昨今、身の周りで学生起業家や若手起業家が増えていると感じている人も多いでしょう。
しかし「成功している人は、才能があるからに違いない」と、その成功した姿だけを見て"遠い存在"に感じていませんか?
「うまくいかなくても、めげずに続けた人だけが成功できる。でも、それができない人が多いのだと思います」20歳で起業し、今年7月にZ世代向けメンズスキンケア『REFIOS』のクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げた株式会社TAWO代表・阿部洋子さん(23)の言葉です。
起業した当初はメンズスキンケアではなく、全く異なる事業の準備を進めていた阿部さんですが、紆余曲折を経て『REFIOS』リリースに至ったといいます。クラウドファンディングはなんと目標金額の350%を達成。
彼女が挑戦を続ける原動力はどこにあるのでしょうか。また、事業を通じて実現したい世界とは?阿部さんを取材しました。
Z世代向けメンズスキンケア『REFIOS』
同社は7月、Makuakeにてクラウドファンディングプロジェクト『始めよう肌投資。いつでもどこでも瞬間肌ケア!Z世代向けスキンケア REFIOS』を開始しました。
『REFIOS』は、肌の乾燥が気になる人に向けたモイストタイプと、肌のテカリが気になる人に向けたリフレッシュタイプの2種類を用意。化粧水と乳液が一体化したミストタイプとなっており、持ち運びしやすいサイズ感も特徴です。
「スキンケアに興味はあるけど、何から始めたらいいのかわからない」「シャワー後にパパッと使えるような、楽で持ち運びやすいものが欲しい」などのZ世代のリアルな声をもとに誕生しました。
このプロジェクトはリリース初日で目標金額の20万円を達成し、8月8日(日)終了時点では350%を達成。200人以上から、70万円以上の支援が集まりました。
"自分らしさ"を失わずに生きていける若者を増やしたい
阿部さんは、高校時代にイギリスのロンドンに留学し、現地のCass Business Schoolを卒業。その後上海の大学にて中国語を学び、20歳の時に株式会社TAWOを創業しました。
-----なぜ起業を志すようになったのですか?
阿部さん:勉強が苦手で認めてもらえなかったからです。
私は中高一貫の女子校に通っており、周りは勉強ができる人たちばかりでした。でも私は勉強が苦手で、そもそも勉強する意味って何なの?と思っていたんですよね。
一貫校なので周りの環境に変化がなく、「つまらない、もっと広い世界を見たい」という想いで海外に留学しました。そして段々と「勉強以外で結果を出したい」という気持ちが強くなっていきました。
そのように考えるようになって頭に浮かんだのが「起業」。勉強だけではなくて、人脈や人柄などで勝負して、ゼロイチで何かを生み出してみたかったんです。
-----そうして20歳という若さでTAWOを創業されたのですね。
阿部さん:「人は違って当たり前」「個性で溢れ、個性が愛される世の中にしたい」という気持ちも、起業に一歩踏み出した大きな原動力でした。
当時、学生起業家仲間が何人かいましたが、ほぼ男性だったんですよね。自分の周りに、若手女性起業家で輝いている人がいませんでした。
「起業してみたいけれど、親には就職を勧められる」「人と違う道を行こうとすると変な目で見られる」といったような、日本特有の同調圧力のなかで"自分らしさ"を失ってしまっている若者が多いと感じていました。
そのため、私は事業を通じて"自分らしさ"を失わずに生きていける若者を増やしたいと思うようになったんです。
ピボットを経て『REFIOS』リリースへ
創業して最初に手掛けたのは、インバウンド向けのアプリサービス。「日本語のレストランメニューが読めない」「店員さんとのコミュニケーションがうまく図れない」といった観光客の悩みを解決すべく、アプリ開発を進めていたといいます。
-----その事業はどうなったのですか?
阿部さん:東京オリンピックの開催にあわせてリリースしようと準備を進めていたのですが、コロナ禍に入り開催が危ぶまれた時点で、悩んだ挙句にピボットを決意しました。
その時は、就活をしてみたり、他の事業アイデアを考えてみたり、色々な道を模索しましたが、結局メンズスキンケアの事業を新たに立ち上げることに。先にお話した「個性で溢れ、個性が愛される世の中にしたい」気持ちが勝ったのだと思います。
-----そうして、『REFIOS』が誕生したのですね。なぜZ世代の男性向け製品をつくろうと思われたのですか?
阿部さん:以前肌に悩みを持っていた兄に、私が美容に関するアドバイスを行ったところ、兄がスキンケアを通じて自分の肌と向き合うことで、前向きになってくれたことがきっかけでした。
その後、「Z世代向けのメンズスキンケアブランドがあまりない」「男性がスキンケアを始める平均年齢は28歳と、女性に比べて10年も遅い」などの実態を知り、ターゲットをZ世代の男性(高校生~大学生)に決めました。
----そこからクラウドファンディング立ち上げまでの道のりについても教えていただけますでしょうか?
阿部さん:まず、InstagramのDMや街頭インタビューなどで、2週間にわたり約200人にスキンケアの悩みなどについてヒアリングを行いました。
そうして集まった声をもとに製品の開発をスタート。「持ち運びしやすいタイプ」「ひとつで完結する2in1のミストタイプ」などの方向性を決めて、半年ほど案を練りこみ、デザインや実際の製品づくりに進んでいきました。
-----工場やデザイナーもご自身で探されたのですか?
阿部さん:はい。工場はひたすら電話をかけて、製造していただける所を探しましたし、デザイナーもInstagramでリサーチしました。
自分の気に入ったデザインを投稿しているデザイナーさんにDMして、事情を説明して…。結局、大阪に在住のロシア人デザイナーの方にお願いすることになりました!
-----このポップで素敵なデザインは、そうして出会った方が手掛けていらっしゃるんですね。
初日に目標金額を達成
『REFIOS』のプロジェクトは7月8日(木)にスタート。なんと初日に目標金額を達成するという人気ぶりでした。
-----このプロジェクト成功の要因として、どのようなことが考えられますか?
阿部さん:実は、「他のクラファン製品と比べて単価の安いプロダクト」「クラファンの利用者は30代が多い」など、クラウドファンディングとプロダクトの相性が合わないのではないかと、最初はとても不安だったんです。
でも、リリース前からコツコツやっていたTwitterが大きな力になってくれました。
「クラファン開始しました!」という投稿には、400以上の"いいね"と200以上の"リツイート"が集まりました。同世代の皆さんが力強く応援してくださった結果だと思っています。
-----Twitterの発信で工夫されていることはありますか?
阿部さん:積極的に話題作りはしています。例えば、プロジェクト最終日に、自分のおでこに『REFIOS』のQRコードを貼ってその写真を投稿(笑)。それがバズったので「渋谷にいます!」と伝えたら、実際に来てくれる人もいらっしゃいました。
その効果もあってか、最終日に支援額が5万円も増えたんです。
「ダメでもめげずにやり続けていく人が成功する」
とにかく積極的な行動力が目を引く阿部さん。仕事においては"スピード感"と"諦めない心"を大切にしているのだそう。
-----諦めそうになったこともありますか?
阿部さん:はい。特に起業したての頃は「このアイデアじゃうまくいかないかも…」「この事業をどこまで拡大できるんだろう」と、不安なことばかり。アプリ事業からピボットを決めた時も、続けるかどうか本当に悩みました。
でも、ある経営者の方から「何事もやった者勝ち」「ダメでもめげずにやり続けていく人が成功する」という言葉をいただいたことがあって、今でも支えになっています。不安でも、悩んでも「やると決めたんだから、やる」それだけです。
-----最後に、今後の目標についてお聞かせください。
阿部さん:『REFIOS』をZ世代向けの代表的なスキンケアブランドに成長させたいです。そのために、資金調達や次のプロダクトの開発を進めていきたいですし、今のプロダクトの改善も行っていきます。
最終的には、「オンリーワンが歓迎される社会」をつくりたい。「新しいことを始めてみたいけれど、固定概念や風潮が邪魔して一歩を踏み出せない」という同世代や年下世代を減らし、誰もが自分らしく生きられる世界に変えていきたいと考えています。
創業当時やピボットを決めた時、クラウドファンディングが成功するか不安に駆られた時…いつでも彼女を前に突き動かしてきたのは「"自分らしさ"を失わずに生きていける若者を増やしたい」という想いと、「やると決めたから、やる」という強い信念でした。
今まさにくじけそうになっている人や、「起業したいけれど自信がない」という人などは、前向きな彼女の姿に勇気づけられる部分もあるのではないでしょうか。
出典元:株式会社TAWO
出典元:Makuake/始めよう肌投資。いつでもどこでも瞬間肌ケア!Z世代向けスキンケア『REFIOS』(プロジェクト終了)
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