「自分の強みって何だろう」「自分の抱いている使命感ってどんなものだろう」自己分析を行っていると、誰もがこんなことを考えるのではないでしょうか。
自分が当たり前だと思っていることが、まったく異なる環境で育った人や別の世代の人にとっては新鮮なものだったということは、よくあります。
その結果、自分では認識していなかったところが実は「強み」だった、と気が付くこともあるのではないでしょうか。
「デジタルネイティブと言われる"Z世代"こそが強みです」約40人の学生クリエイターが在籍する23(トゥースリー)株式会社の清水淳史代表(24)は、同社の強みについてこう語ってくれました。
彼はなぜ、学生クリエイターのみを集めた会社を立ち上げようと思ったのでしょうか?「世代が強み」の真意とは?清水さんを取材しました。
「地方」×「Z世代」×「グローバル」
同社は2020年9月に創設したばかりの、福岡県を拠点とするスタートアップ。U25の学生クリエイター約40人から成る、クリエイティブエージェンシーです。
「地方」×「Z世代(1996年以降生まれ)」×「グローバル」を強みとし、WEB/モバイルアプリ開発や動画制作、各種デザイン/イラスト制作などの事業を展開中。最近では「まちづくり」に関する業務にも力を入れているといいます。
今年4月には長崎に新拠点を置き、長崎大学の学生を新メンバーとして加え、事業エリアの拡大を発表。今後は関西地方や中部地方への進出も目指しています。
学生クリエイターが力を発揮できる場をつくりたい
清水さんは、九州大学芸術工学部に在籍する学生起業家。2020年9月に同社を設立しました。
-----23株式会社を設立した経緯について教えていただけますでしょうか。
清水さん:20歳の時に、スタートアップイベントで知り合った方が立ち上げたドローン事業のスタートアップに取締役として参画したことが経営者としてのスタートでした。
このスタートアップでは、ドローンの飛行を実現するために必要な「空の道」を整備するための事業を展開していました。具体的には、空の利用権の貸し借りができるマーケットプレイスづくりです。
この事業には世界を変える可能性すら感じ、非常に魅力的だったので、大学を休学し、福岡から東京に移って夢中で事業を進めていました。しかし、昨年春頃にコロナ禍の影響もあり、取締役を退任。
昨年9月1日に福岡に戻り、同月18日に23株式会社を設立しました。
-----すごいスピード感ですね…!福岡に戻る前に新会社設立を決意されていたのですか?
清水さん:いえ、まったく(笑)。取締役を退任してその後どうしようか模索していた時に、大学に戻って周りを見渡すと、学部の性質上、プロ顔負けのクリエイターがたくさんいるなぁと感じて。
そして、学生たちは自分が活躍できる場や、自分の価値を提供できる場を探しているのに、その機会がなく埋もれてしまっている現状をどうしかしたいと思うようになりました。
そこで、地元企業と学生クリエイターをマッチングして価値を生み出す事業を立ち上げようと決め、すぐに動いたんです。
Z世代であること自体が強み
当初、清水さん含め5人のメンバーでスタートした同社ですが、現在は約40人の学生クリエイターが在籍しています。"大学卒業後は上京する"という人が多いなか、同社で働くことを通じて地元企業の魅力に気付いたというメンバーもいるのだそう。
-----どんなメンバーが集まっているのですか?
清水さん:クリエイターとしてのスキルを十分に持っている前提に加えて、そのスキルを発揮して価値を生み出したいとウズウズしている人たち。一言で表すと、"挑戦したい人"の集まりですね。
-----学生クリエイターと社会人クリエイターの違いはあると思われますか?
清水さん:学生かそうでないかというよりは、「Z世代である」こと自体が強みだと思っています。
Z世代は1996年以降に生まれた、所謂デジタルネイティブ世代。デジタルが身近にある環境が当たり前で、SNS等の活用も日常の中に溶け込んでいます。
ローカルTV局からYouTube動画制作のお仕事をいただいたことがあるのですが、これがまさに良い例だと思っています。TV局なので、当然TV制作の経験や知見はお持ちなのですが、YouTubeとなるとテロップひとつをとってもTVとは異なるんですよね。
だからこそ、日常でYouTubeがより身近である僕たちの感性が強みになる。そこを頼りに、声をかけていただいたのだと思っています。
-----起業後、最も印象に残っている瞬間は何ですか?
清水さん:在籍しているメンバーが、「いち学生」から、「プロのクリエイター」になる瞬間に立ち会うことができるのは僕の特権だと感じています。
これまでインプットをメインにしてきた学生が、仕事としてクリエイティブ作品をつくり、納品し、お客様に喜んでいただく。そうして「プロ」になっていくんですよね。その瞬間が自分にとってもとても喜ばしいことなんです。
常に「次の世界がどうあるべきか」を考える
20歳からスタートアップに参加し、その場を離れた後にも時間を空けずに起業を実現した清水さん。その行動力の背景には、どのような考えがあるのでしょうか。
-----行動を起こす際に大切にしている考え方などがあれば教えてください。
清水さん:僕自身24歳なので、人生100年と考えると、あと70年以上も生きるんですよね。
そう考えると、目先の利益だけを考えていては不十分で、「次の世界がどうあるべきか」「それに向けてどう行動していくか」を考えるべきだと思っています。
23(トゥースリー)にとってクリエイティブは、自分たちが信じる価値を届けたい人に届ける手段。なので、僕たちが事業を展開していること自体が、未来を作っていく力の醸成に繋がっていると考えています。
常に「次の世界がどうあるべきか」を考える。これは、これからの時代を担うZ世代だからこその使命感と言えるかもしれません。
そして、「積み重ねてきたキャリア」や「家庭」など、失うものが何もない学生だからこそ、その使命に向かって迷わず行動を起こせています。
-----最後に、今後の目標について教えてください。
清水さん:今は福岡を中心に活動していて、学生のクリエイティブ力が地域の企業やお店の課題を解決していくというモデルが完成しつつあるので、今後このモデルを九州全体・関西・中部にも広げていきたいです。
一歩立ち止まって周りを見渡してみると、自分がその世代として生きていること自体が強みになることもある…清水さんの言葉からは、そんなメッセージを汲み取ることができそうです。
Z世代だからこそできること。Z世代だからこその使命感。自身のキャリアについて迷っている人は、こんな風に思考を転換してみると、これまで見えなかった目標やキャリアプランが浮かび上がってくるかもしれません。
出典元:23(トゥースリー)株式会社
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