コロナ禍や働き方改革など、変化の激しい時代。困難を乗り越えて前向きにキャリアを切り拓いていくためには、どうすればいいのでしょうか。
株式会社Ridilover 新卒1年目の戸嶋寛太さん(24)は、コロナ禍で売り上げを落としていたチームを立て直し、V字回復を実現。現在はチームリーダーとして、メンバーを率いてさらなる成長を目指しています。
困難な状況をどのように乗り越えたのでしょうか。仕事への向き合い方を取材しました。
社会の無関心の打破を「Ridilover」
株式会社Ridilover(リディラバ)は、「社会の無関心の打破」をミッションとして、社会課題の現場を訪れる「スタディツアー」や、社会課題に特化したWebメディア「リディラバジャーナル」を運営。
スタディツアーは、活動開始から12年間で、延べ400種類以上のツアーを造成し、1万3000人以上を社会課題の現場に送客したそう。法人に対しても、企業研修の分野においてツアープログラムを提供しています。
インターンを始める前から入社を決意
戸嶋さんは、大学のゼミの先輩が代表を務めていた同社に2019年にインターンとして参画し、2021年4月に新卒入社しました。
もともと社会問題に関心があり、大学では社会学系の学問を専攻。「社会問題の解決に携わる仕事がしたい」という想いを持って、リディラバにジョインしたそうです。
現在は、教育旅行チームの事業責任者として、事業戦略の立案・学校や旅行代理店への営業活動・スタディーツアーの開発や運営などを一気通貫して手がけています。
-----長期インターンでの経験を経て、リディラバへの入社の意思を固めたのですか?
戸嶋さん:いえ。インターンを始める時点で、既に「リディラバに入社したい」と思い、応募しました。
-----早い段階でキャリアを決めていたのですね。他の会社は検討していなかったのですか?
戸嶋さん:就活の段階ではあまり検討せず、リディラバ一社に絞って考えていました。
その理由は、僕の感じていた問題意識がリディラバの理念とマッチしていたからです。
大学で難民調査などを手がける中で、社会問題解決の根底には、その領域にヒト・モノ・カネが持続可能な形で流入する仕組みがないという課題があることに気づき、社会問題に関わる当事者や支援者を企業や学校といった第三者とつなげる仕事を、ビジネスとして行いたいと思うようになりました。
同じ問題意識を持って事業を展開している会社が、リディラバだったのです。
-----就活の際に「これだけは譲れない」とこだわったことは?
戸嶋さん:根底にあったのは、“本当に自分のやりたいことが、その会社でできるのか”という点でした。
その次が“人”です。一緒に働く人たちを尊敬できるか、想いを持って働いている人が多い環境なのかという点を重視しました。
コロナ禍でも積極的に事業を展開
入社後、戸嶋さんはコロナ禍で大きく売り上げを落としていた教育旅行チームを立て直し、綺麗なV字回復を実現させたそうです。
-----V字回復に向けて、どのように考え・行動しましたか?
戸嶋さん:コロナ禍で一時中断していた事業への配属でしたが、教育は自分の関心領域だったため不安は特に感じず、むしろ「この困難を乗り越えていくには、どうすればいいんだろう」とポジティブに考えました。
配属後、まずは現場の声を聞くことが大切だと考え、学校の先生や旅行代理店の方にコロナ禍による市場の変化について聞きました。
すると、修学旅行の日程短縮や行き先を近県に変えるといった“方面変更”が大きなトレンドになっていることが判明。そこで、もともと東京メインで展開していたスタディーツアーを、新たに関東近郊や関西エリアに展開し、旅行代理店を通して積極的に営業をかけていったところ、方面変更の需要にマッチして売り上げを回復させることができました。
現在では、東京・関西・沖縄をメインに、千葉県や静岡県、新潟県など全国でスタディーツアーを展開しています。
一人で全て抱えず、果たすべき役割に注力
戸嶋さんは現在、教育旅行チームのリーダーとして、5人のメンバーを率いてさらなる成長を目指しています。
-----若いリーダーとして仕事をすることに、プレッシャーはありませんか?
戸嶋さん:自分一人だけがリーダーであるという意識はないので、プレッシャーはあまり感じていません。
教育旅行チームは現在、メンバー一人ひとりにリーダーシップが求められるフェーズにあります。そのため、僕がリーダーとして皆を率いるのではなく、皆で一緒の方向に向かっています。
-----リーダーとして心がけていること・工夫していることは?
戸嶋さん:僕が指示したことを実行するチームではなく、一人ひとりが主体性を持って動くチームを心がけているので、一人ひとりに大きな裁量を渡して一緒に仮説検証を回していくようにしています。
また、もう一つ意識しているのは、自分で全てをやってしまわないことです。
自分でやった方が早いかもしれないと思う仕事でも、人に任せられる仕事はメンバーに任せ、僕は定型化されていない業務や、自治体等との協業など“チームの顔”として果たすべき役割にリソースを割くようにしています。
仕事の“従”にならず、“主”であり続ける
-----働き始めてからこれまでを振り返って、「これをやって良かった」ということは?
戸嶋さん:いろいろありますが、一番は、事業責任者として事業計画を作成したことです。
“社会的な事業=非営利的”というイメージを持つ方も多いかと思いますが、戦略を持ってマネタイズできなければ、持続可能性がなくなり、社会的インパクトが先細りしてしまうため、事業計画は不可欠です。
事業計画の作成を通して、目の前の仕事だけにフォーカスするのではなく、5年後・10年後にこの事業をどう広げていくか、俯瞰して視野を広め、長い目で事業を見ることができました。
-----前向きに仕事していくためのモチベーションをどう維持していますか?
戸嶋さん:息抜きするように心がけています。
仕事のタスクが多くても、時間を区切ってタイムマネジメントして業務時間内に仕事を終わらせるように努め、仕事後には気持ちを切りかえてサウナなどを楽しんでいます。
そのように仕事と自分を切り離すことで、仕事との関係性において、自分が“従”ではなく“主”であり続けられるよう意識していますね。
こういう時代だからこそ、主体性を大切に
-----やってみたいこと・実現したいことなど、これからのビジョンを聞かせてください。
戸嶋さん:今の仕事を通じて、実際に社会問題を解決したり、誰かの困りごとを低減したりといった実績を作りたいと考えています。
そのために、まずは、現在担当している教育旅行事業を伸ばしていきたいです。
具体的には、学校と社会をつなぐ学びを日本全国の高校生300万人に届けるために、スタディーツアーの導入だけではなく、ICTを使って個別最適化された教育の形を提案できないかと考えています。
また、中長期的な目標として、大企業や官公庁が持っている技術やお金などのリソースを使って実際に社会問題を解決していくフェーズにも関わっていきたいです。
-----「困難な状況も乗り越えて、前向きにキャリアを切り拓きたい」と考えている同世代に向けて、メッセージをお願いします。
戸嶋さん:キャリアも幸せも人それぞれなので偉そうなことは言えませんが、こういう時代だからこそ“主体性を失わないこと”が大切だと思います。
困難な状況に直面した時に、ただ従うのではなく、「それは本当に自分がやりたいことなのか」「モチベーションを持ってやれるのか」を自分に問い続ける。
そのように、キャリアにおいても仕事においても、自らが自分のハンドルを握り続けたほうが、楽しく生きることができるのではないでしょうか。
もし、悩んでいるのなら、いったん仕事と切り離して、自分を見つける時間を作ってみると良いかもしれませんね。
コロナ禍の厳しい状況をものともせず、事業を発展させる道を前向きに見つけ出した戸嶋さん。自分を見失わず、芯を持ち続けているからこそ、さまざまな状況に柔軟に対応できているのでしょう。
仕事をする上で、時代の移り変わりや会社の事業転換など、何かしらの変化は避けては通れません。しかし、あくまで自分が“主”であることを忘れないよう心がけていれば、流されることなく、自分らしいキャリアを楽しむことができるのかもしれませんね。
出典元:Ridilover
出典元:Ridilover/スタディツアー
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