになっていました。
実は大学時代、フランス文学を専攻していたので、コロナ禍前にはよくパリを旅していました。フランスの食卓にはいつもお酒がなじんでいます。その光景を思い出しては「もっと日本国内や世界に日本酒を広めたい」と考えるようになっていたんです。
-----それで、日本酒スタートアップのWAKAZEに?
有園さん:はい。ずっと気になっていた会社ではありましたが、改めて代表と話をしたときの「パリでもっとライトに日本酒が飲まれるようになると、日本国内でも新しい風が吹き、日本酒が"世界酒"に近づくのではないか」というビジョンにとても共感し、入社を決めました。
「できないこと」を把握し、それを埋めていく
自分の軸だけを頼りに、さまざまな経験を積みながら、スキルアップをし続けている有園さん。WAKAZEでは、初めての"toCビジネス"に挑戦。CS/マーケ担当として、実際にお客様の声をリアルに聞けることが一番嬉しいのだそう。
-----どんな時に、リアルな声を聞くことができるのですか?
有園さん:私がジョインした直後の昨年12月、「クリスマスまでの24日間、WAKAZE公式アカウントのフォロワーへ毎日ひとつ商品をプレゼントする」というアドベントカレンダー企画を行いました。
WAKAZEのファンを少しでも増やしたい!という想いで始めた取り組みで、当選者の方には手書きメッセージを添えて商品をお送りしていました。すると、当選者の方が、商品を受け取った後SNSで「今日届きました!」「手紙も入っていた!」とポジティブな投稿をしていただくことも多く、とても嬉しかったですね。
日々仕事をしている中では、毎日お客様と会話することができるわけではないので、改めてお客様と触れ合えるよい機会だったなと思っています。
-----大成功の企画だったんですね。新しい業界に飛び込んだことで、力不足や経験不足を感じることもありますか?
有園さん:力不足や経験不足は常々感じていますし、理想と現実のギャップに苛まれそうになる時もあります。
でも、そんな時に意識しているのは、「わからないこと」「できないこと」を把握し、理解すること。それができていれば、あとは不足部分を埋めていくだけだからです。
例えば、営業スキルを身につけたいけれど、経験がなかったから、その経験ができる2社目へ転職しましたし、日本酒を広めるための知見を深めたかったから、WAKAZEへ転職しました。
軸さえあれば、そのために「何が足りないか」を把握することで、理想と現実のギャップを少しずつ埋めていくことができるだろうと考えています。
地元・新潟でチャレンジできる人を増やしたい
-----「仕事をする上で一番大切にしたい」と思うことは何ですか?
有園さん:自分が目指しているもの、会社が目指しているものを俯瞰して見ることで、「この仕事は必要か」「良い施策か」を判断したいと思っています。
そのうえで「良い施策」とは何か?何をもって「良いとするのか?」といった、判断するための"確固たる軸"を常に模索し続けています。
-----なるほど、難しそうですが大切なことですよね。最後に、今後の展望についてお聞かせください。
有園さん:いろいろな業界や職種にトライしていますが、決して「広く浅く」ではなく、それぞれの経験やスキルをうまく「掛け算」していくことで、自分の武器を育てていきたいです。
最終的には、食や酒で地元を盛り上げ、地元でチャレンジできる人が増えるといいなと考えています。
自分自身のビジョンをぶれずに持ち続けるだけではなく、そのビジョンをさらに深堀りし、不足している部分を把握しては埋め、着実に成長を遂げている有園さん。
その姿は、まさに理想と現実のギャップに悩む同世代にも勇気と活力を届けてくれそうです。
「何から始めればよいかわからない…」と頭を抱えている人は、まずは自分に何が足りないのか、改めて考えてみると、具体的な一歩を踏み出すきっかけにつながるのではないでしょうか。
出典元:株式会社WAKAZE
出典元:三軒茶屋のどぶろく Chocolate
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