HOMECareer Runners 挫折は成功体験で上書き!日本酒口コミアプリ「Sakeai」23歳学生起業家に学ぶ、失敗の乗り越え方

挫折は成功体験で上書き!日本酒口コミアプリ「Sakeai」23歳学生起業家に学ぶ、失敗の乗り越え方

長澤まき

2021/03/06(最終更新日:2021/03/06)


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株式会社サケアイ/代表取締役社長 新山大地さん

これからのキャリアを考えるにあたって、起業や新しいビジネスに挑戦したいとは思っているけれど、「具体的なテーマを見つけられない」「始めたとして、モチベーションを維持できるか不安」「失敗するのが怖い」と、一歩踏み出せないでいる人は多いのではないでしょうか。

現役大学院生の新山大地さん(23歳)は、株式会社サケアイの代表取締役社長として、日本酒口コミアプリ「Sakeai(サケアイ)」を運営。複数の酒造会社と提携して事業を展開しており、昨年12月にはサービスの成長を加速させるべくシードラウンドでの資金調達を実施しました。

どのようにして「日本酒」というビジネスのテーマを見つけたのか。また、積極的な事業展開の裏には、どのような考え方や行動があるのか。新山さんに話を聞きました。

日本酒口コミアプリ「Sakeai」

Sakeaiは、飲んだ日本酒を記録すると、AIがその記録をもとにユーザーに合う日本酒を提案してくれるアプリ。保有するデータ量は2万2000銘柄以上と、業界最大規模を誇っています。

今年2月からは新たに、日本酒を選ぶ際の「味わいが想像できず、選びにくい」という悩みを解決すべく、唎酒師の公式ユーザーを追加。日本酒のプロである唎酒師のテイスティングコメントや感想を見て、気になった日本酒はすぐにオンラインストアで購入することができます。

進学先の新潟で日本酒にはまり、起業

株式会社サケアイ 代表取締役社長の新山大地さんは1997年11月生まれの23歳。長岡技術科学大学大学院に在学する現役の大学院生です。

2020年2月に起業し、同じ大学の大学院生で役員を務める2人のメンバーとともに、「世界の人々がお酒を愛し、お酒を最大限楽しめる世の中をつくる」ことを目指し、世の中に日本酒の素晴らしさを届けるための事業を展開しています。

-----「日本酒を最大限楽しめる世界をつくりたい」と考えるようになった経緯を教えてください。

新山さん:自分は、大学への編入を機に、新潟県長岡市に引っ越してきました。

新潟県は日本酒が有名です。引っ越し後、市が主催するピッチイベントに参加して事業アイデアを考える中で、自分が新潟で日本酒にはまったことから、「日本酒で何か事業ができないか」と考えるようになり、日本酒に関するサービスを調べてみました。

すると、既存サービスの不足点や改善点、なかなかIT化が進んでいない日本酒業界の現状などが見えてきて、「これはお酒を造る蔵元にも、お酒を売る小売店にも、お酒を飲む消費者にとっていい状態ではない」と考え、日本酒にフォーカスすることを決めました。

IT化により、蔵元・酒販店・消費者のより良い関係を作り、日本酒業界を最大限盛り上げたい、日本酒を最大限楽しめるようにしたいと考えています。

多くのアイデアから一番やりたいことを選択

新山さんは現在、大学院でSakeaiにも使用しているレコメンドシステム(ユーザーの好みを記録して、その人にとって高評価なものを勧めるシステム)の開発研究を進めつつ、事業を展開しているそうです。

-----もともと起業したいと考えていたのですか?

新山さん:はい。「自分でお金を生み出せるようなことをしたい」と考え、高専4年生の後半頃から、個人事業主としてメディアを運営していました。

それが結果に繋がって面白くなってきたこともあり、大学進学にあたって、もっと大規模な事業に挑戦したいと思うようになり、起業を考えるようになりました。

-----起業を志してから、実際に起業するまでの道のりを教えてください。

新山さん:長岡市等が運営するピッチイベントに何度も参加し、ビジネスアイデアを考えることを繰り返しました。

また、大学の先輩と一緒に、長岡市の学生を集めた学生団体をつくり、ピッチイベントなどに参加。さまざまな事業アイデアを考えた中から、自分が一番やりたいと思った日本酒に関する事業を手がけることに決めました。

そうして、2019年10月頃から開発をスタートし、並行して、酒造会社や酒販店への営業にも着手。当初は開発できるメンバーがいなかったので、自分でいちからアプリ開発をはじめ、リリースに先駆けて会社を設立しました。

市主催の起業プログラムを活用

-----起業に向けての知識やノウハウは、どのように学びましたか?

新山さん:市主催の起業プログラムに参加して、ビジネスプランのブラッシュアップや、ニーズの解決方法を形にする方法などを学びました。

-----役員を務めるメンバーの方は、どのようにして仲間になったのですか?

新山さん:ビジネスプランを考えるピッチイベントに参加した時に、開発できる人や営業が得意そうな人に「日本酒でビジネスを展開したい」ということを切り出し、声をかけました。

彼らはもともとピッチイベントに参加するようなモチベーションの高い人達だったのですが、そんな彼らに日本酒を好きになってもらうために、実際に日本酒を持って行って飲んでもらうなどの工夫しました。

株式会社サケアイ 役員

成功体験が、失敗や辛さを忘れさせてくれた

-----業務を拡大するにあたって、酒造会社などの提携先との関係をどのように築いていきましたか?

新山さん:とにかく酒造会社や酒販店の人に会いに行きました。

リリース前から、酒造会社にメールや電話でアポを取って、自分たちが展開するサービスに対する彼らの考え方などをヒアリングしました。

酒販店は、新潟県内だけで100~200店舗はまわったと思います。県内の酒造会社には、自分たちが足を運べる範囲で訪問しました。

-----その行動力の源を教えてください。

新山さん:自分が決めたビジョン・ゴールに向けて、その行動が必要だと思ったことです。

アポを断られたときや門前払いされた時などは少し落ち込むこともありましたが、「次に行くしかない」と考えて活動を続けていると、アポに良い反応を返してくれたり、自分の意見に同意してくれたりする相手にも出会うことができました。

そういった成功体験を味わうことで、それ以前の失敗や挫折、厳しい対応をされた辛い気持ちを忘れ、気持ちを切り替えて行動することができました。

提供:株式会社サケアイ/提携済み蔵元

ユーザー目線をとことん追求

-----Sakeaiを展開する上で一番こだわっている点は?また、それをどのように実現させていますか?

新山さん:とにかくユーザー目線に立って、「どうやったらユーザーが使いやすくなるか」「楽しいと思ってもらえるか」に重点を置いて開発しています。

そのために行ったのは、ユーザーログの分析やユーザーへのアンケート、気になるユーザーへのインタビューなどを繰り返すことでした。

どのようなユーザーがどのような課題を抱えているのかを把握し、どうやったら自分たちがその課題を最適に解決できるのかを模索し続けています。

提供:株式会社サケアイ

働くとは、人のためになること

-----新山さんにとって「働く」とは?仕事・働くことへの向き合い方を教えてください。

新山さん:「人のためになること」「人の役にたてることをすること」です。

現在は、日本酒ユーザーにフォーカスしたサービスを運営しているので、ユーザーのためになることを日々実行することを重ね、かつ自分たちが設定したビジョンやミッションに向かって事業を展開しています。

-----これから、どのようなことに挑戦したいと考えていますか?

新山さん:1つ目は、Sakeaiのプラットフォーム上で、ユーザーが欲しい時にいつでもお酒を購入できるようにすることです。業界最大規模の日本酒のデーターベースを保有しているSakeaiの中で、ユーザーが欲しい時にいつでも欲しい日本酒を手に入れることができるような状態をつくりたいと思っています。

2つ目は、越境ECとして、日本でしか手に入らないお酒を海外で販売すること。3つ目は、日本酒以外の酒類への展開です。

現在の活動がたとえ失敗したとしても、次に繋がると信じて行動しています。

自分を信じて行動し続けることが大切

-----理想とする社会を自分の手でつくっていくためには、どのようなことが大切だと思いますか?同世代の若者に向けてメッセージをお願いします。

新山さん:自分が最初に設定したビジョンやミッションを信じぬくこと。

行動すると、周囲からいろいろな意見や反響があるので、自分の道を突き進み続けることはなかなか難しいとは思うのですが、自分の決めた道を最後まで自分自身が信じぬいて行動を続ける。

事業を展開する上で方向転換をすることもあるかと思いますが、その時は、自分が決めたその新しい道を信じぬくことが大切だと思います。

-----自分を信じぬくための工夫やコツはありますか?

新山さん:“自分がなぜそのミッションを目指しているのか”を、一度考え直してみるといいのではないかと思います。

自分が決めたミッションには、必ず何かしらの自分の想いや、成功を目指すための裏付けが潜んでいるはずです。

提供:株式会社サケアイ/代表取締役社長 新山大地さん

数多くのビジネスアイデアの中から、自分が一番「やりたい!」と思える事業にフォーカスし、事業を展開している新山さん。

辛い思いをしても立ち止まらず、行動し続けることで出会う成功体験を糧に気持ちを切り替え、また進む。迷った時は、自分が最初に決めたミッションを思い出す、という仕事への向き合い方は、さまざまな業界で働くビジネスパーソンの参考になりそうです。

出典元:Sakeai

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