入社まもなく担当するプロジェクトや大きな仕事。やりがいや嬉しさは感じつつも、「上手くいくか心配」「プレッシャーに押しつぶされそう」と不安になってしまう人も多いのではないだろうか。
株式会社コウダプロ若手社員の原口水月さんと中田郷さんは昨年11月、頑張っている自治体を応援する自治体ランキングサイト「自治体四季報」を立ち上げた。
全国1741自治体の経営力をスコア化するというかつてないプロジェクトに、社会人になってまだ日も浅い2人はどのように向き合ったのか。原口さんと中田さんに取材した。
自治体の経営力をスコア化「自治体四季報」
自治体四季報は、全国1741自治体の「住民の持続可能な幸福を実現する力(=自治体の経営力)」を5個の指標をもとにスコア化した自治体ランキングサイト。
近年、ふるさと納税が高額の返礼品競争になっている状況に違和感を覚え、健全・堅実に運営している自治体が注目され、応援されるような仕組みをつくりたいと考え、自治体の運営を客観的に見える化すべく誕生した。
自治体の運営という一義的には捉えどころのないものを、民間企業を評価する時に用いる経営指標のごとく、客観的に見える化。これまでは自治体の決算書を見て、1つひとつ分析しなければ知ることができなかった情報が、同サイトに集約されている。
入社1・2年目でプロジェクトを担当
同サイトを立ち上げたのは、2020年4月入社の中田郷さんと、2019年4月入社の原口水月さん。共に1996年生まれの24歳。立ち上げにあたって、主に中田さんはサービス開発を、原口さんは広報を担当したという。
中田さんは大学在学時に非営利法人団体に所属し、イベント企画・実施やITウェブサイトの導入などを担当。就活中は入社したいと思える会社になかなか出会えず、一時は自営業として働くことも考えていたが、同社の社長の考えに共感し入社を決めた。
原口さんは大学在学時にITスタートアップでのインターン、化粧品開発プロジェクト、創業体験プログラム等を経験。大学のゼミの教授の紹介で同社と出会い、同社の考え方やビジョンが詰まった「コウダプロ憲法」に深く共感し、2019年4月に新卒第1号として入社した。
-----原口さんは新卒第1号とのことですが、入社前後はプレッシャーや不安などがあったのではないでしょうか。それをどのように乗り越えましたか?
原口さん:緊張はしました。
ただ、私はもともと、会社の考えが詰まった「コウダプロ憲法」に深く共感し、その考えを体現できる魅力的な人間になりたいという想いを持って同社に入社しました。ですので、会社の考えを信じ、自分の当初の想いを指針として目標を定めることで頑張ることができました。
そうして頑張っていく中で、周りの先輩方から優しくも厳しいサポートを受けることができたのも仕事を頑張れた要因の1つです。分からないことがあった時は、先輩にガンガン聞いて、その都度モヤモヤを解消しました。
また、「選んだ道を正解にする」という覚悟を持って、仕事に取り組んだという。
原口さん:正直、同期がいる環境で働いている大学の同級生を羨ましく思うこともありました。
しかし、「この会社に行くと決めたのは自分なので、後悔はしたくない」「この道を選んだからには、最大限楽しめるように努力することが自分の責任だ」と考えて仕事に向き合いました。
一つ一つを形に、コツコツと取り組んだ
同プロジェクトは、数年前から幸田社長の頭の中にあった「自治体の頑張りランキングを作って、頑張っている自治体を応援したい」というコンセプトが形になったものだという。
まずは中田さんが1人でプロジェクトを開始し、その後原口さんが参加。およそ半年かけて正式リリースした。
-----自治体四季報プロジェクトを担当することになった経緯を教えてください。
中田さん:ITに明るいこともあり、以前から幸田の頭の中にあった自治体四季報のコンセプトと共に「これやってみる?」と言われ、入社から1カ月経った頃に1人で任されました。
-----入社間もなくプロジェクトを担当することに対して、どのようにして気持ちを奮い立たせましたか?
中田さん:正直、最初はプライドでプロジェクトを進めました。
自治体四季報の中で何を伝えるのかだけは大体わかっていましたが、どう伝えるのか、どうすれば伝わるのか、何から何まで自分で考えなければいけない上に、1人でやるということに対して大きなプレッシャーを感じました。
しかし、自分は“コツコツやる気力”と“苦しい時に心を無にする”という力を昔から意識的に伸ばしていたので、気持ちを奮い立たせるのではなく、一つ一つ形にすることを大事にしながら、コツコツ作成していきました。
最大限やりきる・雑に仕事をしない
-----プロジェクトを進めるにあたって大変だったことは?また、それをどう乗り越えましたか?
原口さん:当初は自治体・行政といったものに対してそこまで興味を持っておらず、自治体や行政のことがまるで分からなかった点です。しかし、いろいろと調べていくうちに面白さを感じることができるようになりました。
また、他の仕事と平行して進めていたので、いろいろなことがあっても焦らないように心がけていました。
無理やり仕事を終わらせようとしても、それではいい成果にはつながりません。「自分の中で最大限やりきったと思えるまで取り組む」「雑に仕事をしない」ことを心がけ、どうすればもっと早く・上手く仕事をこなすことができるか、頭の中で考えながら仕事に取り組みました。
中田さん:そもそも無茶ぶりだったので、全てが大変でした。
データの収集から整合、さらにデータをまとめるという1人では到底不可能と思えることを、気力と根性で乗り越えました。
他に担当している仕事との兼ね合いとしては、朝起きた時にその日の仕事のスケジューリング・割り振りを頭の中で考え、頭の中に予定表を作ってから、実際の業務に取り組みました。
1人で完結せずに考えを共有
プロジェクトを進めるにあたっては、データ収集など一部の業務を、他の社内メンバーに手伝ってもらうこともあったという。
-----他のメンバーや先輩社員とコミュニケーションをとって仕事を進めるにあたって、工夫したこと・気を付けたことはありますか?
原口さん:同プロジェクトの出発点となった幸田の想い・コンセプトを理解することです。分からないことは何度でも徹底して聞くようにしました。
また、衝突を避けないことも意識し、メンバー間で意見が対立した際には、サービスをより良くしたいという想いのもと、徹底的に話し合いました。
中田さん:自分がやっていること・向かっている方向が正しいのかの確認作業をするように心がけました。
1人でも間違った動きをすると、納期までに間に合わなくなります。そこで、「これはこうですよね」「今日はこれをしようと思っているのですが、大丈夫ですか?」といった確認作業をしっかりと行い、曖昧さを排除することで、無駄な時間をつくらず、チーム全体の効率を下げないように意識しました。
自分のクセに向き合って行動を改善
-----入社してからこれまで、成長に向けてさまざまな工夫・努力をされたかと思いますが、特に「やってよかった」「成果につながった」と思うことは何ですか?
原口さん:自分のクセに向き合うことです。
私はもともと、少し上手くいくと舞い上がって調子に乗ったり、自分と違う考えに反発してしまったりするクセがあり、入社後にそれを指摘されることもありました。
そのクセから逃げるのではなく、成長のためにそのクセと徹底的に向き合い、行動を改善するよう心がけました。
中田さん:我慢する心・耐える心で仕事に取り組むことです。
膨大なデータ量をこなすために、心を無にして、ストレスをストレスだと感じない状態に自分を持っていき、集中して淡々と仕事を進めました。
できることから始め、パズルのように繋げる
-----最後に、同世代の若手ビジネスパーソンに向けて、「仕事への向き合い方」や「キャリアづくりへの考え方」などについて、一言お願いします。
原口さん:毎日とても楽しく働いています。会社の考えやビジョンが自分とマッチしているので、結果的に仕事を楽しめているのだと思います。
中田さん:できないと思うことでも、まずは行動してみることが大事だと思います。
夢だけ見て行動しないで終わるのはもったいない。行動するにあたって不安や怖さがある場合でも、できることから1つずつ取り組んで、それをパズルみたいに繋げていくことで、意外となんとかなるのではないでしょうか。
「無理なことは無理になったら考えればいい」と思うくらいの行動力を持って日々生きていけば楽しいのではないかと思います。
リリース後、自治体四季報には、実際の自治体から広報誌や公式SNSへの掲載依頼があったり、自治体から「頑張ります」というコメントが届くなど、広がりをみせつつあるそうだ。
今後も、自治体の経営力をより正確に見える化するための良い方法を模索し、同サービスが世の中にとって価値のあるものになるように、5年~10年の長いスパンで、同サイトをより良いものに育てていくという。
入社まもなく任された大きなプロジェクトにもくじけず、前向きに挑む2人の姿は、同じようにこれからさまざまな仕事に挑戦していく若手ビジネスパーソンに勇気を与えてくれる。
出典元:自治体四季報
出典元:コウダプロ
出典元:PR TIMES STORY/選挙にも行ったことのない!?社会人1年生が、ふるさと納税を体験してみた。【自治体四季報の裏側】
【関連記事】
「キャリアは計画ではなく意志」21歳起業家がコロナ禍の“新しい物産展"を開催!ビジョンを実現させた道筋とは
漠然としたビジョンを抱えているが、それをどのように実現すればいいのか、また自分に実現できるのか分からず、一歩踏み出せないでいる人は多いのではないだろうか。 山口功士良さん(21歳)が代表を...
平均20.4歳のベンチャーが「消費の在り方」を変える!KASASAGI代表に学ぶ、心を動かす“巻き込み力”
一人では難しいことでも、チームで取り組むことによって実現できたり、より良い成果が生まれたりすることが多々ある。しかし、同じ目標に向かって協力できる仲間を、どうすれば得ることができるのだろうか。 ...
“100均物件”が大反響!空き家ゲートウェイプロデューサーが若者に教える「キャッチャーな企画」の生み出し方
数えきれないほど多くの商品とサービスが溢れる現代。イノベーションを生み出していくためには、これまでになかった新しい価値観や切り口を生み出す発想力・企画力が必要となるのではないだろうか。 株...
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう