お葬式やお通夜に送る香典では、どの程度の金額を包めばいいのか悩む人も多いのではないでしょうか。
本記事では、相手別の香典の金額の相場を紹介。またマナーが気になる香典袋の書き方や渡し方などを詳しく説明します。
香典について悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
- 【相手別】香典の金額相場
- 香典袋の表書きや中袋の書き方
- 香典の渡し方・タイミング
そもそも香典とは?何のために送るの?
そもそも香典とは何のために送るものなのでしょうか。香典を心を込めて渡すためにも、香典を渡す意味を知っておきましょう。
香典とは、お香の代わりに悲しい気持ちやお悔やみの気持ちを添えてお供えするお金のことをいいます。
また、お葬式やお通夜などで物入りの親族を助けるためという意味も含まれています。
形式的にお金を渡すのではなく、心を込めて渡せると故人も喜んでくれることでしょう。
【相手別】香典の金額相場
上記でご紹介したように香典はお悔やみの気持ちを表したものです。そのため、この関係ならこのお金と決まった額があるわけではありません。
しかし、どの程度お金を入れればいいのか迷う人も多いでしょう。以下では、香典の金額相場を相手別にご紹介します。
1.母親・父親
亡くなったのが母親や父親の場合、大変つらい気持ちにあるでしょう。自分の親や結婚相手の親の場合は、10万円が相場だとされています。
しかし、20代〜30代の場合10万円も出せないという人もいるのではないでしょうか。その場合は、出せる範囲の金額で大丈夫ですが、4や9のような縁起が悪い数字は避けましょう。お札の数は、1・3・5・10枚がよいとされているので、10万円が出せない場合は5万円包むことをおすすめします。
また、両親に扶養されている場合や、自分が喪主の場合は、香典を準備する必要はありません。
2.祖母・祖父(自分自身が孫の場合)
祖母や祖父が亡くなった場合は、1万円~3万円が相場だといわれています。義理の祖父母であっても、同居をしていてもいなくても同様です。
ただし「自分は祖父母に育ててもらった」のように縁が深い場合は、5万円や10万円包んでも問題はありません。
両親の扶養に入っている場合は、香典を用意しなくてもいいでしょう。
3.兄弟・姉妹
兄弟・姉妹の香典は、3万円〜5万円が相場だといわれています。自分の兄弟・姉妹であっても、義兄弟・義姉妹であっても値段は変わりません。
また、すでに両親がなくなっている場合は、両親の香典よりも少ない金額が良いとされています。
4.叔父・叔母などの親戚
叔父・叔母などの親戚は、1万円〜2万円ほど包むといいでしょう。
遠い親戚の場合は、5千円程度でも問題ありません。血縁が遠くても、お世話になっていたり、恩があったりする場合は1万円程度包むことをおすすめします。
5.会社の上司・同僚・後輩
会社の上司・同僚・後輩が亡くなった場合は、5千円〜1万円が相場だといわれています。
特別お世話になった上司や同僚には、金額を上げても問題ありません。
また、元上司の場合や同僚の家族の香典の相場は、5千円です。
6.友達
友達への香典は、関係性に依存しますが3千円〜1万円が相場です。
すでにご紹介したように香典の包む金額は関係性・地域の伝統・自身の年齢によって変化します。
お金に余裕がある場合は、お世話になった恩を返す意味でも気持ちの分多めに香典を包むのもいいのではないでしょうか。
香典袋の選び方
香典を包むための香典袋は、中の金額と釣り合ったものを選ぶ必要があります。
以下では、包む値段別のおすすめの香典袋をご紹介します。
- 5千円以下:水引きがプリントされたもの
- 1~2万円:黒白もしくは双銀の水引きのもの
- 3~5万円:水引きが双銀で和紙のもの
- 6万円以上:ひだ折が付いた高級な和紙・蒼銀の水引きのもの
香典袋には入れる金額の目安が書いてあるので、香典袋をよく見て買うことをおすすめします。
また、香典袋には無地のもの・十字架が書いてあるもの・蓮の花が書いてあるものなどがあります。柄がついているものを買うと、「違う宗教の袋を持ってくるなんて非常識だ」と思われてしまう可能性があります。故人の信仰する宗教がわからない場合は、無地の香典袋を選びましょう。
十字架がついているものは、キリスト教のお葬式に使われる香典袋です。キリスト教の香典袋は、水引きがついていないのが特徴的です。故人がキリスト教徒であることがわかっているならば、十字架のついている香典袋を選ぶことをおすすめします。
蓮の花が書いてある香典袋は、仏教全般のお葬式に使われます。
故人の宗教によって選ぶ香典袋の絵柄は変わってくることを覚えておきましょう。
香典袋の表書きや中袋の書き方
香典袋には、香典であることがわかるように「表書き」を書く必要があります。
また、お金を入れる内袋にも様々なマナーがあります。
香典袋の表書きや中袋の書き方を以下で詳しく解説していきましょう。
表書きの書き方
香典袋の表書きは、宗教によって異なるのがポイントです。
「故人の信仰する宗教がわからない」という人もいるのではないでしょうか。
残念ながらどの宗教でも失礼にならない表書きは存在しませんが、どうしてもわからない場合は「御霊前(ごれいぜん)」が無難です。
相手の信仰する宗教がわかっている場合は、以下の宗教別の表書きの書き方を参考にしてください。
- 御霊前
- 御香料
- 御香典
- 御悔
仏教の中でも浄土真宗の場合は、死者の魂はすぐに仏様になるという教えがあるため、御霊前はよくないとされています。
また、浄土真宗以外の仏教では、故人が亡くなって四十九日以降の法事では、「御仏前」を使うのが一般的です。これは、故人が死亡して49日後に仏様のもとに向かうからだといわれています。
- 御花代
- 御花料
- 御ミサ料:カトリックのみ
- 弔慰金:プロテスタントのみ
同じキリスト教でも、カトリックとプロテスタントで表書きは異なります。宗派がわからない場合は、「御花代」「御花料」を使うのが無難です。
また、残念ながらプロテスタントは「御霊前」を使うことはよしとされていません。故人がプロテスタント、もしくは浄土真宗の場合は御霊前はNGなのを覚えておきましょう。
- 御玉串料
- 御神饌料
- 御霊前
- 御榊料
- 御神前
神道では、死後50日までは御霊前を使ってもいいとされています。
- 御霊前
- 御香典
- 御花料
中袋の書き方
お金を包む中袋には、郵便番号・正確な住所・氏名・包んだ金額を書く必要があります。
中袋の個人情報は、遺族の香典返しに使われるものなので忘れずに書きましょう。
包んだ金額を縦書きで書く際は、旧漢字を使うのがマナーです。以下ではよく使われる旧漢字をご紹介します。
- 千円:壱阡円
- 2万円:弐萬円
- 3万円:参萬円
- 5万円:伍萬円
- 10万円:壱拾萬円
連名で送る場合の書き方
家族や会社の部署などで連名で香典を送ることもあるのではないでしょうか。
連名で香典を送るのは、3名までが一般的です。3名以上書いてしまうと、見栄えが悪くなってしまうので避けましょう。
上司・自分・部下のように序列がある場合は、右から順に上司・自分・部下と書きます。
夫婦の場合は、中央に夫の名前を書き左に妻の名前を書くのが一般的です。
4名以上で連名で送る場合は、団体名と「一同」と書くといいでしょう。
香典袋へのお金の入れ方
香典袋に入れるお金は、新札でないほうがいいとされています。新札はお祝い事のときに使うものであるため、新札しか手元にない場合は、一度半分におってから入れるのがマナーです。
また、お札を入れる向きがあるのも気をつけることをおすすめします。
お札の顔があるほうが内袋の裏側にくるようにいれるのが正しい入れ方です。これは、お札さえも悲しくて伏せてしまっていることを表しています。
香典の渡し方・タイミング
いつ・だれに香典を渡せばいいのかよくわからない人もいるのではないでしょうか。
以下では、香典の渡し方やタイミングをご紹介します。
お通夜やお葬式に参列する場合
お通夜にのみ参加する場合は、お通夜に来たタイミングで受付の人に渡します。
受付の人に渡す際には「このたびはご愁傷様でございます」と一言添えながら一礼をして渡しましょう。
「このたびはご愁傷様でございます」は、大きな声ではなく悲しんでいることが伝わるように小さな声で言うのがいいとされています。
また、お葬式にのみ参加する場合は、遺族に直接お悔やみの言葉を告げて渡すといいでしょう。思い出話に花を咲かせたいところですが、遺族は対応に忙しいのでなるべく早く切り上げることをおすすめします。
お通夜・お葬式の両方に参列(出席)する場合
お通夜・お葬式の両方に参列する場合は、遺族の時間を取らないためにも受付で渡すことをおすすめします。
どちらにも参加するからといって香典を2回渡す必要はありません。
2回香典を渡すことは、不幸が重なることをイメージさせてしまいます。どんなにお世話になっている人でも、香典を渡すのは一度だけだと覚えておきましょう。
お通夜やお葬式に参列できない場合
外せない事情があったり、遠方で残念ながら参加できないこともあるのではないでしょうか。
香典は現金書留を使って郵送で送れます。
お通夜にもお葬式にも参列できないけれど、気持ちだけでも送りたいという人は、郵送を活用してみてはいかがでしょうか。
香典を包む袱紗にも注意
香典は何も入れずに持ち歩くのではなく、袱紗(ふくさ)と呼ばれる袋に包んで持ち歩きましょう。
お通夜やお葬式の香典を包む際の袱紗は、紫色やグレー、紺色のものを使います。
袱紗をまだ持っていない人は、お祝い事にも使える紫色の袱紗を買うことをおすすめします。
香典を受け取ったらお返し(香典返し)は必要?
香典をもらった親族は、香典返しと呼ばれる「香典をもらったことのお礼」をする必要があります。
以下では、香典返しの相場やタイミング、おすすめの品物などをご紹介します。
香典返しの相場
香典返しの相場は、もらった金額の1/3から半分の金額です。
高額な金額の香典をもらった場合は、香典を渡した人の気持ちを受け取るためにも、1/4から1/3程度の金額が相場です。
例えば1万円の香典を受け取った場合は5千円程度のお返しを、10万円をいただいた場合は3万円程度のお返しを購入しましょう。
香典返しを送るタイミングは、宗教によって異なります。以下では香典返しを送るタイミングを宗教別にご紹介します。
- キリスト教カトリック:亡くなってから30日後から一ヵ月以内
- キリスト教プロテスタント:亡くなってから一ヵ月後から一ヵ月以内
- 仏教:亡くなってから49日後から一ヵ月以内
- 神道:亡くなってから50日後から一ヵ月以内
香典返しにおすすめの品物
香典返しにおすすめの品物は、不幸が重ならないように消えてなくなる物がいいとされています。
例えば飲食料品・カタログギフト・消耗品のタオルなどが定番の品物です。カタログギフトは、相手の好きなものを選んでもらえることから人気の品物になりました。
「商品券のほうが自由度が高いのでは?」と思われる人もいるでしょうが、目上の人にお金を渡すことは無礼とされています。そのため商品券を渡すことは避けておきましょう。
香典にはお金だけではなく気持ちを込めよう
- 香典の金額は関係性・年齢・地域の伝統によって変化する
- 香典袋は入れる金額に見合ったものを購入する
- マナーを守って表書き・中袋を書く
本記事では、お葬式やお通夜における香典の金額の相場や香典袋の選び方などを詳しくご紹介しました。
香典の相場は、相手との関係性によって異なりますが、無理のない金額を包むことをおすすめします。また、宗教によって香典の表書きの書き方が異なることも覚えておくとよいでしょう。
本記事を参考に香典を準備してみてはいかがでしょうか。
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