若手でありながらマネジメント業務を担っている人、あるいはそれを目標にしている人にとって、「判断力をどう磨くのか」「具体的にどんな努力をすれば良いのか」といったことは大きな課題ではないだろうか。
「毎日目を光らせ、常に思考し続けています」と、柔らかな笑顔で話してくれたのは、アディッシュ株式会社のサービスデザイン本部に所属する岩佐晃輔さん(入社4年目)だ。彼は、誹謗中傷を防ぐためSNSなどへ投稿する前に内容再考を促すAI検知サービス「matte」のプロダクトマネジャーを務めている。
若手でありながら、プロダクトマネジャーとして「判断」をしていかなければならない立場。その力を磨くために、彼は具体的にどのような努力をしているのだろうか。岩佐さんを取材した。
投稿前に内容再考を促すAI検知サービス「matte」
同社が2020年9月に提供を開始した「matte」は、SNSなどへ投稿する前に内容再考を促すAI検知サービス。
不適切だと思われる投稿がされる前に、高性能AIモデルがタグ付けし、ユーザーにポップアップで投稿内容の見直しを促す。
同社は、SNSなどでの誹謗中傷問題が多く取り上げられるようになった昨今、そのような投稿をするユーザーのなかには「悪意はなかった」という人も一定数いるということに注目。「感情や勢いで誹謗中傷ともとれる投稿をしてしまう」ことを防ぐためにこのサービスを生み出したという。
自分から手を挙げプロダクトマネジャーに
岩佐さんは、2017年に元親会社である株式会社ガイアックスに新卒入社後、同社への出向を経て転籍。
営業や企画開発などの部署で経験を積み、入社4年目にして昨年「matte」のプロダクトマネジャーに着任した。
-----株式会社ガイアックスに入社した理由について教えていただけますでしょうか?
岩佐さん:大学院では、遺伝子レベルの研究・新薬の基礎研究などを行っており、「健康」や「人のパフォーマンス・可能性」といったキーワードに興味を持っていました。
そして、そのうち「人の健康には、ITの力も必要になってくるな」と思うようになりました。
岩佐さんは、人の健康には「身体的健康・精神的健康・社会的健康」の3つの側面があると考えており、そのうち「精神的」と「社会的」には、インターネットコミュニティなどの環境要因が深く関係していると分析しているそうだ。
このような背景でIT企業を探していたところ、シェアリングエコノミーやブロックチェーンを謳っているガイアックスに注目し、若いうちから裁量権を持たせてもらえるという環境にも魅力を感じ、入社を決めました。
その後、アディッシュに出向、転籍をしたという経緯です。
-----「matte」のプロダクトマネジャーには、どのような経緯で着任されたのですか?自ら手を挙げたのですか?
岩佐さん:はい、自分から手を挙げました。
着任前は、モニタリング事業の副部長と「matte」の担当を兼任していたのですが、兼任というかたちでは、なかなかサービスを広げていくことは難しいと感じ、昨年夏ごろに「matteのプロダクトマネジャー1本でやらせてください」と申し出たという経緯があります。
「最終的には君の判断に付いていくよ」
着任当時は、初のプロダクトマネジャーということで、不安がありつつもワクワクした気持ちも大きく、現在もその責任の重さを楽しんでいるという。
-----着任後、自分の力不足や経験不足を感じて悩むという場面はありましたか?
岩佐さん:そうですね、そもそもモニタリング事業という既存事業のマネジメントと、matteという新規事業のマネジメントには大きな違いがあるなと感じています。
新規事業では市場やニーズ等が曖昧な状況のなかで、"どちらが正しいか"を判断しなければならず、その判断を早く行うことや、確実性を見極めることが難しいですね。
-----そういった時、周りからかけてもらった言葉で印象に残っているものはありますか?
岩佐さん:不確実性の高い意思決定において、「AかB、どちらも良いかもしれないし、どちらも悪いかもしれない。これ以上情報を集めても分からない状況では、プロダクトマネジャーが最終的に判断した結果に、周りは付いていくよ」という言葉を、社内のメンバーからもらったことが印象に残っています。
この一言のおかげで、岩佐さんは「悩みすぎていたんだな」と気が付くことができ、前向きになれたそうだ。
何かベストなのかを思考し続ける
このように、プロダクトマネジャーの仕事には常に判断力が必要とされる。若手であってもそれは変わらない。
-----判断力を磨くため、どのような行動を意識していますか?
岩佐さん:最近はプロダクトマネジャーという役職に就く人が増えているので、プロダクトマネジャーおすすめの本や情報といったものが多く出回っています。
それらをキャッチアップするとともに、時間の許す限り海外事例などもチェックしています。
どのようなビジネスが世界では流行っているのか、毎日目を光らせているという岩佐さん。
「この分野においては、自分が一番考えている!」と思えるぐらい、何がベストなのかをいつも思考し続けています。
特に時代の流れが速い昨今、自身が取り残されないように、呼吸をするようにインプットし、それをどう自分の仕事に活かすことができるかを常に考えていたいという。そんな彼の決断だからこそ、周りはその結果に「付いていこう」と思うことができるのではないだろうか。
「泥水を飲め」「信頼貯金を貯めよう」
-----新人時代の自分にアドバイスできるとしたらどんな言葉をかけたいですか?
岩佐さん:まず、「泥水を飲め」という言葉ですね。
きれいに事業を作ろうとすると失敗する、泥臭いことをしないと解決できない問題があると、教わったことがあります。時にプライドが邪魔するようなことがあっても、決して泥水を飲むことを恐れるなと、当時の自分には言いたいです。
また、これも昔上司からもらった言葉なのですが、「信頼貯金をまずは貯めよう」ということです。
新人時代って、「こういうことがしたい」「あれもやりたい」と願望ばかりが前面に出てしまいますが、自身の信頼が得られないと周りは付いてきてくれないので、まずはここを意識して仕事をすべきということを伝えたいと思います。
今後は、就活時期から彼自身のなかにある「健康や人のパフォーマンスを追求する」というミッションの達成に向けて、泥臭くても前進していきたいと展望を語ってくれた。
携わっている仕事や分野について、「自分が一番考えている!」と思えるくらい熱量を込めることができれば、ちょっとした悩みや落ち込んだ心も、その情熱がうまくかき消してくれそうだ。
出典元:PR TIMES STORY/ネットを規制するのではなく心地のよい「居場所」に。誹謗中傷の課題に挑む新人プロダクトマネージャーの奮闘180日
出典元:株式会社アディッシュ
出典元:matte
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