日本の暦における吉日の1つである「天赦日」。大安や友引といった吉日より回数は少ないものの、それ以上に縁起がよいとされ、新しいことを始めるのに最適な日といわれています。
本記事では天赦日の意味ややるといいこと、やらない方がいいことを紹介。併せて意識したい他の吉日や、凶日と重なったときの考え方についても解説します。
- そもそも天赦日とは?
- 天赦日と組み合わせたい、他の吉日の種類と意味
- 2021年・2022年の「天赦日+一粒万倍日」を紹介
天赦日とは?
天赦日(てんしゃび/てんしゃにち)とは、日本の暦で最高とされる吉日です。字の如く「天が万物の罪を赦す日」という意味で、天赦日に始めたことは万事上手くいくといわれています。
結婚や入籍のような慶事にはもちろん、起業や財布の買い替えなど、新しい何かを始めるのにも最適です。
年に6回ほどしか訪れない吉日ですが、大安や天恩日などの他の吉日よりも吉とされています。中でも、後述する「一粒万倍日」と天赦日が重なる日は最高の開運日とされています。
天赦日にやるといいこと
万事上手くいく日とされる天赦日は、何を行うにしても最高の日です。縁起を担ぐのなら、次のようなことは天赦日に始めるといいでしょう。
- 結婚式や入籍、結納など
- 起業や開店
- 仕事始め
- 財布の買い替え、使い始め
- 出資や投資
- 引越し
天赦日は新しいことや、人生の節目にあたる行事・イベントには最適とされる日です。
ほかにも、長年やりたいと思っていてもできなかったことに挑戦してみたり、かつて諦めてしまったことをやり直したりするのにもいいでしょう。
天赦日に避けたほうがいいこと
天赦日は何をするにも最適な日であるため、避けた方がいいことはあまりありません。ただ、退職や別れ話には適していません。
退職や別れ話は「次に向けた新たな一歩」であり、天赦日に合っているように見えます。しかし、これらは新しいことを始めるというより「今を終わりにする」という意味合いが強いです。
また、浮気や犯罪行為のような「罪悪感の伴うこと」はしない方がいいでしょう。「天が万物の罪を赦す」は謂れ(いわれ)であり、悪いことをしてもいい日というわけではありません。
天赦日によくないことや罪の意識を伴うことを始めてしまうと、縁起を担いだ分勢いがついて、辞め時もわからなくなってしまうかもしれません。天赦日でなければ悪いことをしてもいいというわけでは決してありませんが、演縁起のよい日だからこそ、一度身の振り方や行動を振り返る日としてもよいかもしれません。
天赦日の他の「吉日」は?
天赦日の他にもさまざまな吉日があり、それぞれ意味や「適した行事」は異なります。次からは、天赦日と一緒に意識したい6つの吉日を紹介します。
一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)
一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)は「一粒のもみが万倍のもみをつけた稲穂になる」の意味で、もみを撒くように、何かを始めるのに最適な日とされています。
天赦日と一粒万倍日が合わさった日こそ最大の開運日とされることも多く、セットで覚えておきたい吉日です。
ただ、よいことも万倍になれば、悪いことも万倍になると考える人もいます。苦労も万倍になって返ってくるとされるため、一粒万倍日に物やお金を借りるのは避けましょう。
天恩日(てんおんにち)
天恩日(てんおんにち)は「すべての人に対して天の恩恵が降りてくる日」という意味で、祝い事に適した日とされています。結婚式や引越し、新しいことをはじめるのに適した吉日です。
他の吉日と異なるのは、天恩日は5日連続でくること。例えば1月20日が天恩日なら、25日まで続きます。期間が長いため他の吉日や六曜とも重なりやすいです。
寅の日(とらのひ)
寅の日(とらのひ)は最大の金運に関する吉日で、「金運招来日」とも呼ばれます。
寅は、中国で「千里の道を行き、また戻ってくる」と考えられている動物です。寅の日も使ったお金や出かけた人が戻ってくるとして、投資や大きな買い物、旅行の出発に最適とされています。
ただし、「行って戻ってくる」ことから、結婚や葬儀を寅の日に行うのはよくないともされています。
巳の日(みのひ)
巳の日(みのひ)も寅の日と同じく、金運に関する吉日とされています。宝くじや新しい財布を買うのに適した吉日です。
巳とは蛇のことであり、蛇は神さまの使いとして縁起のよい生き物だと考えられています。
中でも白蛇は、弁舌や音楽、材副をつかさどる「弁財(才)天」の使いとされ、金運の象徴とされています。「白蛇の皮を財布に入れると金運が上がる」と聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
己巳の日(つちのとみのひ)
己巳の日(つちのとみのひ)は、金運に関しては最高の吉日とされています。己とは陰陽五行で土にあたるものであり、土は金に結び付けられるものだからです。
そのため、巳の日以上の金運日とされています。その分回数も少なく、巳の日が12日に一度あるのに対し、己巳の日は60日に一度しかありません。
大明日(だいみょうにち)
大明日(だいみょうにち)は、「天地が開け、太陽の光に隅々までが照らされる」という意味の、万事において吉日とされる日です。
万事において吉日とされる日で、中でも引越しや建築などの「移動に関する行事」に最適とされています。
回数が多いのも特徴で、少ないときでも1ヵ月に8回ほど、多いときで17回ほど訪れます。頻繁にあるためスケジュールに組み込みやすく、他の吉日とも合わせやすいです。
母倉日(ぼそうにち)
母倉日(ぼそうにち)は、「母が子を育てるかのように、天が人を慈しむ日」という意味の、万事において吉日とされる日です。
「母が子を育てるかのように」の意味から、特に結婚や入籍に最適とされています。結婚は母になるための準備段階とも捉えられるからです。
母倉日は1ヵ月に4~5回訪れます。大明日ほどではないにしろ、天赦日よりも回数が多く、行事の日取りも合わせやすいでしょう。
鬼宿日(きしゅくび)
鬼宿日(きしゅくび)は、「鬼が宿にこもり、出歩かない日」のこと。
鬼の字がから凶日に思いがちですが、鬼が宿から出ないということは、鬼に邪魔されることもないということです。そのため何事も上手くいく吉日だとされています。
月徳日(つきとくにち、がっとくにち)
月徳日(つきとくにち/がっとくにち)は、「その月の福徳を受けられる」といわれる吉日です。
万事に対して吉とされる日であり、中でも土に関すること(引越しや建築)と相性がよいといわれています。
月に3〜4回と回数は少ないものの、どんな行事・慶事とも合わせやすい吉日です。
神吉日(かみよしにち、かみよしび)
神吉日(かみよしにち/かみよしび)は、神社でお参りをしたり、神事をしたりする際に向いている日だといわれています。
実は神吉日は1年の半分以上もある、頻繁に訪れる吉日です。神徳を受けられる日でもあるため、他の吉日と重なる日を探すのがおすすめです。
縁起の悪い日「不成就日」とは?
不成就日(ふじょうじゅび/ふじょうじゅにち)は、「何をしても成就しない」という意味の凶日です。赤口や仏滅よりも凶とされ、天赦日の対称にある日といわれることもあります。
天赦日をはじめとする暦注下段や六曜以外の暦注であり、それらと比べると知名度は低いです。他の暦注は由来が諸説あるのに対し、不成就日の由来はほとんどわかっていません。
「何をしても成就しない凶日」とされるため、縁起を担ぐなら、不成就日に新しいことや慶事をするのは避けた方がいいでしょう。
天赦日と他の吉日が重なった場合
天赦日と他の吉日が重なった場合、吉日同士が重なってもよいことしかないため、特に気にすることはありません。縁起を担ぎたいのなら、他の吉日と天赦日が重なる日を探してみるのもおすすめです。
具体的には、次のような考え方で天赦日と他の吉日の組み合わせを考えてみましょう。
- 天赦日+一粒万倍日:最高の開運日。一粒万倍日の「一粒のもみが万倍になってかえってくる」の意味から、結婚や起業には最適です。
- 天赦日+天恩日:結婚や引越しなどの新しい生活を始める日に最適。天恩日は5日間続くため、他の吉日と合わせやすいです。
- 天赦日+寅の日:お金にまつわることならこの日がおすすめ。「虎が千里の道を行き、戻ってくる」の謂れから、出資や投資などに最適です。
- 天赦日+(己)巳の日:お金にまつわること全般におすすめな日。より縁起を担ぎたいのなら、巳の日よりも己巳の日がおすすめです。
- 天赦日+大明日:引越しや建築などの移動を伴う事柄、長旅の出発日に最適。
- 天赦日+母倉日:結婚式に最適な日。母倉日の「母が子を育てるかのように」の謂れから、子どもが好きな人、欲しい人には特におすすめです。
特に、天赦日と一粒万倍日が重なる日は最高の吉日とされるため、都合がつくのなら「天赦日+一粒万倍日」の日に新しいことや慶事を行うのがおすすめです。
天赦日と凶日が重なった場合
天赦日と凶日が重なった場合、人により考え方が異なります。
「よりパワーのある天赦日が勝つから問題ない」「凶日の負のパワーを吉日の正のパワーが相殺するから」と気にしない人もいれば、「縁起が悪いから」と凶日を避けることを優先する人もいます。
ただ、天赦日をはじめとする吉日は、次に紹介する仏滅や赤口などの六曜よりも知名度が低いです。
例えば「赤口だけど、よりパワーのある天赦日が重なっているから」と結婚式の日取りを決めても、天赦日を知らない知人や親戚から苦言を呈されるかもしれません。
一方、入籍や引越しなどの「知人を呼ばないイベント」なら、日取りについて何かを言われる可能性は低いです。この場合は、自分たちの考え方を優先するといいでしょう。
天赦日と併せて意識したい「六曜」とは?
最も有名と言っても過言ではない暦注に、「六曜」があります。六曜は次の6種の吉日・凶日の総称です。
- 大安:1日中、吉とされる日
- 友引:11時~13時が凶、他の時間は吉とされる日
- 先勝:午前中が吉、午後が凶とされる日
- 先負:午前中が凶、午後が吉とされる日
- 赤口:11時~13時が吉、他の時間は凶とされる日
- 仏滅:1日中、凶とされる日
各六曜はカレンダーにも記載されることが多く、頻繁に巡ってくるので、天赦日との組み合わせも考えやすいでしょう。六曜についてより詳しく知りたい方には、以下の記事からご確認ください。
六曜の意味とは?六曜を気にしたいイベントや、Googleカレンダーに表示させる方法も紹介
2021年(令和3年)の天赦日カレンダー
2021年の天赦日は6日あり、その内3日は一粒万倍日と重なっています。2021年の天赦日は次の通り。天赦日と一粒万倍日の重なる日も、併せて紹介します。
- 2021年1月16日(土)天赦日 + 一粒万倍日、天恩日
- 2021年3月31日(水)天赦日 + 一粒万倍日、寅の日
- 2021年6月15日(火)天赦日 + 一粒万倍日
- 2021年8月28日(土)天赦日
- 2021年10月27日(水)天赦日
- 2021年11月12日(金)天赦日、天恩日
2022年(令和4年)の天赦日カレンダー
2022年の天赦日は6日あり、その内3日は一粒万倍日と重なっています。2021年の天赦日は次の通り。天赦日と一粒万倍日の重なる日も、併せて紹介します。
- 2022年1月11日(火)天赦日 + 一粒万倍日、天恩日
- 2022年3月26日(土)天赦日 + 一粒万倍日、寅の日
- 2022年6月10日(金)天赦日 + 一粒万倍日
- 2022年8月23日(火)天赦日
- 2022年10月22日(土)天赦日
- 2022年11月7日(月)天赦日、天恩日
天赦日は年に数回しかない吉日
- 天赦日は「万物の罪を天が赦す日」という意味の、最高の吉日
- 天赦日は新しいことを始めるのに最適
- 天赦日と一粒万倍日の重なる日は特に縁起がよい
日本の暦で最高の吉日とされる天赦日は、何をするにも吉となる日といわれています。特に「天赦日+一粒万倍日」派最高の開運日といわれ、結婚や引越し、起業などには最適です。
ただし、天赦日は年に数回しか訪れないため、行事の日取りを合わせるのは大変かもしれません。もし新しいことを始める際に天赦日が近ければ験担ぎ(げんかつぎ)として天赦日にあわせてみてはいかがでしょうか。
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