周りを見渡せばいろいろな「社会課題」や「見過ごせない問題」が転がっている世の中、コロナ禍に入ってその数や深刻さは増しているのではないでしょうか。
決して他人事とは思えない問題であるにもかかわらず、「自分ひとりが動いたってどうにもならない」「悔しいけれど、残念だけれど、自分にはどうすこともできない」と、その問題から目を逸らしてしまうことは簡単です。
自分ひとりではどうにもならないのであれば、誰かと手を組んでみては?
自分にはどうすることもできないと思うなら、どうにかできそうなことから始めてみては?
そんな風に思わせてくれそうな、前向きで行動力あふれる学生を見つけました。
合同会社ETHOSが運営する国内英語留学「U-GAKU(ユウガク)」は2月より、コロナ禍の影響で海外留学の機会を失った学生の支援を目的に、クラウドファンディングGoodMorningにて支援募集を行っています。
独自の異国感の強い文化形成が行われてきた北海道・ニセコの地で、一人でも多くの学生に国内留学の機会を提供することがこのプロジェクトの目的。
そしてこのプロジェクトの発起には、大学生である髙橋航大さん(21)と高橋結奈さん(25)がかかわっているのです。
「留学に行けなくなってしまった」という現状を受け入れ、見逃さず、その解決のために行動を起こしている2人を取材しました。
北海道・ニセコで国内留学体験を
「U-GAKU」は、1月にローンチしたばかりの国内留学サービス。
「安心・安全・低価格」をコンセプトに、人口の10%を外国人が占めているというニセコの地で、外国に留学しているのと同様の環境を学生に提供しています。
また、治安やビザなどといった海外留学には付き物である問題も同時に解決することで、コロナ禍における"妥協の産物"ではなく、「より多くの日本の未来を担う学生の挑戦を支援できる」プログラムとして、既に全国各地から学生を受け入れているそうです。
「留学機会を失ってしまった人にニセコでの留学体験を提供したい」との想いから、今回のクラウドファンディングは誕生しました。
2人とも異なる経由で「U-GAKU」創業者に出会う
髙橋航大さんは、慶應大学の4年生(現在休学中)。ミスター慶応として全国大会へ出場、2位を獲得。この経験で得た人脈や機会を活かし様々な学生支援活動を実施しているという、聡明でパワフルな学生です。
自身もシアトル留学を予定していたところ、新型コロナの影響で止む無く断念したという経験があり、何らかのかたちで留学体験を得ることができないかと模索していたところ、SNSを通じて同社代表の野口和輝さんと出会いました。
髙橋航大さん:自分が留学を断念せざるを得なかったことで、代替手段を考えてみたり、他にも同じような(留学機会を失った)仲間と情報交換をしたりと、「なにか打つ手はないか」と必死に動いていました。
その中で、「学生の力だけでは足りない」と実感し、企業に協力をお願いしようと思い立ったんです。
そこで野口さんと出会ったことで「これはチャンスだ」と思い、一緒に手段を検討させていただくようになりました。
高橋結奈さんは、北海道大学の5年生。友人のひとりが新型コロナの影響で留学機会を失ってしまったことで、航大さんと同じ問題意識を持つようになったという、まさに「身近な人に降りかかった問題」がきっかけで立ち上がったという心優しく力強い女性です。
「U-GAKU」創業メンバーと繋がりがあったことからニセコの現地調査に赴いたことがきっかけで、野口さんと出会うことになりました。
高橋結奈さん:現地調査など事業のサポートを行うにつれて、留学機会逸失による問題の大きさを痛感するようになり、自分にも何かできないかと考えるようになりました。
-----お二人とも異なる経由で野口さんとお知り合いになられたのですね。そこからどのようにしてプロジェクト発起に繋がっていったのですか?
髙橋航大さん:留学の断念を余儀なくされて悔しい想いをしている学生やその関係者など、言葉にしていなくても、同じような想いを抱えている人はたくさんいると思っていました。
「共感してくれる人を巻き込む」方法として、今流行りのクラウドファンディングというかたちが一番しっくりくるのでは、という結論になり、今に至っています。
"行動"が成果を生み出すことで自信に
「留学機会の逸失」を「悔しい・仕方がない」で終わらせず、人々の"共感"を力にかえようとプロジェクトを発起した2人。その確かな行動力には、過去の原体験が影響しているといいます。
-----行動を起こすことができるようになったきっかけなどがありましたら、教えていただけますでしょうか。
高橋結奈さん:私はもともとは、行動力のある性格ではありませんでした。
でも大学1~2年の頃、「不安な気持ち」を抱えながらも新しいことに挑戦してみたことがあるんです。
すると、「不安な気持ちがあっても、やってみたら意外といけるじゃん!」と気づいたんです。「踏み出してみれば怖くない」ということが一度分かると、次も行動を起こせるようになりました。
また、人に「こういうことをしてみたい」と伝えるように意識すると、自然とその気持ちに共感してくれる人や仲間が現れるということにも気が付いて。行動につなげるために、そのような出会いも大切にするようにしています。
髙橋航大さん:私はもともと「行動しなきゃわからないでしょ」というタイプではあるのですが、もしかしたら中学生の時の体験が影響しているかもしれません。
中学1~2年の頃、僕は成績が良い方ではなくて、バスケ部のキャプテンとして部活に勤しんでいたんですよね。そしたらある時、ある先生から、「髙橋は部活をかんばっているのに、勉強をやっていないのはもったいないな」と言われたんです。
この時の「もったいない」という言葉がすごく引っかかって、「よし、勉強もやってみるか」とやってみたらテストの点数が上がり、成績も向上。「アクションをしたら成果になる」「それに見合った仲間も集まってきてくれる」当時、そんな風に思えたことが、今の僕のベースになっているのかもしれません。
今回の経験をキャリアにも活かしたい
一度行動を起こせば成果が出る…そんな体験を積み重ねてきた2人だからこそ、今回プロジェクトをスピーディーに立ち上げることができたのではないでしょうか。
-----まだプロジェクトは"絶賛開催中"という状態ではありますが、今回の経験を次の行動にどう活かしていきたいと思われますか?
高橋結奈さん:私は医療系の大学に通っているので、将来病院で働くことが唯一の選択肢だと思っていたのですが、今回の経験がきっかけで、「病院だけが選択肢ではないのでは」と思うようになりました。
もちろん、今勉強していることを活かして病院で働くことは目標の一つですが、それだけに囚われないキャリアの広げ方も模索しているところです。
例えば、自分が楽しいと思える分野にどんどん挑戦しているパラレルワーカーの知り合いがいるのですが、そんな風に、自分の世界に縛られることなく、いろんなところにアンテナを張ってチャレンジできる人材を目指しています。
髙橋航大さん:私は「誰もが輝ける社会にしたい」という自分のミッションを掲げています。
世の中には、色々な壁があって「踏み出せない人」もいると思うのですが、そういう人でも、どんな人でも輝けるような社会をつくっていくために、今後は自分自身がスキルを身に着けて何か発信できるような存在になれるよう行動を起こしていきたいと思っています。
ひとつひとつのきっかけや出会いを大切に
-----「問題意識はあっても具体的行動に移せない」というような同世代に向けて、メッセージがありましたらお願い致します。
高橋結奈さん:その想いを誰かに話してみることや、「やってみよう!」というノリや勢いもある程度は必要なのではないかと思います。
一度何かやってみると、周りからの反応があって、楽しくなる…というような循環も生まれるのではないでしょうか。
髙橋航大さん:私は「偶発性」という言葉をけっこう大事にしています。
人生どのタイミングで何が起こるか分からない、誰といつ出会うかも分からない。
なので、やりたいことが見つからない人やどうすれば良いか分からない人などは、無理に探すのではなく、ひとつひとつのきっかけや出会いを大切にしていくことが、結果的に行動へと繋がっていくのではないでしょうか。
今回のプロジェクトは、多くの人の「共感」を糧に日々成長しているわけですが、プロジェクトと一緒に2人も着実に成長していることが伺える取材でした。
「#留学を止めるな」クラウドファンディングは2月27日(土)まで実施中。
同世代が立ち上がって何かアクションを起こしている姿は刺激的だと感じる人も多いのではないでしょうか。ひとつひとつの出会いやチャンスを大切にしていれば、あなたも「自信につながる行動」を起こすことができるかもしれません。
出典元:合同会社ETHOS
出典元:国内英語留学「U-GAKU」
出典元:GoodMorning/
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