意気込んで新入社員として働き始めたものの、「そもそも専門用語が分からなくて先輩や上司と対等に仕事の会話ができない」「知識不足を痛感している」という、新人ならではの悩みを抱えている人は多いだろう。
「これから勉強していけばいい」と分かっていながらも、そのような場面で気持ちが落ち込んでしまうのは、きっとあなただけではない。
スタートバーン株式会社の新入社員・白川太郎さん(24)は、わずか4カ月のインターンシップ経験を経て昨年6月に入社した。インターン期間中から社内での評価は高く、インターン生でありながら昇給も経験。現在は新規事業開発や営業等、幅広い業務を担い活躍中だ。
同社は、ブロックチェーン技術を活用したアートの流通・評価のためのインフラ事業等を手掛けるスタートアップ。そこに飛び込んだ文系の彼もまた、前述のような壁に直面したことがあるという。
知識不足や経験不足を一朝一夕でカバーすることはできないが、彼はどのようにして「力不足というマイナス意識」を乗り越えているのだろうか。白川さんを取材した。
積極的に学びにいく姿勢を忘れない
白川さんは、米ウィリアム・アンド・メアリー大学を2019年6月に卒業後、2020年2月より同社にてインターンを開始。その4カ月後の同年6月に正式入社した。
大学では哲学と国際関係学を二重専攻していたという「文系人材」の彼は、なぜブロックチェーン技術の活用事業を手掛ける同社を選んだのだろうか。
-----貴社でインターンを始めた経緯・きっかけについて教えていただけますでしょうか。
白川さん:ビザの関係でアメリカでの就職を断念した時、改めて自分のやりたいことを考えたのですが、その時浮かんだのが「どうすればテクノロジーが世の中に"良い"影響を与えることができるのか」といったことでした。
テクノロジーそのものではなく、それを活用して世の中を良い方向に変えていく仕組みづくりに興味を持った白川さんは、色々と調べていくなかで「ブロックチェーン技術」に注目。たまたま同社でインターン中の知人がいたことがきっかけで、同社でのインターン開始を決めたという。
-----インターンではどのような点が評価され、昇給や正式入社に至ったとご自身では分析されていますか?
白川さん:まずは、自分から学びにいく姿勢が常にあったことが評価してもらえたのではと考えています。
特にスタートアップでは、マネジメント層もプレイヤーの役割を担っていることが多いので、私たちが「指示待ち人間」だと仕事がまわらないんです。
まず調べて、自分なりのたたき台を作ってから、上に相談をする。上司にとっても、ゼロの状態と、たたき台がある状態とでは、チェックにかかる時間や労力がかなり違いますからね。
また、「うまくいかなかったことをしっかりと次に繋げる」「同じ失敗を繰り返さない」といったことも意識はしていました。
自分にできること、自分の立ち位置を知る
そんな彼も、今までに聞いたことのない専門用語が飛び交う社内で、「周囲と同じレベルで会話ができない」と落ち込むこともあるという。
-----そんな時に、「出会ってよかった言葉」や、「やってよかった考え方の転換」などがありましたら教えてください。
白川さん:上司からもらった言葉で印象に残っている「ビジネスは曖昧な領域で進んでいくものだから、いかに合理的に判断できるかが勝負なんだ」という言葉があります。
これを聞いたときに、「いかに合理的に考えるかということをゴールにするのであれば、専門知識のない私でもできるのではないか」と思ったんです。
大学では"根拠となる数字などを提示して証明していく"という勉強をしてきたため、この言葉は悩める彼にとって一筋の光だったようだ。
また、これも上司との会話の中で気づいたことなのですが、「知識や経験がない=こだわりがない」からこそ、アートやブロックチェーンのスペシャリスト等、いろんな立場の人の意見を中立的な立場でまとめることができる。
こだわりがないということがある意味強みでもあり、自分はそういった立ち位置で仕事に臨めばいいんだと思えたことも大きかったですね。
今の自分ができることは何なのか。自分が立つべき位置はどこなのか。そのような問いに対し、自分なりの回答を見いだせたことが、彼のモチベーション向上にも繋がっているのではないだろうか。
自分自身のことについて考える時間も持ちたい
-----入社されて約8カ月、今抱えている悩みや問題意識はありますか?
白川さん:インターンとして入社当初は「ひたすら頑張るぞ!」という意気込みだけがあったのですが、今では、「この会社で働いていることが具体的に何に繋がるのか」という、"ここで働くことの意味"について改めて考えるようになりました。
このことに関しては上司とも話をしているので、今年は仕事以外にも自分自身のことについてちゃんと考える時間を持ちたいなと思っています。
-----個人としての今後の目標というものも、現在模索中という状況なのでしょうか?
白川さん:もともと哲学や国際関係を学んでいた背景には、国際的に問題が山積みになる今、個人がどう社会に関わり、よくすることができるのかといったことに興味を持っているからなんです。
今、私たちはコロナ禍という難しい状況でも、こうやってリモート勤務ができるなど、とても恵まれた環境にいます。なので、「他の人のことを考える」「困っている人のために何かをする」という余力があるはずなんです。
しかし、結局はスマホを見ているだけ、自分のしたいことをしているだけだという状況に、罪悪感が生まれてしまうことが多くあるので、そういった自分の余力を少しでも世の中や他の人に向けていくことが、最終的には自分自身の幸福に繋がるのではないかと考えています。
このような自分自身の問題意識に改めて目を向けて、自分には何かできるのか、今ここで働いていることがどう繋がってくるのか、といったことを考える時間も取っていきたいと思います。
自分自身が突き進むべき道と、今向き合っている仕事の繋がりをしっかりと捉えようとしている白川さんの姿は、とても逞しい。
目の前にある仕事に集中して取り組むことはもちろん大切なことだが、一度立ち止まって「何のためにこの仕事をしているのか」「この仕事の先には何があるか」といったことを改めて考えてみると、今抱えている「力不足というマイナス意識」も小さな悩みに思えそうだ。
出典元:スタートバーン株式会社
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