ベンチャー企業やスタートアップで働いている若手ビジネスパーソンの中には、「0→1」のプロジェクトに参加する機会が多い人もいるかもしれません。
でも、もし知識も経験もない分野の仕事を1人で任されたとしたら、どうしますか?
株式会社おてつたびの新卒1年目、田中沙季さん(24歳)は、知識も経験もない状態から広報立ち上げを任され、入社4カ月目の今ではプレスリリースの配信やメディア対応など、幅広い業務を1人でこなしています。田中さんに、ゼロから新しい仕事に挑戦するにあたって感じたことをお聞きしました。
お手伝いしながら旅行ができる「おてつたび」
株式会社おてつたびは、地域の困りごとをお手伝い(仕事)しながら旅行ができるマッチングプラットフォーム「おてつたび」を運営しています。今年の6月には、直近1年で活躍したベンチャー・スタートアップを表彰する「Great Entrepreneur Award」において、「最も注目されているスタートアップ企業」カテゴリ3位を受賞するなど、その勢いは止まることを知りません。
日本には、すでに有名な観光地だけでなく、まだ知られていない魅力を秘めている地域がたくさんあります。おてつたびは、そんな地域へ行く人が増えてほしいという想いから生まれたサービス。報酬をもらえるだけでなく、地域の人たちと交流できることも魅力です。お手伝いを「体験する」のではなく、地域の人たちを仲間として感じ、中長期的な関係を築いてほしい…そんな想いが込められているといいます。
お手伝いの内容は、一次産業や観光業が中心ですが、最近では、お祭りや雪かき、空き家のリノベーション、海洋プラスティックごみの回収など、地域が抱えている課題に根ざした独自のお手伝いも増えているのだそう。
-----コロナ禍で、大きな影響を受けたのではないですか?
田中さん:そうですね。政府の方針や感染拡大状況を見ながら柔軟に対応できる体制を整えたり、簡易検査を提供する企業と連携したりしています。また、月1回Meetupを開催して、おてつたびの経験者や、興味がある方、好きな地域の話をしたい方がオンラインで集まれる場をつくっています。
ほかにコロナ禍の影響を挙げるとすれば、社会人の方の参加が増えたこと。以前は学生の参加者がほとんどだったのですが、リモートワークの普及により、おてつたびに参加しながら、いろいろな地域で過ごしつつリモートで本業の仕事もする。そんな人たちが増えているんです。学生から70代の方まで、様々な方たちに参加していただいています。
おてつたびで、世界が一気に広がった
-----田中さんは、もともと、おてつたびのユーザーだったそうですね。
田中さん:大学2年生の頃、知り合いが「おてつたびに行ってきたよ!」とSNSに投稿していたのを見たのがきっかけです。「なんだか面白そう!」と、すぐ私もおてつたびに参加。私は高校を卒業するまで、ほとんど旅に出たことがなくて...。だから、いろいろなところに行けるのが楽しくて仕方なかったです。
実際におてつたびに行ったり、イベントに参加したりしているうちに、声をかけられ、インターンとして関わるようになりました。
-----実際に、おてつたびをして、印象に残っている地域はどこですか?
田中さん:一つに絞ることは難しいのですが、初めておてつたびをしたという点で、岐阜県の飛騨古川は特別ですね。地元の酒蔵に行ったのですが、仕事内容はもちろん、普段の自分の行動範囲では出会えないような経験や考え方を持つ人たちと出会い、世界が一気に広がった感じがしました。
おてつたびをした地域がニュースで取り上げられると、「お世話になった皆さん、元気にしているかな」と、思い出します。故郷や居住地でもないけれど、私にとって特別な地域が日本各地にあるんです。
「プレスリリースって何...?」から広報の仕事をスタート
インターンを経て、田中さんは2021年4月に株式会社おてつたびに新卒入社。現在は広報として、プレスリリースを作成したり、参加者インタビューの作成に関わったりしています。
-----広報は立ち上げから参加したそうですね。
田中さん:周りから「やってみない?」と声をかけられて。面白そうだし、挑戦したいと思いました。もちろん、知識も経験もない、ゼロからのスタート。正直言うと、何をしなければいけないかさえもわかりませんでした。
最初は「プレスリリースって何だろう...?」という状態でしたが、今ではありがたいことに私が書いたプレスリリースを見て反応してくださるメディアさんが増えてきて。「私が発信する情報を誰かが受け取ってくれているんだ」とやりがいを感じています。
他社の広報事例を見たり、空いている時間を使って書籍で勉強したり。情報をただインプットするだけでなく、
-----難しいと思うことは、ありますか?
田中さん:切り取り方が難しいです。同じことでも、どう切り取るかで、読み手が感じる印象は大きく変わってしまう、難しくも、やりがいのある仕事をしているなと。
参加者インタビューのときは、その人の魅力や言いたいことを真っ直ぐ伝えられるよう、日々試行錯誤しています。
おてつたびでの感動は、会話の中での一言など、
周りの人たちがいるからこそ、今の私がいる
周りのわかる人たちに教えてもらいながら、少しずつ少しずつ、できることを増やしているという田中さん。
-----皆さんに支えられているのですね。
田中さん:周りの人たちがいるからこそ、今の私がいると思います。弊社は家族のような雰囲気です。様々なメンバーがいますが、年齢や立場に関係なく、みんなで一つのチームですね。そして何よりも全員おてつたびが大好き。何気ない雑談から、気がつくと「こういうサポートがあったらいいのでは?」「もっと良いサービスにするためには、どうすればいいだろう」など、おてつたびについて皆で延々と語り続けることがよくあります。それほど、おてつたびが好きなんです。
誰一人、損をしないサービスを
-----仕事をする上で大切にしていることはありますか?
田中さん:社内外問わず、いろいろな立場の人たちがいることで、おてつたびは成り立っています。そのため、誰一人、損をすることがないように心がけています。
私がいつも意識しているのは、まず、ユーザーの視点を忘れないようにすること。私は今はおてつたびの魅力を伝える立場にいますが、もともとは1人のユーザーです。ユーザー目線を大切にしながら、「どんな情報が求められているか」「どうしたら魅力を感じてもらえるか」を考えています。
また、受け入れる側の立場もイメージするようにしています。以前していたアルバイトで、他のメンバーに仕事を教える役割を担っていた時期がありました。そのため、急にやってきた人に仕事を教えることの難しさを私なりに理解しています。
様々な視点を持つことで、みんなが満足できる、おてつたびを広めていきたいと思っています。
「都会」と「地方」という二項対立で語られたくない
-----最後に、今後の展望を教えていただけますか?
田中さん:現在担当している仕事については、もっと人や地域、そしておてつたびの魅力を真っ直ぐに伝えられるようになることを目指します。また、現在は私一人で広報業務を担当していますが、これからもっと体制を強化していく予定です。
大きな話で言うと、「都会」と「地方」という二項対立で語られることをなくしていきたいと思います。「地方の魅力」と一括りにされるのではなく、「岐阜県飛騨市の魅力」「宮城県栗原市の魅力」など、それぞれの市町村の魅力として語られるのを当たり前にしていきたいです。
どんな仕事でも、自分一人でできることには限りがあるもの。まして、知識も経験もない状態からのスタートなら尚更でしょう。そこには、やはり周りの人たちからの協力が必要です。
田中さんの他人に対する感謝の気持ちや、おてつたびというサービスへの強い想いが、周りの人たちを動かしているのではないでしょうか。
出典元:おてつたび
【関連記事】
「ミッションがバネ」だと語る新卒1期生も参戦!日本デザイン社員が幸せに働く理由【#私たちのミッション】
就職活動や転職活動の際、検討している企業の「ミッション」を知らずに入社する…という人は少ないのではないでしょうか? ミッションは、その企業がどのような世界を創り上げたいのか、目指すゴールを...
「テストの結果で選択肢が狭まる社会を変える」Schoo社員が思う、大人が学び続けたら変えられるもの
「もっとキャリアアップしたい」「仕事に役立つスキルを身につけたい」など、自発的に勉強に励んでいる若手ビジネスパーソンも多いのではないでしょうか? 株式会社Schoo(スクー)の新卒2年目の...
「誰かのために本気で向き合う」新卒でインサイドセールス部隊を立ち上げた、PLAN-B社員の覚悟とは
「早くリーダーとして、他のメンバーを率いたい」という目標を持っている若手ビジネスパーソンもいるのではないでしょうか?早くからリーダーとして活躍している人は、どんな努力をしているのでしょう。 ...
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう