就職後、学生と社会人のギャップや仕事の難しさに悩み、「もう辞めたい」「この会社は合わないから、転職したい」と思ったことがある若手ビジネスパーソンは少なくないのでは?
株式会社3Backsの宇野雄太さん(23歳)は高校卒業後、2017年10月に同社にインターンとして入社。当初は、対人関係はもちろん、社会人としての在り方にも苦労したそうですが、逃げずに仕事に向き合い続けた結果、2019年1月に19歳で同社史上初の最年少支店長になりました。
仕事で困難に直面した時、どうやって乗り越えてきたのか?どんな工夫や心がけが最年少支店長への昇格につながったのか?宇野さんに取材しました。
若者のキャリア再生プロジェクト「リバラボ」
3Backsは、「主役になれなかった全ての若者と向き合い、世の中に貢献できる人材を数多く輩出する」をコンセプトに、学歴や職歴の障壁によりキャリアを築けていない若者に2年間の雇用型インターンシップを提供するキャリア再生プロジェクト「リバラボインターン」を運営。
リバラボインターンでは、ハイキャリア転職に必要な3つの実績(雇用・実務・収入)を習得するプログラムを提供し、2年後のハイキャリア転職を支援します。
学生と社会人のギャップに驚き
宇野さんはインターン社員として2年間BtoC営業を経験した後、2020年3月に同社コーポレート社員として入社。現在は営業本部新人課の責任者として新入社員の育成に携わっています。
未来の幹部候補として活躍している宇野さんですが、社会人として働き始めた直後は学生と社会人のギャップを感じることも多く、さまざまな困難に直面したそうです。
-----具体的に、どんなことに苦労したり悩んだりしましたか?
宇野さん:一番ギャップを感じたのは“責任の大きさ”です。
学生時代はお金を払って教育を受ける立場だったので、自分の我がままを通したり、やりたいことにやりたいように組むことができましたが、社会人はそうはいきません。
自分の好き嫌いで物事を選べなくなったことや、発言の一つひとつにも必ず責任が伴うようになったことなどに大きなギャップを感じました。
また、1つの仕事を進めるにあたって、いろいろな人が関わってくることにも驚きました。
例えば、営業の仕事をするにしても、ただ契約をもらえばいいだけではなく、契約書作成・クレーム対応・経費精算など、いろいろな部署の人と連携する必要があります。社会人として働くにあたっては、自分の都合だけで物事を進められるわけではないということを実際の仕事を通して実感しました。
模索し続けたから乗り越えられた
-----19歳で支店長になったそうですが、どんなことが評価されたと思いますか?
宇野さん:メンバーファーストを重視していた姿勢が評価や期待につながったのかな、と思います。
支店長になる以前から何人か部下を抱えていたのですが、当初は彼らとの関わり方や接し方がわからず、何をやっても上手くいかず…。「自分はこんなにがんばっているのに、なぜうまくいかないんだろう」「なぜ、みんなもがんばってくれないんだろう」と、上手くいかない理由を環境や他人のせいにしていた時期がありました。
しかし、試行錯誤し、メンバーと話し合いを重ねていくうちに、次第に「彼らのために自分ができることって何だろう」「メンバーたちがやりやすい環境や教え方ってなんだろう」とメンバーファーストな視点を持てるようになり、チームの責任を自分のものとして捉えることができるようになりました。
-----若くして支店長になったことにプレッシャーはありませんでしたか?
宇野さん:組織として成果を出さなければいけないことや、自分の発言や行動がメンバー全体に影響を与えることなどにプレッシャーを感じていました。
-----そのプレッシャーの中、どのように仕事を進めましたか?
宇野さん:伝え方や伝える内容を慎重に選ぶこと、一貫性を持つこと、メンバーに言うだけではなく自分自身もきちんと行動に移すことなどを意識しました。
また、当初は自分が成功した営業スタイルやトークをそのまま押し付けてしまっていたのですが、そうではなく、「このメンバーは今、何を考えているんだろう」「なぜその考えに至ったんだろう」と一人ひとりの言語化できていない想いまで深堀りして考え、それぞれのメンバーに合った手法を提案するように方針を転換しました。
いろいろ模索したからこそ、プレッシャーを乗り越えることができたと思います。
-----リーダーとして働くにあたって大切にしていることは?
宇野さん:価値観も育った環境も異なるメンバー一人ひとりの長所を活かして、彼らに活躍の場を与えることです。
メンバーあってこその自分なので、リーダーだからといってふんぞり返るのではなく、メンバーが仕事しやすい環境を整えることを強く意識しています。
ゼロからキャリアを築いたロールモデルに
-----リバラボでの2年間のインターン終了後、他の企業に就職するのではなく、同社に入社することを決断した理由は?
宇野さん:セカンドキャリアとして他の企業に転職する道も考えていましたが、当時リバラボインターンシップが拡大フェーズに入っていたため、「急成長しているベンチャーの中枢を担えるのなら、ぜひ参加したい」と思いました。
また、僕自身が2年間のリバラボインターンシップで強いキャリアを築けた自信があったので、「これからリバラボに参加する人たちに、ゼロからキャリアを築いたロールモデルとしていろいろなことを伝えていけるのではないか」と考えたのも、入社を決断した理由の一つです。
“感情”と“事実”を切り離して考える
-----仕事を始めてからこれまで、「自分には無理かも」「もう辞めたい」と挫折しそうになったことはありますか?
宇野さん:売り上げを作れなかったり、がんばっているのに上手くいかなかったりすることがあり、何度も「辞めたい」「逃げ出したい」と思うことがありました。
成果を出せない現実を受け止めきれず、「他の会社に移れば上手くいくのでは」「別の業種や職種に行けば、改善されるのではないか?」と、会社や環境を変えることで目の前の問題をなかったことにしようと考えていた時期もありましたね。
-----それをどう乗り越えたのですか?
宇野さん:会社や環境を変えて目の前にある問題をなかったことにすることは簡単です。でも、どんな会社・職種に行っても何かしらの困難はあると思います。
「今ここで逃げてしまっては、新しい環境でも同じように課題や壁が現れてきた時に乗り越えられないのではないか」と考え、目の前に積み重なった問題一つひとつに客観的に向き合い、課題の根本的な原因を見つけ出し、試行錯誤して解決していきました。
-----困難から逃げずに解決するためには、具体的にどんな方法がありますか?
宇野さん:問題から目を背けないことと、感情と事実を切り離すことです。
感情的になって思わず問題から目を背けたくなることもあるでしょうが、そうではなく、上司や同僚にも相談して“問題の根本”を見つけ出し、その解決のためになにができるかを徹底的に考えることが大切だと思います。
僕も全てが上手くいかず「逃げたい…」と感情的になってしまったことがありましたが、いったん感情を切り離して営業数字を分析しながら失敗の原因や課題を客観的に探したところ、改善すべき点を見つけて解決につなげることができました。
必要なのは「変わりたい」という想いと行動
-----これまでを振り返って、「これはやって良かった」「今に活きている」という経験や行動を教えてください。
宇野さん:一番大切だと思うのは、自分の想いや感じていることを正直に他人に伝えることです。
自分をさらけだすのは勇気がいることですが、相手の顔色を見て発言や行動を変えたり、猫をかぶったりしていては、成長も遅くなりますし、課題の解決にもつながりません。
自分の本当の想いや考えをきちんと伝え、行動に移すことこそが、本当に物事や事態を解決するためには大事なのではないでしょうか。
-----学歴にコンプレックスを感じている同世代に向けてメッセージをいただけますか?
宇野さん:大切なのは「現状を変えたい」「変わりたい」という想いと、そのために実際に行動に移すことだと思います。
僕自身、19歳で社会に飛び込んだ初めの頃は、家族からも周りからもいい目で見てもらえませんでした。
しかし、“学歴がない”ことが原因で選択肢が限られてくる中でも、仕事への取り組み方や考え方、価値観を何度も変えながら行動し続けることで、力強いキャリアを築くことができました。
現在は、学歴が重視される場面もまだありますが、それ以上に仕事への取り組み方や実績が重視される時代になってきています。そのため、コンプレックスを理由に諦めるのではなく、想いを持って何度もやり続ければ、キャリアが拓けていくのではないでしょうか。
現状に不安を抱えている時こそ、一歩踏み出す勇気を持って、変化を恐れずに行動していくことが重要だと思います。
学生と社会人のギャップや困難から目を背けたり逃げ出したりするのではなく、一つひとつの問題の根本に客観的に向き合うことで課題を解決し、成果につなげてきた宇野さん。
仕事を通して身につけた“逃げない力”は、これからの宇野さんのキャリアや人生をより力強いものにしてくれそうです。
何か困難に直面した時、環境を変えることで解決につながる場合ももちろんあるでしょう。ただ、環境を変える前に、一度「辛い」「逃げたい」という感情を切り離して、目の前の課題の根本的な原因を見つめてみてもいいかもしれませんね。
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