HOMEインタビュー 考えた企画が突然白紙に…ビジネス書出版社の新卒2年目が、奮闘の結果辿り着いたひとつの結論

考えた企画が突然白紙に…ビジネス書出版社の新卒2年目が、奮闘の結果辿り着いたひとつの結論

白井恵里子

2021/03/20(最終更新日:2021/03/20)


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小山怜那さん/提供:株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン

「なるべく失敗はしたくない」「壁に直面すると不安になり前に進めなくなってしまう」まだ社会に出て間もない若手ビジネスパーソンや、入社を控えている内定者のなかには、このような想いを抱えている人も少なくないのではないでしょうか。

しかし、実は困難こそが成長のチャンス。大切なことに気づいたり、仕事に対する考え方がアップデートされたりと、「すんなり通っていたなら得られなかったであろう学び」が、その困難の先に転がっているかもしれません。

2月より全国の書店で開催中のビジネス書フェア「"だから"人気のお仕事本集めました。」をご存知でしょうか。よく本屋に立ち寄るという人は、黄色いポップを見たことがあるかもしれません。

ビジネス書を中心に刊行している出版社・株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワンの新卒2年目社員である小山怜那さん(24)は、このフェアの企画担当者の一人です。彼女によれば、企画の立ち上げ段階で決定していたのは別のコンセプト。しかし企画進行中のある日、このコンセプトが急きょ白紙に戻されてしまうというハプニングがあったそう。

最終的に、どのようにして「"だから"人気のお仕事本集めました。」という新しいコンセプトが完成したのか?このハプニングを通じて彼女が感じたこととは?小山さんを取材しました。

「"だから"人気のお仕事本集めました。」

読みやすくて、明日から役に立つ「"だから"人気のお仕事本集めました。」フェアは、2月26日(金)より全国の書店で開催中。

例年は新生活を迎えるビジネスパーソンをターゲットに開催しているフェアですが、今年はコロナ禍の影響もあり、あえて「普段ビジネス書を読む習慣のない人々」を対象に。

未来に対する漠然とした不安に駆られた時、ビジネス書が人生の道標的な役割を果たしてくれるかもしれない…そんな想いと願いを込めて、人気書籍を中心にラインアップして「なぜこの本が人気なのか」を分かりやすく紹介。「悩みや不安を感じているのはあなただけではなく、そんなあなたにこそこの本を読んでほしい」というメッセージを込めているといいます。

書籍「手紙屋」がきっかけで入社

小山さんは、中学から大学まで陸上部に所属。ずっと体育会系の人生を歩んできました。

2019年春に同社へ新卒入社。普段は関西地区の書店営業を担当しています。

-----入社の理由・経緯について教えていただけますでしょうか?

小山さん:きっかけは、中学の時の先生からいただいた書籍「手紙屋」です。

部活を引退したタイミングで、この先陸上を続けるかどうか迷っていた時期に、顧問の先生がこの本をくれたんです。

本のテーマは「就活」。主人公である就活に出遅れた平凡な大学生が、「働くとはなにか」「周りとのかかわり」といったことについて考え、成長していくというストーリーです。

当時は中学生だったのでピンとこなかったのですが、就活時にこの本を改めて読み直したところ、心に刺さるものがあり、中学時代にはなかった感動が。

体育会系の世界を卒業して、これから"違う頑張り"が求められているという状況の中で、「自分は何がしたいんだろう」と不安になり、道標となるようなものを探していた時だったんです。

この本は私に安心感を与えてくれて、道標的な存在にもなってくれました。

-----その「手紙屋」の出版元が、御社だったのですね?

小山さん:そうです。「私もこの本みたいに、人生の道標となるような本をもっと広めたい」と思ったことが入社を志した理由です。

『手紙屋~僕の就職活動を変えた10通の手紙~』(喜多川泰著)/提供:株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン

他部署の意見がきっかけで企画アイデアを練り直し

今回、毎年恒例のビジネス書フェアの企画担当となった小山さん。当初は、書店を"勉強するための空間"と捉え、「本屋は私の自習室」をコンセプトに企画を進めていたといいます。

-----このコンセプトが白紙になってしまったのはなぜですか?

小山さん:営業部のみで企画を進めていた例年と異なり、今回初めて部署横断の企画だったんですが、このコンセプトについて他部署の方から「ターゲットを想像しきれていなのではないか」「伝えたいメッセージが不明瞭」などの意見をもらったことがきっかけで、企画をいちから練り直すことになりました。

外まわり中に電話でこの報告を受けた時は、さすがにかなりショックでした…。

-----そうですよね…その後どのように今のコンセプトに辿り着いたのですか?

小山さん:マーケティング部署の方が、部署を横断して関係者を集め、ブレインストーミングのためのツールを使ってオンラインで意見を出し合いました。

今の現状は?ビジネス書に対して読者は何を思っているのか?読者に、このフェアを通してどうなってほしいのか?フェアのイメージカラーは?このような細かい問いに対して、全員でブレストを実施。

その結果、「メインターゲットは、ビジネス書を読む人が相対的に少ないであろう地方の書店に訪れる読者」ということになり、それにあわせてポップなイメージの販促物も制作していきました。

-----今回の企画を通して一番学びになったことは何ですか?

小山さん:全員を招集しブレストの進行役をしてくれた他部署の社員にかなり刺激を受けました。

ターゲット設定からのコンセプトづくりなどを得意としている人で、キャッチコピーのアイデアなどもプロ級なので、考え方や、人の心に刺さるような言葉選びなどは本当に学びになりました。

「企画を立てる段階で、届けたい人が誰なのかということをしっかり考えなければ」という気づきを得ることができたことも、大きかったなと思います。

部署横断のブレストがとても刺激的で学びが多かったという小山さん。当初のアイデアがすんなり通り、問題なく実現できていたら、今回の新しい発見や学びは得られなかったかもしれません。

苦戦したリモート営業

-----普段は書店営業をされているそうですが、営業において大切にしていることは何ですか?

小山さん:営業というのは、最終的には人と人の関係。その人はどんな人なのか?何に興味があるのか?と、相手にまず興味を持つことを大切にしています。

その方が、自然な会話のなかで商談ができますし、信頼関係も構築できると思っています。

-----そのような考え方に至った経緯やきっかけがありましたら教えてください。

小山さん:コロナの影響で、完全リモート営業になってしまったことが大きなきっかけです。

ちょうど担当地域が変更になった時期と重なってしまい、初めて営業する書店様にも、対面ではなく電話でアプローチせざるを得なくなってしまいました。

「きっと、電話を受けている書店様には、"なんで知らない人からこんな提案されなきゃいけないんだ"と思われているんだろうな…」そんな風に思うことが多くて。

対面営業できるようになったら、営業先の方に興味を持って、もっといろんなことをお話したい!と思うようになりました。

取材の様子(オンライン)

営業職の小山さんにとって、担当地域の変更と完全リモート化はダブルパンチ。しかし、これこそが、営業として大切なことに気付けたきっかけだったのです。

困難こそが道標

小山さんは、3月からチームリーダーとして新しい業務に挑戦中。「今までの猪突猛進型ではなく、これからは上から俯瞰して状況を見ることも意識していきたい」と意気込みも語ってくれました。

当初のコンセプトが白紙に戻り、いちから練り直さなければならなかったこと。

コロナ禍によるリモート化が担当地域の変更と重なってしまったこと。

どちらも小山さんにとって、「苦戦したこと」であり、乗り越えなければならなかった壁でもありますが、だからこそ大切な学びを得ることができたといいます。

中学時代にもらった書籍「手紙屋」が彼女の人生における道標になったのと同じように、「難しい」「うまくいかない」「もどかしい」という経験こそが、キャリアを積み重ねていくうえでの道標を提示してくれることもあるのではないでしょうか。

出典元:株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン
出典元:PR TIMES STORY/ビジネス書を人生のバイブルに。私たちがフェアに込めた想い。

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