お見舞い金は、病気や怪我で入院している人に贈るお金のこと。食事に制限がある場合や、入院生活で何が役立つのかわからない場合に、お見舞いの品の代わりとして贈ります。
本記事では相手との間柄に応じたお見舞い金の相場や、お金を包むとき、渡すときの注意点を紹介。お見舞いのマナー・作法も解説します。
- そもそもお見舞い金とは?
- お見舞い金の相場は?
- お見舞い金の包み方
お見舞金とは?
お見舞い金とは、親族や仕事の関係者が入院したとき、お見舞いで持参するお金のことです。何を贈ればいいのかわからない場合、お見舞いの品の代わりとして贈るものとされています。
お見舞いの品を選ぶのは想像以上に頭を悩まします。入院生活で役立ちそうな寝具は、病床を連想させるため、お見舞いの品には適していません。相手の病状によっては食事に制限があり、食べ物をもらっても食べられないこともあります。
お見舞いの品として一般的な果物も、皮をむくのが大変だったり、たくさんもらって悪くなってしまったりといったことが考えられるでしょう。
普段の贈り物と異なり、お見舞いの品は選ぶのが難しいのです。相手にとって役に立つもの、本当に喜んでくれるものがわからなくても、現金なら必要なものを自分で選んで購入できます。
関係性ごとのお見舞金の相場
お見舞金の相場は、入院している相手との関係性により異なります。まずは、関係性ごとにお見舞金の相場を確認していきましょう。
同僚や部下などの社内関係者の場合
同僚や部下などの社内関係者の場合、相手との間柄によってお見舞金の相場は異なります。部下なら5,000~10,000円、同僚なら3,000~5,000円がお見舞金の相場です。
取引先や社外の関係者の場合
取引先や社外の関係者へのお見舞金には注意が必要です。相手との関係はあくまで会社あってのものなので、個人の判断で贈らず、上司に相談しましょう。ポケットマネーで出すのではなく、会社から予算が出る場合もあります。
また、取引先や社外の関係者には、現金ではなくお見舞いの品を贈るのが無難です。お見舞い品を送る場合も、自己判断ではなく上司に相談して品物や予算を決めるとよいでしょう。
両親や兄弟・姉妹、親戚の場合
両親や兄弟・姉妹、親戚などの親族の場合、お見舞金の相場は5,000~10,000円ほどです。
ただ、あまり交流のない親戚に現金を渡すのは躊躇われるという方もいるでしょう。その場合は、金額相当の食べ物や日用品を贈るのがおすすめです。
友人・知人の場合
友人や知人、ご近所の場合、お見舞金の相場は3,000~5,000円ほどです。現金を渡すのが躊躇われるなら、親族の場合と同じく、金額相当の品物を渡すのがおすすめです。
親しい友人なら、相手の好みもわかるでしょう。相手が入院中であるため、渡せる品物に制限はありますが、好みの食べ物を贈るのもおすすめできます。
目上の人にはお見舞金ではなく品物を渡す
上司や会社役員などの目上の人には、お見舞金ではなくお見舞いの品物を贈りましょう。目上の人に対して現金を渡すことは、失礼に当たると考えられているためです。
もしも、どうしても現金を送りたいのなら「何を選べばいいか決められなかったので、お見舞いの品の代わりとして」と一言添えてお見舞金を渡しましょう。
お見舞金を入れる封筒(袋)の選び方や包み方
お見舞い金を入れる封筒の選び方や、お札の包み方にはルールがあります。知らずに間違った包み方をしてしまうと、かえって失礼に当たったり、恥ずかしい思いをしたりするかもしれません。
次からはお見舞い金を入れる封筒や水引の選び方と、表書きの書き方を解説します。
熨斗(のし)はつけない
お見舞金を入れる袋には、熨斗(のし)はつけません。熨斗は結婚式や快気祝いなどの「お祝いの場面」で使うものだからです。
お見舞金を入れる袋には、熨斗のついていない白無地もしくは赤帯入りの封筒を用意しましょう。ただ、「二重封筒」は二重が「病気や怪我を繰り返す」と連想させるため不適切です。
不幸な出来事に対して贈るものだからといって、葬儀で使われる不祝儀袋を使うのも失礼に当たります。
水引の結び方
お見舞金を入れる封筒には熨斗はかけませんが、水引はつけます。水引は「紅白の結び切り」のものを選びましょう。
何度も結び直せる「蝶結び」の水引だと、「蝶結びを結び直すように、病気や怪我を繰り返す」という意味合いになり、縁起が悪いです。同じ理由で、快気祝いの水引も結び切りです。
「紅白の水引はお祝いのイメージがあり、使いづらい」と感じるなら、水引のない封筒を使っても構いません。その場合も、白無地もしくは赤帯入りの封筒を使います。
表書きの書き方
お見舞金を入れる封筒の表書きは、水引の上に「お見舞」もしくは「御見舞」、水引の下に自分のフルネームを書きます。
「お見舞い」「御見舞い」とすると四(死)文字になり縁起が悪いため、送り仮名の「い」入れません。
表書きを書くときは、筆ペンもしくは毛筆を使い、濃い黒色で書きましょう。薄い黒(薄墨)は葬儀で包む不祝儀袋に使う色なので、お見舞金には不適切です。
封筒の閉じ方
お見舞金の封筒を閉じるときは、袋の上側の紙を先に折り、その上に下側の紙が重なるように折って閉じます。
下側の紙を上にすることには、下から上へ上がる、つまり病気や怪我という悪い(下)の状態が、快方(上)に向かっていくようにという意味合いがあります。
このようにお見舞金の包み方には、縁起を担いでいる心遣いやマナーが多いもの。自分は気にならない場合でも、縁起の悪い包み方をしてしまうと相手や相手の家族の心象が悪くなる可能性もあります。せっかくの心遣いが逆効果とならないように、マナーに気をつけて包むようにしてください。
お見舞金の入れ方に関する3つの注意点
封筒の選び方や表書きの書き方と同じく、お見舞い金をどのように封筒に入れるのかにもルールがあります。
次からは、お見舞い金を包むときの3つの注意点を解説します。縁起の悪い包み方をして相手に嫌な思いをさせてしまわないよう、一つひとつ確認していきましょう。
注意点1.新札は使わない
お見舞金を包むときは、新札を使ってはいけません。新札は人に渡すお金としてわざわざ用意するものであり、新札を包むと「不幸が訪れるのを待っていた」という意味合いになるからです。
たまたま手元に新札しかない場合は、一度お札を半分に折ってから包むといいでしょう。
また、きれいなお札しかないからといって、必要以上に折り目をつけたり汚したりするのは良くありません。「軽い折り目がついているお札」を用意しましょう。
注意点2.お札を入れる向きを確認する
お見舞金を包むときは、お札を入れる向きも確認しましょう。まず、お札の表は人物が書かれている方です。上下は、人物が書かれている方が上、金額が書かれている方が下となります。
お札の表裏、上下を踏まえたうえで、お見舞金は封筒に対して表向き、上向きで入れましょう。封筒を表向きで開けたとき、最初に人物が見えるように入れるのが正しい入れ方です。
注意点3.忌み数は避ける
お見舞金として包む金額が忌み数にならないようにしましょう。忌み数とは「4」「6」「9」「13(海外の場合)」のことで、死(4)や苦(6、9)を連想させる不吉な数字とされています。
4,000円、6,000円、9,000円はもちろん、日本の方相手でも、念のために13,000円も避けた方がいいでしょう。数人でお金を出し合ってお見舞金を送るときには、最終的な金額が忌み数になっていないか確認するようにしてください。
どのタイミングで渡す?お見舞金の渡し方
お見舞い金はお見舞いの品と異なり、鞄に入るサイズです。周りから見て「お見舞い金を持っている」とわからないため、渡すタイミングが難しいと感じる方も多いでしょう。
次からは、どんなタイミングでお見舞い行き、お見舞い金を渡せばいいのか解説します。渡すときに添える言葉や、相手が眠っていたときの対応も紹介するので、お見舞いの前に確認しましょう。
お見舞いに行くタイミング
お見舞いを行く前には、事前に約束を取り付けてから行きましょう。いきなりお見舞いに行くことは失礼に当たったり、相手の負担になったりすることもあるからです。
入院している本人は自分の病状や元気のない姿を見られたくないと感じることもあります。また、手術の直後で疲れていたり、検査などで病室に滞在していない可能性もあります。
なるべく体調のよい時間帯や、親族がいて対応できる時間帯に合わせて行くようにしましょう。
お見舞金を渡すタイミング
お見舞金は、相手に会ってすぐに渡しましょう。渡す側としても、すぐに渡した方が「いつ渡そうか」とタイミングを図る必要がなく、その後の会話もしやすくなります。
また、お見舞いで長居しても、相手にとって負担になってしまいます。具体的には、お見舞いは長くて15分ほどと考えておくといいでしょう。
渡すときに添える言葉
お見舞金を渡すときは「お見舞いの品の代わりとして」「何を選んだらいいのかわからなかったので、代わりに」というように、一言添えるようにしましょう。
特に言葉を添えずに現金を渡すと、相手は恐縮してしまうかもしれません。
ただ、「頑張ってね」のような言葉は避けましょう。相手にとっては入院し、治療に専念していること自体が頑張っている状態ですし、頑張っての言葉が精神的な負担になることもあります。
お見舞い金もお見舞いの品も、相手を気遣うためのものなので、相手が気負わず済むような一言を添えましょう。
相手が眠っていた場合
相手が眠っていた場合は、病室にいる親族にお見舞い金を渡し、一言挨拶をして帰りましょう。病院によっては、一筆箋を添えてナースステーションに預けることもできます。
眠っているのを無理に起こすのは、マナーとしても、療養のことを考えてもよくありません。本人に会い、言葉を交わしたいのなら、別の日に出直すのもいいでしょう。
お見舞金をもらったら、快気祝いでお返しをする
お見舞い金やお見舞いの品をもらった場合は、快気祝いでお返しをしましょう。快気祝いとは、病気や怪我で入院していた人が退院したとき、お見舞いに来てくれた人に贈るお礼の品です。
退院後に通院や自宅療養が必要ないなら「快気祝い」「全快祝い」、通院や自宅療養が必要なら「快気内祝い」を贈ります。本人が亡くなった場合は、親族から「御見舞御礼」を贈ります。
快気祝いで贈る品は、お見舞金もしくはお見舞いの品の金額の3分の1~2分の1相当が相場です。具体的な品物の選び方や、渡す際の注意点は以下記事で詳しく解説しています。
快気祝いとは?のしの書き方・相場・人気の品物をチェックしてお返しを検討しよう
お見舞金を渡すときは、相手との関係性やマナーを配慮しよう
- お見舞い金の相場は3,000~10,000円の間で、相手との関係性により変動する
- 上司や会社役員などの目上の人、取引先や社外の関係者にはお見舞い金ではなくお見舞いの品を渡す
- お見舞いに行くときは相手の心身に負担をかけないように気をつける
お見舞い金は、お見舞いの品に何を選んでいいのかわからないときに、品物の代わりとして贈るお金です。
入院生活では食べられるものが制限されることもあります。品物選びが難しいときは、お見舞い金を贈るのが無難です。
相手との関係性に気をつけ、適切な金額はいくらなのか、本当に現金を贈ってもいいのかを判断してください。
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