仕事を任せてもらったり、新しいプロジェクトに声をかけてもらったりと、仕事をするにあたって、信用を得ることはとても重要な要素の1つです。しかし、どうすれば上司や同僚、仕事相手などからの信用を得ることができるのでしょうか?
株式会社VMK 代表取締役の田中優大さん(22歳)は、「熱狂する若者を増やして、世界をもっとアツく」という想いを胸に、2020年3月に起業。
クラウドファンディングで集めた資金と銀行の融資をもとに、同年6月に京都に学生無料のコワーキングスペース「Voltage」をオープン。今年6月には、名古屋・金山に、地元企業と連携して2号店となるコワーキングスペースを出店します。
企業や自治体とも連携するビジネスをどのように作り上げてきたのか?仕事をする上で欠かせない“信用”を得るためには何をすればいいのか?田中さんに取材しました。
世代を超えて共創する「Voltage」
Voltageは、地域の学生やスタートアップ支援を中心とした地域エコシステム構築のためのコワーキングスペース。
学生・起業家・民間企業・大学・公的機関などが相互に結び付き、学生の新たな挑戦やスタートアップを支援することで、その活動が更なる人材や資金といったきっかけを地域に呼び込み発展し続ける「地域創生エコシステム」の構築に貢献することを目指しています。
6月に新たに名古屋・金山にオープンする「Voltage名古屋」は、企業のオフィスの一部をコワーキングスペースとして活用するという新しいビジネスモデルにて運営。
コロナ禍によりオフィスの在り方が見直される中、遊休不動産になりえる企業のオフィスやホテルのラウンジの一部をコワーキングスペースとして活用することで、あらゆる方向に利益を生み出す事業を各地で展開していく計画だそうです。
「継続のためにはビジネスが必要」と起業
代表の田中優大さんは1998年11月生まれ、現在22歳。京都大学教育学部の4年生です。
国際協力系の学生団体と自らが立ち上げたビジネス系学生組織での活動を経て、2020年3月に京都大学発の学生ベンチャーを立ち上げました。
現在は、同社の代表取締役として活動しているほか、京都大学起業部の学生メンターなどの活動も手がけているそうです。
-----いつ頃から、どのようなきっかけで起業を志すようになったのですか?
田中さん:高校2年生の頃から、「社会のルールを作ったり動かしたりできるような、社会的インパクトを与える存在になりたいと」と思うようになり、その選択肢の1つとして漠然と起業を考えるようになりました。
また、僕は集団行動が苦手だったのですが、自分がリーダーとしてチームを動かすことは苦痛ではなかったため、「どこかの組織に所属して活動するよりも、自分が中心となる組織を作って活動した方が社会に価値を提供できるのではないか」と思ったのも、起業を考えるようになった理由の1つです。
-----起業を決断したきっかけは?
田中さん:明確に起業を考えるようになったのは大学3年の頃です。
僕は大学1年の終わり頃から国際協力系の学生団体で活動をしていたのですが、その活動を通して、「本当に社会貢献や社会に価値を提供するためには、短期的ではなく、1回あたりの変化は小さくてもいいので長期的・継続的に活動することが重要なのではないか」と気付きました。
そうして継続性という観点で考えたところ、資本主義社会では活動を継続するためにはお金が必要になるので、ビジネスを絡めることが本当の課題解決につながるのではないかと思い至ったのがきっかけで、起業を決断しました。
お金=感謝と信用の対価
-----起業に向けて、どのように動きましたか?
田中さん:ビジネスに触れた経験が全くなく、まず何から学べばいいかもわかっていなかったため、まずは学生団体を通して知り合った学生起業家や社長などに、何から勉強したらいいのかを聞きました。
そこでもらったアドバイスの1つ、“自分の中でお金の価値観を決めること”について、さまざまな勉強を通じて考えてみたところ、自分の中で“お金=感謝と信用の対価”という結論に辿り着きました。
例えば、同じ仕事でも経歴やキャリアを積んできた人のほうが仕事の単価が高いのは、「この人ならちゃんとした成果を出してくれる」という信用があるからなのではないでしょうか。
感謝と信用をお金に変えることが仕事の本質ではないかという気づきを得た後は、その自分の価値観をベースに、さまざまな会社のビジネスモデルを調査・分析することでビジネスについて実践的に学びました。
垣根を超えた挑戦・出会いの場に
-----コワーキングスペース「Voltage」を発案したきっかけは?
田中さん:京都は人口の1割を学生が占める“学生の街”にもかかわらず、学生起業家や学生の活動が外部に活発に発信されていないことに問題意識を持ったことがきっかけです。
その原因は、学生活動の拠点や学生の活動を支援する場所が無いからではないかと考え、「それなら、学生が無料で使えるコワーキングスペースの設立を通じて、京都に学生と企業が相互に結び付いて、経済活動を発展させられるような拠点をつくりたい」と考え、Voltageを発案しました。
この施設が、コロナ禍によりオンライン中心となりつつある世界でも、オフラインで集まることができる心の拠り所や居場所になればと思っています。
活動やSNSを通して人脈が広がっていった
-----多くのメンバーや企業、行政とも連携して活動しているとのことですが、その方々とはどのようにして出会ったのですか?
田中さん:学生団体のつながりやイベント、またTwitterの発信などを通じて、一緒に活動するメンバーや協力してくれる社会人に出会いました。
取引企業については、メールやSNSのダイレクトメールでアプローチしたり、人や企業の紹介で広がっていったりしました。
-----事業を始めてからこれまでに大変だったことは?
田中さん:組織づくりです。学生なので、人や組織をまとめた経験がありませんでした。
それを乗り越えるために徹底したのは、役割の明確化です。
一人ひとりに自分の役割を認識して当事者意識をもってもらうために、任せられることはきちんと任せると同時に、統一感のあるビジョンやミッション、世界観などの共通認識を伝えることで、同じ方向を向いて動けるように工夫しました。
また、会社なのでお金を稼ぐことも不可欠となります。まずは、会社を作った張本人である自分が動く必要があると考え、営業活動などに力を入れて初年度の売り上げを作りました。
自分を発信する土台を作っておこう
-----これまでを振り返って、「役に立った」「やってよかった」と思うことは何ですか?
田中さん:「泥臭くコツコツやり続けること」「SNSを通じて自分を発信する土台を作っておいたこと」「YouTubeで勉強する習慣」です。
SNSでの土台作りという点では、例えば、弊社は会社設立時にクラウドファンディングを活用したのですが、支援者の7~8割程度はTwitter経由でした。
自分が何をするにしても、SNSに自分のファンがいたら、自分のことを応援してもらえる確率が高くなります。
SNSを通じて自分を発信する土台を作っておくことで、何かしら活動を始めたいと思った時に、よりスムーズに進むことができるのではないかと思います。
-----若者が「これからSNSを通じて自分を発信する土台を作りたい」と思ったら、具体的に何をすればいいのですか?
田中さん:アカウントを作ったら、まずは「勉強について発信する」「1日1ツイートする」など、1つでいいので自分なりの発信のルールを決めること。
また、オリジナルのやり方で成功するのは難しいので、SNS運用で成功している人やフォロワーが多い人の投稿の仕方を真似することも大事だと思います。
仮説でもいいので“やりたいこと”を設定
同社はVoltageを通じて、思考力・行動力にあふれ、課題解決にむけて自走できるアクティブな若者が増えてほしいと思っているそうです。
-----そのような若者になるためには、どうすればいいと思いますか?
田中さん:まずは、自分がどうなりたいのか・どうありたいのかを考え、それを実現することができる環境選びが重要だと思います。
望む環境ややりたいことが見つからない場合は、仮説をたてて、とりあえず行動を開始する。
それが正解なのか、また本当にやりたいことなのかどうかは、やりはじめないと分かりません。
間違っていてもいいし、途中で方針変更することになってもいいので、自分がやりたいことや望む環境について「とりあえずこれ」と仮説を立てて決断し、それを覚悟をもって実践していくことが大切なのではないかと思います。
日頃から“自分らしさ”をアピールしておく
感謝と信用をお金に変えることを仕事の本質と捉え、メンバーや企業、行政とも連携してビジネスを展開する田中さん。
若者がこれから信用を得たいと思ったら、まず何をすればいいのでしょうか。
-----若者が信用を得るためには何が大切だと思いますか?
田中さん:全方向に報連相をしっかりとすること、成果を出すこと、自分の意見を持つことだと思います。
成果という点においては、特に若者の場合は「こいつなら間違いない。絶対結果を残してくれる」という確信ではなく、「こいつなら成果を出してくれるかもしれない」といった期待感が入口になるのではないでしょうか?
そういった期待感を持ってもらうために大切なのは、普段からこまめに自分の意見を発信する、何か聞かれたときに自分なりの意見を答えることで自分らしさをアピールしておくこと。
そうすることで、いざチャンスが来た時に「報連相もきちんとしてくれるし、自分なりにいろいろ考えているようなので、任せてみてもいいのかもしれない」と期待してもらえるきっかけになるのではないかと思います。
会社に入ると、同じ社内研修や教育などを受けるので、どうしても画一的な存在になりがち。そんな中で期待してもらったり、信用を得る人材になるためには、自分らしさをいかにアピールできるかが重要となってくると田中さんは話します。
いざという時に信用や期待感を持ってもらえる人材になるために、日頃からSNSや職場などで自分の意見を発信するといった土台作り・習慣を心がけてみてはいかがでしょうか。
出典元:Voltage
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