インターネットを使えば、さまざまな情報が瞬時に入手できる今の時代。いくつかの情報を読んだだけで、"わかったつもり"になっていることもあるかもしれません。
例えば、近年、より深刻さを実感するようなった環境問題や、メディアでも取り上げられるフードロス問題。株式会社ポケットマルシェでインターンとして働いている岸本華果さん(修士2年)は、「実際に行動したからこそ気がついたことが数多くある」といいます。詳しく話を伺いました。
農家・漁師から旬の食材を購入できる「ポケットマルシェ」
株式会社ポケットマルシェは、「個と個をつなぐ」をミッションとして掲げています。「食」を通じて、消費者と生産者、都市と地方、人間と自然を「個」としてつなぎ、分断された関係性を結び直すことを目指しています。
同社が運営する「ポケットマルシェ」は、全国の農家・漁師と直接やりとりをしながら旬の食べ物を買うことができるプラットフォーム。2021年8月時点で約5700人の農家・漁師が登録し、約1万3000品の食べ物の出品と、その裏側にあるストーリーが提供されています。
目を向けるべきは、先進国の消費の仕方
-----岸本さんがポケットマルシェに興味を持った理由を教えていただけますか?
岸本さん:私は、もともと途上国における貧困問題の解決に携わりたいという想いがあり、大学に入りました。しかし、実際に途上国と言われる複数の国々を訪れて感じたのは、先進国の消費の仕方に問題があるのではないかということ。例えば、日本で消費される食べ物を作るために、低賃金かつ劣悪な労働環境で働いている人たちがいる一方で、日本では、まだ食べられるのに廃棄されてしまうフードロスが問題になっています。
このようなことが起こる理由のひとつは、生産者と消費者の距離が遠いことにあるのではないかと思ったのです。ポケットマルシェは、生産者と消費者を直接つなげることによって、心理的距離をも近づけます。普段口にしている食べ物を作り、運んでいる人たちの存在を感じられるようにすることで、食べ物の大切さや消費の仕方が与える影響を伝えていく。ポケットマルシェのそのような取り組みに興味を持ったのです。
未来を憂うだけでなく行動する
-----実際にインターンとして携わりたいと思ったきっかけは何だったのでしょう。
岸本さん:代表である高橋の「予測している未来と現実に開きがあるなら、それを埋めることが生きている意味だと思う」という言葉に心が動かされたことが大きいです。
修士1年のとき、令和2年7月豪雨など気候変動の影響の顕在化を感じ、どうすればいいのかわからない自分にもどかしさを感じていた頃、高橋の活動を間近で見る機会がありました。車座座談会や、東日本大震災から10年を機に47都道府県を行脚した「REIWA47キャラバン」への参加などです。
未来と現実の差を埋めるため、実際に行動している高橋の姿を見て、私も未来を憂うだけでなく、行動に移したいと思ったのです。
ポケットマルシェの想いを伝えていきたい
岸本さんは、修士1年の12月にポケットマルシェのインターンとして働き始めました。
-----現在は、どのような仕事を担当されているのですか?
岸本さん:ポケットマルシェの想いが伝わるよう発信をしたり、企画を考えたりしています。最近では、私たちが目指す社会を明文化したサステナビリティページを執筆し、弊社サイトに掲載しました。
-----メッセージを発信する際、どのようなことを意識していますか?
岸本さん:一人でも多くの方に、一緒に弊社のメッセージを広めていく仲間になってもらいたいと思っています。例えば、何かの災害が発生したことをきっかけに、生産者を助けたいとポケットマルシェを使い始める方もいるでしょう。このような有事で生まれた関係性をいかに日常につなげていけるか、なども意識しています。
また、サステナビリティページのメッセージを広く伝えるため、「世なおしするべ!」という対談イベントもメインで運営しています。第1回は解剖学者の養老孟司さんをお招きし、代表の高橋との対談をオンラインで実施。200名以上の方に参加していただけました。
-----新しい企画への参加など、さまざまなことに積極的にチャレンジしているのですね。
岸本さん:弊社では、「インターンだから」と仕事内容やチャレンジする機会が限定されることはないですね。例えば、私はインターン1カ月目のときに、大学院で学んでいる農業経済の知識を活かし、先輩と一緒に「ポケマル大学」という一次産業に関する社内勉強会の立ち上げを経験しました。社歴に関係なくいろいろなことにチャレンジさせてもらえますし、メンバー間の距離が近いのも魅力だと思います。
実際に問題に向き合って見えてきたこと
-----仕事を進める上で、難しさを感じることはありますか?
岸本さん:社会問題の解決という遠くを見ながら、目の前のことに取り組むことの難しさを感じています。学生だと、得られる情報や機会に限りがあることもあり、ともすれば「口だけで終わり」となることもあるのではないでしょうか。これは私自身にも当てはまることで、インターンを始める前は「もっとこうすればいいのでは?」と頭で考えていたことを、実際に行おうとしたら想像以上に難しかったということが数多くあります。
また、それまでは主にSNSを使って情報収集をしていましたが、実際に生産者からの声を聞くようになったことで、食べ物や生産者を取り巻く多くの問題がより深刻な状態にあることも実感しました。
-----インターンを始めて、学んだことを教えてください。
岸本さん:今、私たちが抱えている課題は、二項対立では語れないものもあるということです。さまざまな声を聞き、経験を重ねる中で、すべてを「良い」「悪い」と白黒はっきりさせられるわけではないと。
例えば、フードロスの問題で言えば、生産から消費に至るまで、いろいろなところでロスが生じているもの。あるところでロスが少なくなったら、他の部分で多くロスが生じるようになるかもしれません。そのため、どこかひとつを取り出して「悪い」と決めつけることには、危うさがあると感じています。
どのようなことにも、携わっている個々の人たちの存在や、込められている想いがあります。「個」を大切に、それらに想いを馳せることを学びました。
考え、問題と向き合うことをやめない
-----来年4月からは社員として働き始めるそうですね。今後の展望を教えていただけますでしょうか?
岸本さん:弊社は株式会社でありながらも、消費の仕方を始めとした現在の資本主義のあり方に疑問を投げかけています。インターンとして実際に現場の声を聞き、さまざまな経験を重ねる中で、私たちが目指していることは、想像以上に難しいことだと実感しています。もしかしたら、考えたり、向き合ったりすることをやめてしまえば楽になるという人もいるかもしれません。でも、私はこれからも考えること、そして一つひとつの問題と向き合うことを続けていきます。
それまで学校で勉強したり、情報収集を積極的に行ったりと、社会問題に対して真剣に向き合ってきたという岸本さん。そんな岸本さんでも、実際にインターンとして自分の目や耳で感じ、手や足を動かすことで、新たに発見したことがたくさんあったといいます。
実際に行動を起こし、難しさを感じながらも前に進もうとする岸本さんの姿は、多くの学生にとって参考になるのではないでしょうか。
出典元:株式会社ポケットマルシェ
出典元:ポケットマルシェ
【関連記事】
毎朝の"ありがとう"で可能性広がる!アイセールスの全社員がポジティブな理由【#私たちのミッション】
若手社員を含めた社員複数人が、自社ミッションについて熱く語り合う【#私たちのミッション】シリーズ。今回は、アイセールス株式会社の小野寺康崇さん(執行役員CSO)、茂木優弥さん(3年目・セールスサ...
"地方"と一括りにされたくない!未経験で広報を立ち上げた「おてつたび」新卒が思う、新たな挑戦に必要なこと
ベンチャー企業やスタートアップで働いている若手ビジネスパーソンの中には、「0→1」のプロジェクトに参加する機会が多い人もいるかもしれません。 でも、もし知識も経験もない分野の仕事を1人で任...
「テストの結果で選択肢が狭まる社会を変える」Schoo社員が思う、大人が学び続けたら変えられるもの
「もっとキャリアアップしたい」「仕事に役立つスキルを身につけたい」など、自発的に勉強に励んでいる若手ビジネスパーソンも多いのではないでしょうか? 株式会社Schoo(スクー)の新卒2年目の...
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう