無意識のうちに人を操れる心理学として知られている「プライミング効果」。本記事では、プライミング効果の意味や、種類、具体的な活用例を詳しくご紹介します。
マーケティングや勉強、恋愛に心理学を活用したいと思っている人はぜひ参考にしてください。
- プライミング効果とは?
- プライミング効果に関する実験・論文
- 【シーン別】プライミング効果の具体的な活用例
プライミング効果とは?
プライミング効果とは、外部からの刺激を受けることによって、無意識に影響を与えられることをいいます。
プライミング効果は、日常の身近なところにもたくさんあります。例えば、多くの人が遊んだことがある「十回クイズ」もプライミング効果の一例です。
「ひじ」と10回繰り返して言ったことで、「ひざ」を指さされたときにも「ひじ」と答えた経験がある人もいらっしゃるのではないでしょうか。このように、外部からの刺激によって無意識のうちに影響が出ることがプライミング効果なのです。
プライミング効果の種類
プライミング効果には、「直接プライミング効果」と「間接プライミング効果」の2種類存在します。
以下では、プライミング効果の種類別にその効果をご紹介します。
直接プライミング効果
はじめに与えられる刺激のことを「プライマー」といい、後に与えられた刺激のことを「ターゲット」といいます。
日本で最初に直接プライミング効果の論文を出した太田信夫教授によると、直接プライミングとは、「同じ」プライマーとターゲットが刺激の処理を促進をする効果だといわれています。
例えば、餃子のCMを見た後どうしても餃子が食べたくなる変化は、「直接プライミング効果」のひとつです。
間接プライミング効果
間接プライミング効果は、「異なる」プライマーとターゲットが刺激の処理を促進をする効果のことをいいます。
以下では簡単な間接プライミング効果の実験をしてみましょう。
まずは、「サンタクロース」を想像してみてください。
では、果物といえば、何が思いつきますか?
リンゴやいちごなどの赤い果物を想像した人が多いでしょう。これは、サンタクロースの赤い服のイメージと、果物の赤いイメージが影響をしあっているからです。
このようにサンタクロースと果物のように全く違うものであっても、無意識に効果を及ぼすことが「間接プライミング効果」です。
プライミング効果に関する実験・論文
プライミング効果に関する実験や論文はたくさんありますが、その中でも有名な論文に1996年にJohn A. Bargh・Mark Chen・Lara Burrowsによって書かれた「Automaticity of Social Behavior」があります。
彼らは、大学生を対象に下記のようなプライミング効果の実験を行いました。
- まずは、大学生を複数のグループに分けて、配られた単語カードで文章を作るように指示を出す。
- あるひとつのグループには、高齢者を想起させる「しわ」「白髪」「つえ」などが書かれたカードを混ぜる。
- 文章を作り終えた後、実験を行った大学生の歩くスピードを測定したところ、高齢者を想起させるカードを配れらたグループは他のグループよりも歩くスピードが遅くなった。
上記の実験では、高齢者のイメージが、歩く動作に影響を与えたという「プライミング効果」が示されています。
【シーン別】プライミング効果の具体的な活用例
人が「操られている」と自覚を持たないまま意識に対してアプローチできるプライミング効果は、先ほど餃子のCMの例のように、ビジネスシーンでも使われています。
特にマーケティングの現場では使われやすく、その他にもビジネスシーンや、日常生活、恋愛にも使われることも。
以下では、プライミング効果の具体的な活用例をご紹介します。
マーケティング
マーケティングでプライミング効果を使用する方法は、商品に関することを顧客に想起させることがポイントです。
例えば、商品のことを考えてもらうための手段として、顧客にアンケートを送る方法があります。
直接的に「〇〇を買う予定はありますか?」という質問でもプライミング効果は得られますが、あまりにも直接的に聞くと不快感を覚える顧客もいることでしょう。
おすすめのアンケートは、その商品に関連するキーワードを入れることです。
例えば、「水着」を売りたい場合は、「夏」「海」「プール」などのキーワードを入れたアンケートを考えましょう。
水着に関するキーワードを入れた質問によって、顧客は水着に興味を持つようになります。
ビジネス
ビジネスでプライミング効果を使用する方法は、商品に関する説明を何度も繰り返すことがポイントです。
例えばCMを利用することで、顧客に「〇〇といえば、xxだ!」と想起させられます。
「クリスマスといえば、ケンタッキー」や「サンタクロースといえば、赤い服」などは、何度も情報を受け取ってきた経験によってつけられたイメージです。
自分の商品を「〇〇といえば、xx社のもの」と思わせられるように、情報を発信できるとよいですね。
恋愛
「好きな子と付き合いたいけれど、自分には無理だろう」と思っている人もいるのではないでしょうか。
実は、「自分には無理だろう」と思う気持ちがプライミング効果に繋がり、本当に残念な結果になる可能性があります。
まずは、ネガティブな思考を止めて、自分だからできると思えるように努力しましょう。
また、口癖を変えることも有効な手段です。ネガティブな口癖をポジティブなものに変えて、望む運命を引き寄せましょう。
このような「言霊」もプライミング効果の一種です。
勉強
「絶対合格」と書いた紙を貼っている人やもいるのではないでしょうか。
「合格」と書いた紙によってやる気が出るのもプライミング効果のひとつです。
「絶対合格」以外にも「今月は有機化学を完璧にする」のような具体的な目標を壁に貼ることもおすすめです。
また、勉強では集中することが何よりも大切です。自分にとって集中しやすい時間や場所を自覚している人はなるべくその時間に勉強するようにしましょう。自覚していない人は、朝・昼・夜・夜中に勉強をしてみて、自分の集中しやすい時間を探してみることをおすすめします。
「〇〇で勉強するのが一番集中できる」と考えることによって、さらに集中して勉強できるようになります。
プライミング効果に似た「アンカリング効果」とは?
プライミング効果に似た「アンカリング効果」をご存知でしょうか。
アンカリング効果とは、はじめに見た数字が後に見た数字に影響を与えることを言います。
例えば、「600万円」の車の広告を見た後、「200万円」の車の広告を見ると「安いな」と感じてしまったことがある人もいるのではないでしょうか。
決して安いわけではないはずなのに、初めに見た数字に引っ張られて安く感じることが「アンカリング効果」です。
プライミング効果を利用してビジネスや日常生活で役立てよう
- プライミング効果は、外部刺激によって無意識に影響を与えられること
- 間接プライミング効果と直接プライミング効果の2種類ある
- 口癖や目標を紙に書いて、成功を引き寄せよう
本記事では、プライミング効果の意味や種類、使用方法などを詳しくご紹介しました。
「これもプライミング効果だったのか」と驚いている人もいるでしょう。日常には様々なプライミング効果が紛れています。
本記事を参考にプライミング効果を利用して、意識的に自分や他人に影響を与えてみてはいかがでしょうか。
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