「若手が活躍できる環境で働きたい」「早い段階から責任のある仕事がしたい」と、意欲の溢れる就活生や新社会人も多いだろう。では、若手でありながら重責を担うと、具体的にどのような困難があるのだろうか。そして壁に直面した時には、どのように乗り越えていけばよいのだろうか。
株式会社メンバーズは1月、デジタルスキルや社会課題解決スキルを磨くことができる、学生向けの無料オンラインラーニングコミュニティ「Practica(プラクティカ)」のリリースを発表した。
2月上旬時点の登録者は約100人だといい、既に注目を集めているこのコミュニティ。
プロジェクト全体のマネジメントを担っているのは、同社のピープル&カルチャー室 ラーニングエクスペリエンスグループに所属する新卒2年目・小林あづささん(24)だ。
経験が圧倒的に少ない若手がマネジメントを担う時、どのような壁があるのか。また、マネジメントを目指す若手は、日ごろからどのようなことを意識すべきなのだろか。小林さんを取材した。
社会課題解決のためのスキルや経験を学ぶ
「Practica」は、学生向けの無料オンラインラーニングコミュニティ。
学生であれば誰でも参加ができ、参加者にはデジタルスキルを学べるスキルアップ講座、社会課題解決のためのプロトタイプを作成するアイデアワークショップ、そして実績のあるクリエイターとの交流機会も提供している。
講座を受講し、アイデアを形にし、先輩クリエイターから助言がもらえるという一連の流れの中で、参加者は社会課題解決のためのスキルや経験を得ることができるというものだ。
同社は「2030年までに社会課題解決を実行できるクリエイティブ人材(ソーシャルクリエイター)を10万人育成・輩出すること」を目指しており、同コミュニティはその目標のなかにおいて非常に重要な位置づけにあるという。
どんな環境にいる学生にもチャンスを
同コミュニティの全体マネジメントを担う小林さんは、現在入社2年目の若手社員。
2019年に同社へ新卒入社し、メーカー企業のSNS運用などといったクライアントワークの業務を経て、2020年春頃に現在のピープル&カルチャー室に配属された。Practicaには企画段階から携わっているという。
-----Practicaについて、類似コミュニティや類似サービスとの差別化はどのようにして図られているのですか?
小林さん:Practicaの考えとして、「誰一人取り残さない」というものがあります。
家庭の状況や周囲の環境に関係なく、どんな学生にもチャンスや選択肢が与えられるべき。
学生が「社会課題の解決に取り組みたい」「クリエイティブに触れたい」と思ったとき、経済的や地理的な問題が障壁なのであれば、それは取り除きたい。
このようなコンセプトが、都心に集中しているスクールや有料サービスなどとの差別化を実現していると考えています。
-----まだリリースから間もない状況ではありますが、どのような学生が何人程参加されているのですか?
小林さん:大学3~4年生が多い印象ですが、中には専門学校生や高専生、高校生などの学生もいらっしゃるので、参加者の学んでいることや学年はバラバラです。まだスタートしたばかりなので現時点で参加人数は100人ほどですが、今後は2025年までに1万人を目標にグロースさせていく予定です!
既に大学などの教育機関から、「連携したい」などの要望も受けているという。
上司の「とにかく地雷を踏め」という言葉
2年目でありながら新規事業のマネジメントを担うにあたり、具体的にどのような壁や困難があるのだろうか。
-----仕事をしていくなかで、どのような困難や悩みなどがありますか?
小林さん:まず、ビジネスや新規事業といった観点で、圧倒的に経験値が低く引き出しが少ないことです。
そのような状況のなかで、誰かからの指示で動くのではなく、自分で仕事をつくっていくことの難しさを痛感しています。
-----そのような困難を感じた時、周りからかけてもらった言葉などで印象に残っているものはありますか?
小林さん:自分がどのように動けば良いか分からなくて困っていた時、上司から「とにかく地雷を踏め」と言われたことですね。
新規事業は、試行の数だけ評価される。どんどん失敗して学ぶべきなので、失敗を恐れていないでどんどん挑戦していかなければ自分たちの色は出せないのだと。
その言葉には、上司の「地雷を踏んでも(=失敗しても)サポートするよ」といった気持ちも込められており、それ以来自分の気持ちをうまく切り替えられるようになりました。
とにかく「自分が納得したことをやる」
心強い上司の言葉を支えに、日々奮闘中の小林さん。プロジェクトマネージャーの面白さや奥深さにも気が付いたといい、前向きに前進している姿が印象的だ。
-----仕事をするうえで大切にしていることは何ですか?
小林さん:とにかく「自分が納得したことをやる」「少しでも違和感を感じたらしっかりその気持ちを発言する」ということを大切にしています。
事なかれ主義であってはいけないと思っていて、「これを言ったら場の雰囲気を悪くするかな」「生意気だと思われるかな」と思って言いたいことを飲み込んでしまうと、自分にもチームにも、それからPractica参加者の皆さんにとっても良い結果にならないと考えています。
若手であっても、伝えたい想いはしっかり伝える。それが結果的に事業の成長にも繋がると、小林さんは考えているという。
-----早い段階でマネジメント業務を担ってみたいと思っている同世代へ、「こんなことをしておくと役に立つ」といったアドバイスなどがあればお願いします。
小林さん:私自身、今の任務に手を挙げたというわけではないので、目の前のチャンスを逃さず乗っかっていく、ということは大切だと思います。
また、日ごろから仕事に対してマネジメント意識を持つことや、自分が"言い出しっぺ"になって、率先して何かができる人なんだということを周りにアピールしておくことも必要なのではないでしょうか。
-----新人時代の自分にアドバイスするとしたら?
小林さん:これまでの実績や自分のことをまとめた、人に見せられるポートフォリオをつくっておきなさい、と言いたいですね。
自分がどういう人間なのかを周りにアピールできる材料は常に準備しておきたいと、今では思っています。
今後の目標を尋ねると、「まずはPracticaを走らせ続けることが使命だと思っているので、この経験を自分の血として肉として身に着けていきたい」と意気込みを語ってくれた。
どんなチャンスもモノにして失敗を恐れず果敢に取り組む彼女の姿は、「すべての学生にチャンスを」と謳うPracticaと重なる部分がある。
今後Practicaからも、社会問題に果敢に挑む若者がどんどん輩出されてくることだろう。
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