HOMECareer Runners 「コロナ禍で苦しむ飲食店の力になる」25歳で2回目の起業に挑戦したBoomee代表に聞く、想いを形にする方法

「コロナ禍で苦しむ飲食店の力になる」25歳で2回目の起業に挑戦したBoomee代表に聞く、想いを形にする方法

和泉ゆかり

2021/10/25(最終更新日:2021/10/25)


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沼田佳莞さん/提供:株式会社Boomee

「好きなことを仕事にしたい」「事業を立ち上げたい」など、挑戦したいことがあったとしても、実際に想いを形にするには、どうしたらいいのでしょう。「一体、何から始めればいいかわからない…」という人も多いかもしれません。

株式会社Boomee代表の沼田佳莞さんは、25歳にして起業を2回経験。最初は必要なスキルも経験もなかったといいます。沼田さんへ、想いを形にする方法を取材しました。

コロナ禍で苦戦を強いられている飲食店を支援!「Boomee」

株式会社Boomeeが展開するモバイルオーダーアプリ「Boomee」は、コロナ禍で特に売上が落ち込んだ飲食店の集客支援を目的に開発されました。現在は早稲田大学周辺の飲食店でサービスを展開しています。

利用者は、店舗ごとに発行されるポイントを貯めれば、来店回数に応じた割引を受けることもできます。他の利用者と協力すれば、より簡単に割引を獲得することも可能。飲食店にとっては既存顧客のファン化や、新規顧客への宣伝効果につながります。

また、利用者は事前にアプリで注文・決済をするため、飲食店スタッフとの接触回数を減らせるほか、お店側としては、店内滞在時間を削減でき、回転率の向上も期待できるといいます。

提供:株式会社Boomee

空腹は満たせても、心は満たされなかった

-----Boomeeはお店で食事を楽しむためのアプリですよね。コロナ禍では、テイクアウトやデリバリーなどのサービスが盛り上がりを見せていましたが、あえて「イートイン」に着目したのはどうしてですか?

沼田さん:僕自身が、テイクアウトとデリバリーを多く利用する中で、空腹は満たせても心が満たされないと感じていたためです。目の前に出来立ての食事が出てきたり、他の人たちと一緒に味わったりするあの非日常的な空間は、店内でしか感じられないと思います。

とはいえ、テイクアウトやデリバリーにも対応してほしいという要望はあるので、今後は柔軟に対応していけたらと考えています。

-----早稲田大学周辺の飲食店にこだわった理由はありますか?

沼田さん:まず、コロナ禍でもオフライン授業が多かったこと。そのため、イートインの需要があると考えました。早稲田大学は学生数が多く、キャンパスが密集しているんです。そして、"ワセメシ"と呼ばれるように、大学周辺の飲食店が文化を作っていることが挙げられます。だからこそ、早稲田大学周辺の飲食店を支援することに意味があると思いました。

今後は、他大学にもサービスを拡大していく予定です。

-----利用者の反応はどのようなものでしょうか?

沼田さん:学生からは、「事前注文・決済できるので安心。コロナ禍では営業時間が不規則なお店も多いですが、Boomee利用店舗では"行ったけれど休みだった"ということがない」「友達がおすすめしているお店だから間違いない」といった声をいただいています。

飲食店に関しては、高い集客力を実感していただいています。他サービスでは、どうしても認知度の高いお店がアプリ内の目立つ場所に掲載されますが、Boomeeでは、知り合いがおすすめするお店が上位に掲載されるからです。実際、長く他のサービスを使っていたものの売上が伸びなかったお店から、Boomeeに登録してから右肩上がりになったという喜びの声もいただいています。

提供:株式会社Boomee

想定の範囲内の人生を送るのは、もったいない

-----ここからは、沼田さん自身のことを教えてください。就職ではなく、起業の道を選んだ理由を教えていただけますか?

沼田さん:自分がいることで、世の中を少しでも良くしたいと思ったからです。

-----実際の行動に移せる人は、そう多くはなさそうですね。

沼田さん:僕の場合、さまざまなことが重なったんです。まずは、大学受験。合格は絶対無理だと周りから言われていた大学に、とにかく頑張ったら見事合格。「自分の意思次第で未来はどうにでもなる」と自己肯定感が爆上がりしました。

また、ある日、アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏のドキュメンタリーをテレビで見たときのこと。彼の生き方や考え、生み出したプロダクトがいかに世の中を変えたかを改めて知り、素直にかっこいいなと思いました。そして何より、彼も感動したり、怒ったりする一人の人間であることを実感。それまでは、自分とは何から何まで違う存在だと思っていましたが、彼の人間らしさを知り、「もしかしたら、自分もジョブズのように何かを生み出せるかもしれない」と思うようになりました。

とはいえ、大学に入学した後は、アルバイトに明け暮れる日々。入学前の熱意はどこかにいっていましたね。

「自分の人生、このままでいいのか」と思ったのは、夏休みに帰省したときです。ふと目に入ったのは、部屋に山積みになった受験勉強で使った参考書。それらを見て、入学前の気持ちを思い出したんです。加えて、経営学部に在籍していたこともあり、周りにも起業を志していた人が多かったのも、起業を後押ししたことのひとつです。

「想定の範囲内の人生を送るのは、もったいない」。そう思いました。

「経営者は職業である」

-----起業しようと決意して、その後どのような行動をしたのですか?

沼田さん:最初は自分1人なので、実際に現場に飛び込み、どのようなニーズがあるか、何が必要かを自分の目と耳で確かめました。そこから、事業を立ち上げる際に必要なスキルを持っている仲間を知り合い経由やSNSで探していきました。

-----Boomeeは2回目の起業だそうですね。

沼田さん:1回目は22歳の時、大学を休学して学生向けのSNSを立ち上げました。アプリリリース2時間でユーザー600人獲得、リリースイベントには750人以上が参加するなど、好調なように見えましたが、マネタイズの甘さから泣く泣くクローズ。仕組み化できていなかったことも、原因のひとつとして挙げられると思います。

Boomeeを立ち上げたのは、少しでも飲食店の力になりたいと思ったからです。支援したいと言いつつも、実際は飲食店の方たちにいつも助けられています。

最初はBoomeeに登録していただける飲食店を探しに、飛び込み営業。なかなかうまくいかなかったですね。少しずつ信頼関係を築きながら、そして仲間を増やしながら、リリースするに至りました。

-----実際に起業して、学んだことはありますか?

沼田さん:「経営者は職業である」ことです。何もないゼロのところに実際に飛び込んで、何が必要なのかを肌で感じる。そこから仲間と一緒に仕組みを作り上げて、仲間に任せるのが経営者です。経営者とは、肩書きなのではなく、職業なのだと思います。

-----起業家として、何か特別な勉強などはしているのですか?

沼田さん:基本的に「やってみればなんとかなる」というスタンスで進めているので、これといった勉強は特にしていません。ただ、メンバーとのコミュニケーションや、仕組み化の重要性など、1回目の起業の失敗からは多く学んでいます。

-----最後に、今後の展望を教えていただけますか?

沼田さん:まずは、Boomeeを利用していただける方や飲食店を増やし、皆さんの日常に馴染むサービスにしていきたいです。そのため、今後はアプリの使い勝手をより良くしていきたいと考えています。

会社としては、ITが苦手な人でもオンラインサービスを使いやすくするなど、テクノロジーを使って、オンラインやオフラインが融合した滑らかな社会を作っていきたいです。

提供:株式会社Boomee

スティーブ・ジョブズ氏のドキュメンタリーを見て、「自分もやればできるのでは」と感化された沼田さん。また、「やってみればなんとかなる」というスタンスで、失敗にめげることなく、今回2度目の起業を成し遂げました。想いを形にする際に必要なのは、特別なスキルや経験の前に、自分を信じる気持ちなのかもしれません。

「起業を考えている」「挑戦したいことがある」という若手ビジネスパーソンにとって、沼田さんの姿は参考になるのではないでしょうか。

出典元:株式会社Boomee

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