HOMECareer Runners 行動力で差をつけろ!起業支援制度「GAKUcelerator」最優秀者が"独りよがり"から卒業できた理由

行動力で差をつけろ!起業支援制度「GAKUcelerator」最優秀者が"独りよがり"から卒業できた理由

白井恵里子

2021/05/27(最終更新日:2021/05/27)


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伊山京助さん/提供:ディップ株式会社

「いい事業アイデアが思い浮かばないな…」「アイデアは良いはずなのに、どうしてうまくいかないんだろう…」目指すべき目標や叶えたい夢があるからこそ、人は時にこのような壁に直面します。

そんな時、あなたならどのような行動をとりますか?

「一番大きな収穫は、人に頼ることの大切さに気が付けたことでした」学生を対象とした起業支援プログラム『GAKUcelerator(ガクセラレーター)』の第7期デモデイに参加した伊山京助さん(23)の言葉です。

彼は、理系学生が動画で先行研究を理解できるプラットフォーム「Lab-Recipe」の事業アイデアをデモデイで発表。57人の応募の中から、最優秀賞に選ばれました。

彼がこれまで気が付かなかったという「人に頼ることの大切さ」とは?現在は「Lab-Recipe」のプラットフォーム開発に向けて日々邁進しているという伊山さんを取材しました。

起業支援プログラム『GAKUcelerator』

GAKUceleratorは、小学生から大学院生まで全ての学生を対象とした起業支援プログラム。2019年4月よりディップ株式会社が運営を開始し、これまで数々の学生へ起業のサポートを行ってきました。

具体的には、審査を通過した学生に対し、同社の持つノウハウやネットワークを活かして、3カ月の経営・業務支援をはじめとした、出資支援、営業支援等を実施。仮に失敗してしまったとしても、就職支援でセーフティーネットを用意することで、「起業に向けて一歩を踏み出す」ことへのハードルを下げ、また「近い将来、セカンドチャンスに臨みたい」という想いもサポートしています。

今年4月には第7期生のプログラム成果発表会(デモデイ)を開催し、選考に残った3人の学生が事業のプレゼンテーションを行いました。

伊山さんの事業アイデアは、そこで最優秀賞を受賞したのです。

自身の課題感から浮かび上がった「Lab-Recipe」

伊山さんは、東京大学大学院の修士2年生。理系大学院生である自身が感じる課題感から着想を得て、「Lab-Recipe」のアイデアが生まれたといいます。

-----そもそもなぜ起業を目指すようになったのですか?

伊山さん:大学2~3年の時に、イベント団体の立ち上げを経験したのですが、その時に味わった達成感がきっかけとなって、起業を志しました。

「自分が生み出したもので人に喜んでほしい」そのような気持ちが原動力となっています。

-----GAKUceleratorに参加された経緯について教えていただけますでしょうか。

伊山さん:自分と同じように起業を目指している学生と交流したい、と思ったことが始まりでした。

起業家コミュニティについて色々と調べているうちにGAKUceleratorの存在を知り、「これだ!」と思って迷わず応募したんです。

-----応募の時点で「Lab-Recipe」の事業アイデアを持っていたのですか?

伊山さん:いえ、応募した時点では別のアイデアを持っていました。「本当に自分が挑むべき問題意識は何か?」「市場規模は?」「ビジネス化できるか?」このような観点でメンタリングを受けていった結果、「Lab-Recipe」という新しいアイデアが浮かび上がったんです。

私自身、理系大学院生で研究室に所属しているのですが、研究室では情報が属人化していて、同じ先輩に多くの学生が同じような質問を何度もしている…というシーンをよく目にしてきました。

このような非効率なシーンを減らすために、研究室全体でスマートに情報共有できる仕組みを作ることはできないか…。そこから、説明動画をアップしてそれを研究室内外に共有できるというプラットフォームの構想が生まれました。

研究室内でのコミュニケーション活性化にくわえて、将来的には研究室同士の繋がりもつくっていけるようなプラットフォームを目指しています。

取材の様子(オンライン)

教授にアイデアを一掃されることも…

GAKUceleratorのメンタリングでは3~4つのアイデアを出し、それをもとに3カ月に渡りメンターに壁打ち。さまざまな観点からアイデアをブラッシュアップしていくといいます。

-----アイデアを形にしていくにあたり、一番大変だったことは?

伊山さん:教授の納得を得ることが一番難しかったですね。

ユーザーは学生なのですが、導入を決定するのは教授なので、大学や企業等の研究室の教授に話を聞いて回ったんです。

ですが、実際のところ現状に課題を感じていない方が多く、「そんなものなくても、現状でもうまくまわっている」とアイデアを一掃されることも。

そういった時は「夜遅くまで残っている学生が多い」など、忙しすぎる学生の具体的な現状を説明して、「根本的な課題はコミュニケーション不足にある」ということを地道に伝えていきました。

-----すでにプラットフォームは出来上がっているのですか?

伊山さん:実はまだβ版の開発中なんです。プログラミング技術を持っているわけではないので、ノーコードで作成中です。

β版が完成したら実際に導入してもらって、将来的には学会発表や論文作成で終わってしまっていた研究室の「成果」も対外的に共有できるような仕組みにしていきたいと考えています。

人に頼ることの大切さ

伊山さん自身も感じていた身近な課題からうまれた「Lab-Recipe」。最優秀賞として評価を得ることができたポイントのひとつは、「課題感を抱きつつも、誰もやろうとしなかった領域で手を挙げたこと」だったそう。

当事者として「なんとかしたい!」という気持ちが強かったからこそ、高い評価に繋がったのかもしれません。

-----GAKUceleratorに参加したことで得られた最大の学びは何ですか?

伊山さん:人に頼ることの大切さに気が付けたことです。

これまで「一人で何とかしよう」と自分だけで抱え込んでしまう性格だったのですが、今回プログラムのメンターさんが「いつでも頼ってね」と包み込んでくださったお陰で、安心してのびのびとアイデアを考えることができたんです。

具体的な行動を指し示してくれる人の存在がこんなにも心強いのか…と、今回強く実感しました。これまでいかに独りよがりで物事を考えていたか、といったことにも気が付きましたね。

この学びを糧に、今後は教授や企業等との繋がりを大切に、周りの人を良い意味で頼って、アドバイスをたくさん頂きながら「Lab-Recipe」を成長させていきたいです。

周りと差をつけるためには

-----学生団体の立ち上げやGAKUcelerator参加など、行動を起こし続けるために意識していることは何ですか?

伊山さん:周りで成功している人を見ると、考えを行動に移すという「行動力」が違うと感じることが多々あるので、ありきたりの言葉かもしれませんが、「思い立ったら、すぐ行動」をモットーにしています。

どんな時も自分と正直に向き合って、「やっていて楽しいことって何だろう?」と自分の価値観を吸い上げる。そして、それをちゃんと行動に起こす。

周りと差をつけるためにはこの行動力が欠かせないと思っています。そして今後はその「行動」に、多くの"頼れる人"を巻き込んでいきたいですね。

-----最後に、今後の目標をお聞かせください。

伊山さん:起業に向けて来年3月まで大学院を休学しているので、休学が終わるその時までには起業したいです。

プラットフォーム開発に関する技術に詳しい人や、同じ課題感を持っている人など、仲間探しにも注力したいです。

-----ありがとうございました。

起業に向けて一歩を踏み出すことができただけでなく、プログラム参加を通じて、自身の欠点に気づくこともできたという伊山さん。彼が実感したように、良い意味で「人を頼ること」は、自分の持つ可能性を最大限広げるためにも欠かせないことなのではないでしょうか。

今、まさに壁に直面している人は、まずは一人の世界から抜け出して、周りを見渡してみることから始めてみると、心強い仲間と出会うチャンスに巡り合えるかもしれません。

出典元:ディップ株式会社
出典元:GAKUcelerator -ガクセラレーター

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