苦手なことや困難に直面したとき、「自分には向いていないと思う」「苦手分野だからできない」と、つい弱気になったり、逃げだしたくなったりする若手ビジネスパーソンは少なくないのでは?
株式会社ネオキャリア 3年目社員の鍛治信嘉さん(25歳)は、入社1年目から人事として新卒採用を担当。当初は、自分とタイプの違う就活生は上手く採用することができなかったそうですが、試行錯誤の結果、幅広い就活生と上手くコミュニケーションをとれるようになり、徐々に採用成果が向上。その実績が評価され、入社2年目の秋には東京採用責任者になりました。
自分の苦手にどう向き合い、乗り越えているのか?弱点を武器に変える方法とは?鍛治さんに取材しました。
一人ひとりの価値ある未来を実現へ
株式会社ネオキャリアは、総合人材サービス事業を展開する2000年設立のメガベンチャー企業。
「ヒトとテクノロジーで、一人ひとりの価値ある未来を実現する」を理念に、人材サービス・採用支援・HR Techといった法人向けサービスや、新卒・第二新卒向け就職・転職支援サイトなどの個人向けサービスを展開。
同社の人事向けクラウドサービス「jinjer勤怠」「jinjer労務」と国産Web会議システム「Calling Meeting」は今年7月、法人向けIT製品サービス・比較サイト「ITトレンド」のGood Productに選出されました。
キャリアの軸は“両親への恩返し”
鍛治さんは、2019年4月に同社に入社。社長室 新卒採用グループに配属され、新卒1年目から人事として1年間で1000人超の就活生と面談したそうです。
人事・採用担当として力強いキャリアを歩んでいる鍛治さんですが、もともとは就職活動をする予定はなかったといいます。
-----いつ頃から、どのようなキャリアを思い描いていましたか?
鍛治さん:キャリアを考え始めたのは大学2年の頃です。
僕の実家は葬儀会社を営んでいるのですが、24時間365日年中無休で働く親の姿を見続けたことから「両親が60歳になるまでに、両親が働かなくてもいい状態をつくり上げたい」「これまで支えてくれた恩返しをしたい」と考えるようになりました。
その第一歩として、大学時代にまずは個人事業でブログコンサルをスタート。20人のメンバーを抱える時期もありましたが、事業を展開するうちに、「もっと大きなリソース(お金・人・情報等)を動かせる環境に身を置きたい」「世の中のことをもっと知りたい」と考えるようになり、就職活動を始めました。
気になる企業は“中の人”に実際に会う
鍛治さんは、就職活動では「自分自身の中に経営者としての教養が身につけられる環境か」という軸で企業を選んだそうです。
-----具体的に、どのような点を重視して就職活動したのですか?
鍛治さん:キャリアアップのスピードの速さや任せてもらえる責任範囲といった“機会”を多く得ることができる環境か、大きなリソースを動かせる環境か、という2点です。
「両親が60歳になるまでに、両親が働かなくてもいい環境をつくりたい」という具体的な時間の目標があったので、さまざまなビジネスの機会に恵まれた環境で、営業・採用・マネジメント・戦略設計の全てを早く体感したいと考えていました。
-----それを見極めるために、どのような行動をしましたか?
鍛治さん:とにかく、その企業に所属している人とたくさん話すことで、その会社のリアルを探りました。
気になる企業があったら連絡して、「社長に会わせてほしい」「人事責任者や現場社員の方と話したい」とお願いし、実際に何人もの社員と会って話を聞きました。
-----ネオキャリアを選んだ決め手を教えてください。
鍛治さん:就活を始めるきっかけとなった「大きなリソース(お金・人・機会等)」を持っている会社だということの他に、2つあります。
1つめは、トップ層に魅力を感じたからです。
スピード感のある会社にもかかわらず、社長や専務が僕みたいな生意気な若造に対しても謙虚に目線を合わせて話してくれる姿勢や、探求心を持ち続けている姿勢を就職活動やインターンを通して実感し、会社の将来性を感じました。
2つめは、社員の中に、若くても大きな裁量を持って働いている人がたくさんいたことです。25~28歳で事業責任者をしている人が複数いる環境がとても面白いと思いました。
磨きたいスキルから職種を選んだ
-----職種は、自分から人事を志望したのですか?
鍛治さん:配属先は、新規セールスと新卒採用人事を希望しました。
セールスと人事は職種こそ違いますが、どちらもヒアリング能力と共感力が重要とされていることや、組織をつくっていく仕事であるという共通する根本を持っていると考えたからです。いずれかの職種で働くことで、ビジネスで求められるヒアリング能力・共感力を身につけていきたいと思いました。
-----新卒社員として、人事の仕事にどのように向き合ってきましたか?
鍛治さん:仕事でのさまざまな経験を通して、仕事への向き合い方が変化していきました。最も大きな変化があったのは、入社2年目の後半頃です。
入社して1年目~2年目の初めまでは、自分目線や会社・チーム目線で、「どうやって採用しよう」「どうやったら自分やチームの成長につながるか…」といった目の前のことばかりを考えていたのですが、入社2年目になると自分が採用を担当した学生さんが新入社員として入社してきました。
彼らが活躍している姿を目の当たりにしたり、相談に乗ったりしているうちに、次第に「この学生さんたちの未来・人生を良くしたい」という想いが強くなり、実際に弊社に入社する・しないにかかわらず、採用活動で出会った全ての学生さんの未来を本気で考えて面談やプレゼンを行うようになりました。
幅広いタイプとの関係性づくりを強化
-----仕事で難しかったことは?
鍛治さん:学生さんとの関わり方です。
入社1年目の頃は、「どうコミュニケーションをとればいいのか」「何を言ったら相手の心に刺さるのか」といった傾向がわかる、自分と価値観や志向性が似ている得意なタイプの学生さんしか採用することができませんでした。
-----それを乗り越えるためにしたことは?
鍛治さん:多様なタイプの学生さんと良質な関係性を構築するために自分に何ができるかを考え、相手を知って共感することが大切なのではないかと思い至りました。
そこで、学生さんと面談をする時は、自分が話す割合を下げて相手の話を聞くパーセンテージを上げることを心がけ続けていたところ、次第にさまざまなタイプの学生さんの思考傾向や考え方が見えてくるようになってきました。
また、会社内にもいろいろなタイプの社員がいるので、普段業務であまり関わりがない人とも食事やミーティングの時間を積極的に設けることで、幅広いタイプと関係性を築くスキルを磨いていきました。
-----相手(学生)が話しやすい雰囲気をつくるためどんな工夫をしましたか?
鍛治さん:アイスブレイクに時間をかけることと、まず自分が自己開示して相手が話しやすい環境をつくることです。
また、話を聞く際に、彼らの考えややってきたことを否定せず、共感することも意識していました。最終的にはフィードバックする必要がある時も、まずほめること・共感することを欠かさないようにしていました。
弱点もポジティブに捉え、活路を探す
-----“自分にはできない”と無力感を抱いている人がいたら、どうアドバイスしますか?
鍛治さん:「できない」という事実は認め、「どうすればできるか」だけを考えることの重要性を伝えます。
取り組む前の捉え方に関係なく、結果は「できたかできなかったか」の2択だと考えていますので、どうせなら「これができれば○○な自分になれる!」と心躍る方に前向きに捉えたほうが良いなと。
「できない」というのは主観であり、自分の視点でしかありません。世の中には、同じようなことを乗り越えた人生や仕事の先輩がいっぱいいるはずです。
そのため、困難や苦手なことに直面したとしても、自分で考えることはもちろんですが、上司や両親、社外の人などに恥ずかしがらずに相談し続けることで道が拓けることも多いと思います。
-----具体的に、どうやったら自分の“弱みやできないこと”を“価値や武器”に変えることができると思いますか?
鍛治さん:僕は、世間一般的には弱みと思われることも、そもそも弱みだとは捉えていません。もしハードルや壁に直面した時は、それを分解して、その中にある“変えることができる部分”にポジティブに目を向け、それを育てていくことで自分の武器をつくることができると思います。
例えば、僕は学生時代にバレーをしていたのですが、身長が低かったため、身長が高い人のような力強いスパイクやブロックはできませんでした。
そこで、“身長の低さ”という弱みを分解し、身長の低さは自分の力ではすぐに解決できないけど、「相手のブロックを誰よりも利用すればいい」「相手を惑わせる打ち方をすればいい」「ジャンプ力で高さを補えばいい」といった“変えられること”を見つけ、それを育てることで自分の価値を作り出し、主将兼エースとして全国大会出場を果たすこともできました。
弱点や苦手なことがあっても諦めず、「これができるようになったらカッコイイし、ワクワクする」とポジティブに考えて活路を見出し、それを磨くことで自分の武器に変えてきた鍛治さん。
仕事をする上で、苦手なことや自分には無理だと思うことに直面することは多々あるでしょう。
そんなとき、すぐに「もうダメだ」と諦めてしまうのではなく、鍛治さんのように「自分の行動次第で変えられることもあるのでは?」「同じような経験をした人はいるはずだから、誰かに相談してみよう」と前向きに考えて行動してみたら、意外な突破口が見えてくるかもしれませんね。
出典元:ネオキャリア
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