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「曲がり曲がってまっすぐ」25歳で取締役に就任!食べチョク松浦さんの成長の軸にある、りんご農家の教え

長澤まき

2021/06/06(最終更新日:2021/06/14)


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提供:株式会社ビビッドガーデン(食べチョク)/松浦悠介さん

「仕事を通して成長したい」「周りから評価されたい」と思ってはいるものの、そのために具体的に何をどう考え、どのように行動すればいいかわからないという若者は多いのでは?

株式会社ビビッドガーデン(食べチョク)の松浦悠介さん(25歳)は、2018年10月に第二新卒として入社した同社でマーケティングを担当。未経験ながらもテレビCMをはじめ同社の事業を牽引し、今年2月に入社2年3カ月で取締役に就任しました。

未経験の仕事にどのように向き合ったのか?どんな考え方や行動が成長につながったのか?松浦さんに取材しました。

ユーザー数50万人突破「食べチョク」

株式会社ビビッドガーデンは、生産者のこだわりが正当に評価される世界を目指す2016年創業のスタートアップ企業。

同社が運営する、こだわりの生産者から直接食材やお花などを購入できる「食べチョク」は、鮮度の高い食材を購入できることや、市場に出回っていない珍しい商品との出会い、生産者とのコミュニケーション、食べて生産者を応援できることなどから年々人気が高まっており、今年5月にはユーザー数が50万人を突破。

国内の産直通販サイトの中でも高い認知度・利用率を誇る、生産者と消費者の双方から愛されるサービスとなっています。

安定志向から“逆算思考”へ

同社取締役の松浦悠介さんは、1995年6月生まれ。

2018年3月に一橋大学を卒業後、新卒入社した外資系IT企業を経て、同年11月に第二新卒として株式会社ビビッドガーデンに入社。未経験で担当したマーケティングの仕事に積極的に取り組み、今年2月に25歳で同社の取締役に就任しました。

-----キャリアの軸が定まるまでの道のりを聞かせてください。学生時代、もともとはどのようなキャリアを思い描いていましたか?

松浦さん:就活を始めた頃は安定志向が強く、大きな会社に所属して、その中で新しいことに取り組んでいきたいと考えていました。

しかし、長期インターンをしたり、個人的に全国をまわって農家の方々とお会いしたりしていくうちに、「自分の人生は自分で決めないといけない」という想いが強くなり、その手段として会社を選択する、いわば逆算思考で就職を考えるようになりました。

-----農業に興味を持ったきっかけは?

松浦さん:ずっと都会育ちで農業や地方とは縁が遠かったのですが、大学1年生の時に農業サークルの副代表を務めることになり、その取り組みを通して一次産業への想いが強くなっていきました。

提供:株式会社ビビッドガーデン(食べチョク)/大学在学中に開墾した畑

4社で長期インターンを経験

松浦さんは学生時代、株式会社ビビッドガーデンを含む4社で長期インターンを経験したそうです。

-----インターン先はどのように選びましたか?

松浦さん:1社目は、当時自分が興味を持っていたアパレル分野の企業を選びましたが、2社目以降は“そこで自分が欲しいスキルを身につけることができるか”という観点で選びました。

-----インターンで得た経験は、今どのように活きていますか?

松浦さん:仕事の進め方やビジネスマナーを体験することで、ビジネスパーソンとしての下積みになったと思います。

2018年の西日本豪雨が転機に

-----就職先として、まずIT外資系企業を選んだのはなぜですか?

松浦さん:大学時代に所属していた農業サークルの代表と事業をつくろうとしましたがうまくいかず、「いったん別の産業で経験を積んでスキルアップし、いつか一次産業に貢献したい」と考えて就活に臨みました。

その最初のステップとして、自分のベーススキルをつけることや、他の人を巻き込んで素早く事業を推進していくことに興味を持っていたため、就活では、コンサルやIT企業、外資系など、スピード感のある企業を中心に応募していました。

ありがたいことに6社から内定をいただき、その中から、その会社で働くことで自分の選択肢が広がるかどうか、産業の将来性はあるか、ダイバーシティへの取り組みといった点を検討し、新卒入社した外資系IT企業を選びました。

-----新卒入社した会社を辞めてビビッドガーデンへ転職した経緯を教えてください。

松浦さん:転機になったのは、2018年の西日本豪雨です。

豪雨によりハウスがつぶれるなど甚大な被害が発生し、大学時代にお世話になった生産者さんたちが何人もSNSに悲痛な声を投稿しているのを目の当たりにし、「いつか一次産業に関わりたい」とのんきに考えていたことを後悔しました。

「『いつか』なんて考えでは、いつまでも行動に移さないのではないか」「実力をつけるために数年間待つ意味はあるのか?」「一次産業には時間がない。今すぐ動く必要がある」といった想いが溢れ、キャリアを考え直すようになりました。

提供:株式会社ビビッドガーデン(食べチョク)

自分で自分を説得して決断

-----一次産業に携わる会社はたくさんある中で、なぜビビッドガーデンを選んだのですか?

松浦さん:キャリアを考え直しているタイミングで、たまたまビビッドガーデンの社長である秋元里奈と再会し、いろいろ話をしました。

その中で、彼女の食べチョクを成長させるための覚悟や、事業に本気で注力している姿勢に胸を打たれ、「この人と仕事したい」と入社を決意しました。

-----転職を決断するにあたって、どうやって心を奮い立たせましたか?

松浦さん:自分の心の中にあった転職へのハードルを自分で下げました。

「今の時代、新卒入社した会社を半年で辞めてスタートアップに転職するリスクは軽減されているのではないか」「スタートアップやイノベーション人材へのニーズも高まっている」「まだ若いので、たとえ失敗したとしても次のチャレンジをできる」など、ロジック詰めで自分自身を説得しました。

提供:株式会社ビビッドガーデン(食べチョク)

できることを全部やる&一歩引く時間をつくる

そうして入社したビビッドガーデンで、松浦さんは未経験だったマーケティングの仕事を担当することになったそうです。

-----未経験の職種にどう向き合いましたか?

松浦さん:入社したのが、会社としてマーケティングに注力していこうというタイミングだったのですが、スタートアップだったので人数も少なく、「自分がやるしかない」という状況に置かれ、任された仕事にとにかくしがみつくように取り組みました。

-----新しい会社・職種で働くにあたって、どんな困難があり、それをどう乗り越えましたか?

松浦さん:未経験なので“わからないことがわからない”という状況でした。

そこで、「インプットとアプトプットを、他の人の30倍はする!」と意識し、関係する書籍をかたっぱしから読んだり、メルマガや広告、SNSはもちろん、まだ知られていない小さな媒体も手掛けてみたりと、とにかくできることをすべてやりました。

それと同時に、ふと我に返って一歩引いて全体を見渡す時間をつくることで自分の足りないピースを把握し、それを埋めていくことを繰り返しました。

提供:株式会社ビビッドガーデン(食べチョク)

当事者意識を持つことで、視野が広がった

-----入社2年3カ月での取締役就任は、何が評価されたと思いますか?

松浦さん:当事者意識を持って幅広い分野にも手を伸ばしたこと、また、他の人も巻き込んで事業を前に進めることの2点を心がけていたことが大きいのではないかと思います。

当事者意識という点では、スタートアップということもあり、在庫問題や生産者さんへの対応など職種を超えたさまざまな問題が仕事に絡んできました。

そんな時、自分の担当を超えているので自分事にしないというスタンスをとることもできますが、あえて無理をして、全ての問題に当事者意識をもって取り組みました。

そうしているうちに仕事の視野が広がり、アイデアを出す際にも幅広い視点を持って考えることができるようになりました。

提供:株式会社ビビッドガーデン(食べチョク)

ぶれない軸を持ち、その瞬間の最適な判断を

-----これまでを振り返って、「これはやって良かった」「ためになった」「ビジネスに活きている」という経験や学び、行動はありますか?

松浦さん:2つあります。

一つは、具体と抽象、あるいは構造化を心がけることです。

忙しいときは視野が狭くなりがちですが、「目の前のものは全体のどこに位置するのか」「自分の目線は今どの位置にあるのか」を意識して考える習慣をつけておくことがとても重要です。

そのためには、日常生活からビジネスまで、自分の行動の理由を「なぜそれを選択したのか?」という質問を繰り返し、最低でも2階層は掘って考えるように心がけたほうがいいと、社内のメンバーにも話しています。

松浦さん:もう一つは、青森県の農家の方から教わった「曲がり曲がってまっすぐ」という言葉です。

リンゴの木を成長させるためには、毎年、良い枝を残し、不要な枝は取り除く剪定が必要となります。

どの枝を残すかは毎年試行錯誤。その年、その瞬間に一番いいと思える選択を重ねていくので、短いスパンで見ると木はジグザグに育っているように見えます。しかし、「こう成長させたい」というぶれない軸のもとで剪定しているので、数年後に振り返ってみると、立派な一本の幹が出来上がっています。

この言葉は僕に、“ぶれない軸を持ち、その瞬間瞬間に自分がベストと思える解を選ぶことが一番の近道となる”ということを教えてくれました。

この教えは僕の中でずっと生きていて、日々の中で「僕はその瞬間の最適な選択をできているだろうか」「悔いのない真っすぐな生き方をできているだろうか」と自分を振り返る貴重な機会を与えてくれています。

一次産業に貢献したいという想いのもと、自分がベストと思える選択や決断を繰り返し、懸命に仕事に向き合うことで成長し続けている松浦さん。

「ぶれない軸を持って、その瞬間に自分が最適と思える選択をする」「自分の担当の範囲を超える仕事にも、当事者意識を持って懸命に取り組む」「一歩引いて全体を見渡すことも心がける」というその仕事への向き合い方は、業種や職種にかかわらず、成長するためのヒントを与えてくれそうです。

出典元:vivid garden
出典元:食べチョク

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