HOMECareer Runners リミッターが外れる環境に身を置く!「Flatt Security」22歳CTOの“キャリア選択の軸”とは

リミッターが外れる環境に身を置く!「Flatt Security」22歳CTOの“キャリア選択の軸”とは

長澤まき

2021/06/21(最終更新日:2021/06/21)


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提供:株式会社Flatt Security/CTO 米内貴志さん

就職・転職・副業など、キャリアを進める上で何度も現れる選択肢。どの道を選ぶことが自分にとってのベストな選択なのか分からず、頭を悩ませている若者は多いのでは?

力強いキャリアを歩んでいるビジネスパーソンは、キャリアの分岐点で何を考え、自分の進む道をどのようにして決めてきたのでしょうか?

株式会社Flatt Securityの米内貴志さん(22歳)は、東京大学理学部情報科学科在学中の2019年、同社にセキュリティエンジニアとして入社。今年3月に大学を卒業し、6月より同社のCTOに就任しました。

これまでのどのような選択が現在につながっているのか?自分の進む道を選ぶときに重視していることとは?米内さんに取材しました。

東大発スタートアップ「Flatt Security」

株式会社Flatt Securityは、「セキュリティの力で信頼をつなげ、クリエイティブな社会を実現する」をミッションに掲げる、東大発のサイバーセキュリティスタートアップ。

今年4月には、Webエンジニアのセキュアコーディング習得を支援するクラウド型学習プラットフォーム「KENRO(ケンロー)」を正式リリースしました。

攻撃者が用いる手法を体験するハッキング演習や、脆弱なソースコードを修正する堅牢化演習を通じて、より実践的なトレーニングを一元的に受講できるSaaS型eラーニングサービスです。

天才ハッカーに憧れ、パソコンが遊び道具

同社CTOの米内貴志さんは、1998年9月生まれの現在22歳。北海道・釧路市出身。

2019年、大学3年生の時に株式会社Flatt Securityに入社し、大学に通いつつ「KENRO」のシステム開発・コンテンツ監修に従事。大学卒業後の今年6月、同社のCTOに就任しました。

また、セキュリティ・キャンプ事業の講師、電気通信大学ウェブシステムデザインプログラム講師、SECCON CTF 実行委員会メンバー等を歴任。今年2月には、著書「Web ブラウザセキュリティ - Web アプリケーションの安全性を支える仕組みを整理する」を出版しました。

-----情報科学に興味をもったきっかけは?

米内さん:小学校高学年の時に、天才ハッカーがテロ組織に立ち向かうドラマ「ブラッディ・マンデイ」を見て、コンピューターを使いこなす人に興味を抱くようになったことがきっかけです。

また、ちょうどその頃、父親からおさがりのパソコンをもらったのですが、それを使ってプログラムを書いて公開したり、プログラミングに興味を持つ人が集まる掲示板に顔を出してゲームを作ったりと、パソコンを使って遊ぶようになったことも重なって、コンピューターへの興味を持ち始めました。

-----コンピューターやプログラミングの知識はどうやって身につけたのですか?

米内さん:C言語入門サイト「苦しんで覚えるC言語」など、ネット上のフリーウェブサイトを中心に独学で習得しました。

行き詰った時やわからないことがあった時も、先ほどお話ししたプログラミングに興味を持つ人が集まるネット上の掲示板やチャットなどを活用して解決していました。

-----セキュリティ分野に興味を持ったきっかけは?

米内さん:中学生の時に、次世代を担う情報セキュリティ人材の発掘・育成事業「セキュリティ・キャンプ」に参加したことが大きな転機になりました。

同じような志向を持った人と無料で合宿して学べる「セキュリティ・キャンプ」の存在をネット上で知って応募したのですが、1度目は落選。13歳の時に2度目の応募で合格し、東京で開催されていたセキュリティ・キャンプに参加することができました。

東京に一人で行くこと自体、北海道の釧路で生まれ育った僕にとっては大きな冒険でしたが、そこで出会った人や知識、経験がとても楽しく、セキュリティ業界に進みたいと思うようになりました。

“やりたくないこと”には時間は使わない

中学生時代はコンピューターに強くなることに注力。

しかし、人と共同作業をする機会が増えるに従って、自分のコミュニケーション能力不足に気づき、高校の3年間はほぼコンピューターに触れず、コミュニケーション能力を磨くことに費やしたそう。

そんなコンピューターに触れない3年間を経ても、自分の中のコンピューターやセキュリティ分野への熱意は変わらなかったことから、大学では情報科学を専攻することに決めたそうです。

そして、大学で情報科学についての知識を深めていた大学3年生の時に、大学のサークルの先輩だった同社代表の井手さんに声をかけられ、Flatt Securityに入社しました。

-----学生生活と仕事を両立するのは大変ではなかったですか?

米内さん:学生生活と仕事だけでなく、セキュリティ・キャンプの講師などの活動もしていたので、いわゆる大学生らしい生活は満足にできませんでしたが、自分がやりたいと思ったことはできていたので満足できていました。

-----時間を上手くつかうために、何か工夫したのですか?

米内さん:“やりたいこと・やるべきこと“と“やりたくないこと・やらなくていいこと”を明確に言語化し、やらなくていいこと・やりたくないことには一切時間を使わないようにしました。

また、物事に取り組むにあたっては、何か特別な瞬間だけがんばるのではなく、常日頃から淡々とがんばることを意識しています。

自分にない引き出しがある道を選ぶ

-----大学卒業後も同社に在籍し続ける道を選んだ理由は?

米内さん:セキュリティ分野が好きだったことに加え、代表の井手が自分にないものを持っていたことが大きいです。

僕はどちらかというと慎重に淡々と物事を進める性格なのですが、自分とは全く違う大胆さを持ち、大きなビジョンに向かって着実に事業を進めている井手と一緒に働くことで、自分のリミッターが外れ、より成長できるのではないかと考えました。

-----自分の進む道を選ぶにあたって重視したことは?

米内さん:自分にはない引き出しがある道、自分ができないことがある道を選ぶことを意識しています。

理由は、自分は一つのことを掘り下げる専門家よりも、いろいろなことを広く浅く手がけたり、まとめたりする、いわゆるゼネラリスト的なことのほうが得意だと思っているからです。

自分が既に知見を持っている分野に進んで専門性を深めるのではなく、自分がわかっていないこと・やってないこと・自信がないほうの道に進むことで、わかる・できる領域を増やす。

そうすることで、既にわかっていたこと・できることと、新しくわかったこと・できるようになったことが点と点でつながり、より幅広い視野や知見を手に入れることができると思っています。

提供:株式会社Flatt Security/左)代表取締役社長 井手康貴さん、右)CTO 米内貴志さん

がんばって「わからない」を伝える

-----これまでにどのような失敗や挫折を経験しましたか?

米内さん:いろいろなことを独学で学んできたため、“自分で解決したい!”という想いが強く、人に聞くのが苦手だったので、会話の中でわからないことがあってもその場で聞かず、帰宅後に自分で調べていました。

それがプラスになるケースもありますが、その場で“わからない”を言えないばかりに話がスムーズに進まなくなってしまうことも多々あり、劣等感を感じていました。

-----それをどう乗り越えましたか?

米内さん:自分の悔しい気持ちを抑え、わからない時は「わからない」と口にすることを繰り返しました。

提供:株式会社Flatt Security/職場風景

まだ解かれていない問題を解いていく

-----これから、どんなことに挑戦していきたいですか?

米内さん:今までと変わらず、自分や社会がまだ解いていない、誰も手を付けていない問題を解いていきたいです。

セキュリティ業界には、課題だと認識されているにもかかわらず、まだ誰も手を付けていない問題がたくさんあります。

まず、自分がその未知の問題にアプローチすることで、その問題に光を当て、その問題を解くことができる専門性とスキルを持ったスペシャリストの方々にバトンを渡していく橋渡しができれば嬉しいと考えています。

提供:株式会社Flatt Security

“書くこと”で自分と向き合ってみては

-----最後に、これまでを振り返って「やって良かった」「これはおすすめ」と思う経験や学び、行動は何ですか?

米内さん:本を書いたことです。

自分の知っていることや考え、これから考えるべきことなどを、数百ページにまとめることで、今までは気づくことができなかった問題に気づけるなど、自分と向き合うことができました。

また、「初心者に理解してもらうためには、どこから説明すればいいのか?」「専門家が読んでも不自然な内容ではないか?」と考えることで、自分の理解をより深めることもできました。

-----本を出版する予定はない若手ビジネスパーソンでもできることはありますか?

米内さん:実際に本を出す機会はなくても、自分の専門分野や得意なこと、興味があることについて書くことはいくらでもできます。

「なぜ自分はそれをやっているのか」「どうやるのか」「これから何をするべきか」などを、人に伝えることを意識して、数百ページほど書き出してみることで、本を書くのと同じように、自分と向き合うことができるのではないかと思います。

提供:株式会社Flatt Security

自分の好きなこと・得意なことから自分がどのように成長していきたいのかを考え、その実現に向かって、あえて自分がわからない道・自信のない道を選ぶことでゼネラリストとしての能力を磨いている米内さん。

米内さんが切り開いた領域が、これからどのように成長し世の中に影響を与えていくのか、期待が高まります。

出典元:Flatt Security
出典元:Flatt Security/KENRO

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