「僭越(せんえつ)ながら」という言葉の意味や、使い方がよくわからない人もいるのではないでしょうか。
本記事では、「僭越ながら」の意味や使用する際のポイント、結婚式や葬儀、ビジネスシーンごとの例文を紹介。「僭越ながら」の類語も多数紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
- 「僭越ながら」を使用する際のポイント
- 「僭越ながら」の使い方の例文・文例
- 「僭越ながら」の類語・言い換え表現
そもそも「僭越ながら」の意味とは?読み方は?
まずは、「僭越ながら」の基礎的な知識をご紹介します。すでに意味や読み方を知っている人は今一度確認しておきましょう。
「僭越ながら」の漢字は難しいですが、読み方は「せんえつながら」です。意味は、自分の立場や身分、権限、地位などを超えて何かを行うことを指します。
例えば「僭越ながら友人を代表してスピーチをさせていただきます」のように使用することが多いです。
「僭越ながら」を使用する際のポイント
「僭越ながら」は、使い方を間違えれば違和感を覚えさせてたり、謙遜のつもりが逆に無礼な発言になったりしてしまう可能性があります。
以下では、無礼な発言にならないように「僭越ながら」を使用する際のポイントをご紹介します。
ポイント1.立場が上の人がいる場で使う
「僭越ながら」を使用する際のポイントの1つ目は、立場が上の人がいる場で使うことです。
例えば、飲み会の席で社長が「僭越ながら私が乾杯をさせていただきます」と使うのは誤用。立場が上の人がいない場だと、自分の立場を超えてする行いではないので、「僭越ながら」の意味から外れてしまいます。社長がいる中で、部長が「僭越ながら私が乾杯をさせていただきます」と使うのが正解です。
もし、立場が最も高い人が「僭越ながら」を使用すると、「嫌味で言っているのか」と思われることもあるので気をつけて使いましょう。
ポイント2.多用しない
「僭越ながら」を使用する際のポイントの2つ目は、多用しないことです。
「僭越ながら」は、謙遜の意味を含めた言葉なので、何度も使用するとくどく感じてしまいます。
例えば「私なんかが申し訳ないですが」「私なんかがやらせてもらって…」のようなネガティブな言葉を連呼すると、相手を嫌な気持ちにさせてしまいます。
「僭越ながら」も同様に自分を下げて相手を上げる言葉なので、使用しすぎると「しつこいな」と思われてしまう可能性があることに注意しましょう。
ポイント3.必要のないときは使わない
「僭越ながら」を使用する際のポイントの3つ目は、必要のないときは使わないことです。
「僭越ながら私が担当させていただきます」のように、何でも「僭越ながら」をつけるのはNG。当たり前に自分がすることや、いつも自分がしていることには「僭越ながら」は使いません。
この場合は「僭越ながら」ではなく、「恐縮ですが」「分不相応ではありますが」などを使用するといいでしょう。
「僭越ながら」の使い方の例文・文例
「僭越ながら」は、少々使用が難しい言葉であることをご紹介しました。
誤用をしないためにも、以下では「僭越ながら」の正しい使い方の例文をご紹介します。
ビジネスシーン
ビジネスシーンでは、自分より立場が上の人がいる場合が多いので、誤用せずに「僭越ながら」を使用できるシーンが多いでしょう。
以下では、ビジネスシーンで使用できる「僭越ながら」の例文をご紹介します。
- 〇〇部長が不在のため、僭越ながら私が担当させていただきます
- 僭越ながら、私から発言させていただきます
- 僭越ながら申し上げますと、
結婚式の挨拶
結婚式の挨拶では、自分より年配の人や地位が高い人がいる場合は「僭越ながら」を使用できます。
すでにご紹介したように何度も使ってしまうと嫌味に感じられるので、3回以上は使用しないようにしましょう。
以下では、結婚式の挨拶で使用できる「僭越ながら」の例文をご紹介します。
- 〇〇さんにご指名いただき、僭越ながら私が乾杯の音頭を取らせていただきます
- 僭越ながら、友人代表としてスピーチをさせていただきます
- 誠に僭越ながら、友人を代表してご挨拶させていただきます
葬儀の挨拶
葬儀の挨拶をする際に、喪主が「僭越ながら」を使用するのは誤用です。喪主は当然スピーチや司会をするべきなので、立場や身分を分きまえずという意味を持つ「僭越ながら」から外れてしまいます。
葬儀に「僭越ながら」を使用できるのは、参拝客を代表してスピーチをするときです。
以下では、葬儀の挨拶で使用できる「僭越ながら」の例文をご紹介します。
- 僭越ながら、献杯のご挨拶をさせていていただきます
- 僭越ながら、〇〇さんの友人を代表してお話させていただきます
メール
メールでも「僭越ながら」を使用することは可能ですが、使用する際は立場が上の人がいるかどうかを考えた上で使用しましょう。
以下では、メールで使用できる「僭越ながら」の例文をご紹介します。
- 誠に僭越ながら、参加させていただきます
- 僭越ながら、お断りさせていただきます
- 僭越ながら、賛同できかねます
「僭越ながら」の類語・言い換え表現
何度も「僭越ながら」を使用するとくどい印象になってしまうことを説明しました。そのため、「僭越ながら」の言い換え表現を知っておくと複数回「僭越ながら」を使いたいシーンで役に立ちます。
それぞれの使用方法を押さえて、正しい日本語を使えるようになりましょう。
「及ばずながら」「憚りながら」「微力ながら」
「及ばずながら」「憚りながら(はばかりながら)」「微力ながら」は、「自分では力不足かもしれませんが」という謙虚な気持ちを表した言葉です。
「僭越ながら」とは違い、立場が上の人がいるかどうかという制限を受けないので、使用しやすい言葉です。
「微力ながら参加させていただきます」「及ばずながら精一杯がんばります」のように使用されます。
「出過ぎたことを言うようですが」「出過ぎた口を利いてしまい」「出過ぎた真似を」
「出過ぎたことを言うようですが」「出過ぎた口を利いてしまい」「出過ぎた真似を……」などは、「でしゃばった真似をしてしまっているかもしれないが〜する」という意味を表します。
なかなか言いにくいおせっかいに聞こえる内容を伝えるときに使用できるとスマートです。
例えば「出過ぎたことを言うようですが、本企画のソースとなっているデータは10年前となっており信頼性に欠けると思います」「出過ぎた真似をしてしまい大変申し訳ありません」のように使用できます。
「お言葉ですが」
「お言葉ですが」は、相手とは反対の意見を伝える際に使用できる言葉です。
「お言葉ですが」は、相手の意見を強く拒否しているようにも感じる言葉なので、使用する際はくれぐれも注意して使用しましょう。
例えば「なるほど、納得しました。しかし、お言葉ですが〜〜」のように一度相手の意見を受け入れる姿勢を見せることも大切です。
「失礼を承知の上で申し上げますが」
「失礼を承知の上で申し上げますが」は、「失礼ながら」をより丁寧に伝える表現です。
相手の気分を害してしまう可能性がある発言をしたり、クッション言葉として使用されたりします。
例えば「失礼を承知の上で申し上げますが、この企画書はこのままだと通らないと思います」のように使用できます。
「僭越ながら」の意味を理解して、正しい使い方を行おう
- 「僭越ながら」は自分の立場や身分を超えて何かを行うこと
- 多用したり、必要でないときに使用したりしない
- 「お言葉ですが」「及ばずながら」などの類語を覚えておくと役に立つ
本記事では、「僭越ながら」の意味や使い方の例文、類語などをご紹介しました。「僭越ながら」は誤用しやすい言葉なので、使用する際は立場が上の人がいるか・使う必要があるのかなどを考えた上で使用することをおすすめします。
本記事を参考に、「僭越ながら」やその他の類語の使用方法を押さえて、違和感を持たれない言葉選びができるようになりましょう。
【関連記事】
「頑張ってください」を敬語で目上の人に伝える言い方は?3つの言い換え表現を紹介
目上の人に対して「頑張ってください」と言っても失礼ではないのか、不安に思った人もいるでしょう。 本記事では「頑張ってください」をビジネスシーンで適した言葉遣いで伝える方法をご紹介します。 ...
ビジネスシーンで目の上の人に「なるほど」は失礼?丁寧語・敬語で言い換える方法
「なるほど」を相槌に使っていいのかわかりかねている人もいるのではないでしょうか。 なんとなくふさわしくない言葉遣いな気がして「なるほどですね」と使っている人もいるでしょう。 本記事で...
「わかりました」の敬語言い換え表現3選|間違いやすい10の敬語の正しい使い方
「わかりました」を敬語で伝えたいけれど、「了解しました」「承知しました」など何を使えばいいのかわからない人も多いのではないでしょうか。 本記事では、「わかりました」を正しい敬語で伝え方につ...
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう