HOMEインタビュー 2年で入居希望者500人突破!シェアハウス『ノマド家』創設者が、「フリーランスはチームで働く」と語る理由

2年で入居希望者500人突破!シェアハウス『ノマド家』創設者が、「フリーランスはチームで働く」と語る理由

白井恵里子

2021/01/21(最終更新日:2021/01/21)


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辻本拓磨さん(前列右側)/提供:株式会社フィジビリ

「組織の中で働くことが苦手なので、フリーランスを目指したい」と考えている人は意外と多いのではないだろうか。

しかし、果たしてフリーランスになれば1人だけで仕事ができるのだろうか。そして、そのやり方で最大限の成果を出すことはできるのだろうか。

オープン開始2年で入居希望者500人を突破したという大人気フリーランス向けシェアハウス「ノマド家」の創設者・辻本拓磨さん(26)は、「フリーランスはチームで働くべき」と明言している。

その言葉の真意とは?「チームの一員として働く」にあたり、大切にすべきことは何なのか?辻本さんを取材した。

フリーランスでありながらチームのように働く

「ノマド家」は、神奈川県・湘南に拠点を構えるフリーランス限定のシェアハウス。海岸まで徒歩5分のロケーションでありながら、東京へは電車1本で行くことができるという好立地に佇む。

住人は20代後半が多く、エンジニア・デザイナー・マーケター・ライター・動画編集者など、主にWeb系フリーランスが集結。仕事・人脈・ノウハウのシェアをしながら、そして互いの苦手分野を補い合いながら、チームのように働いている点が特徴だ。

-----どのようなキャリアビジョンを持っている人が多いのでしょうか?

辻本さん:"明確なキャリアビジョンがまだないので、それを明確にしたい"という目的で入居している人が多いです。

例えばフリーランスのデザイナーとして働いている人は、近くでエンジニアなど別の職種で働いている人の姿を見ることができるので、そのような影響で「デザイナーからエンジニアに転身したい」とビジョンが明確になるというケースもありました。

また、「そのビジョンを実現するためには実務経験が3年以上必要なので、一度サラリーマンに戻って経験を積む」といった理由でノマド家を卒業する人もいます。

ノマド家である程度の信頼関係を築くことができれば、卒業後もノマド家住人とノウハウや人脈などをシェアすることも可能だという。

提供:株式会社フィジビリ

独立後はスキル習得に貪欲に

辻本さんは、2017年に株式会社リクルートへ新卒入社。

翌年2018年にはノマド家を立ち上げ独立し、今年1月に株式会社フィジビリを創業した。

-----新卒入社の翌年にはフリーランスに本格転身されたのですね。その1年間に起こった出来事や独立の経緯について教えていただけますでしょうか。

辻本さん:厳密には1年8カ月ほど、リクルートの社員として働いていました。

もともと「入社3年以内には起業したい」という目標があり、ノマド家のような構想もあったので、マネジメントスキルなどを起業家輩出企業とも言われているリクルートで学び、最短で起業したいと思っていました。

辻本さんによれば、当時「フリーランス向けシェアハウス」と謳っている物件は数カ所あったが、実際のところサラリーマンや学生が安価な家賃目当てで住んでおり、フリーランス入居者がメリットを享受できる環境ではないと感じるケースが多かったそうだ。

退職する約5カ月前にノマド家の構想をSNSで発信したら、まだ物件も決まっていない段階なのに、入居したいという人がすごく多くて、「これは、早く物件を揃えて実現させよう」と心を決めました。

退職1カ月前には、物件・入居者ともに決まっているという状況でした。確実にうまくいくという確信が持てたため、独立に踏み切りました。

-----実際に独立してみて、仕事に対するモチベーションに変化はありましたか?

辻本さん:モチベーションに関して言えば、下がるということは全くなかったですね。

どんなスキルがあればどれぐらい稼げるのか、といったことはフリーランスの先輩を通じて分かるので、スキルの習得・スキルを習得するための仕事には、会社員時代と比べものにならないほど貪欲になりました。

休日にダラダラするということはなくなり、土日関係なく学習と仕事に打ち込んでいます。

「独立すると、自分の市場価値が痛いほど分かるんです」と話す辻本さん。

時間を決めてジムやサウナに行くなど、強制的にオフに切り替えるという工夫もしながら、集中力を保って毎日スキル習得と仕事に勤しんでいるそうだ。

取材の様子(オンライン)

個人よりもチームが合理的

ノマド家には、「フリーランスはチームで働く」という軸がある。

住人が仕事を受託した際の見積書・提案書・事業計画書等はノウハウとしてslackで共有。そのため、フリーランス経験が浅い人でもスムーズに営業活動ができるとしている。

-----「組織やチームで働くことが苦手なのでフリーランスになりたい」という人も多いと思うのですが?

辻本さん:フリーランスでも、チームをつくった方が絶対に合理的です。

スキルはあっても営業経験がないため仕事をとることができない、という人も多いのですが、その逆に、仕事はとれるけれどかたちにはできないという人も多いんです。このような時、双方がタッグを組んで、互いの苦手分野を補完しあった方が良い結果を出すことができます。

実際に「人間関係が嫌になったのでフリーランスになりたい」という知人もいたそうだが、結局1人ではなかなか思うように稼ぐことができず、その状況に疲弊してチームに戻る…という結末に。

フリーランスであっても、やはりチームで働くことは効果的なようだ。

提供:株式会社フィジビリ

-----では、「チームの一員として働く」にあたり、大切なことは何だと思われますか?

辻本さん:経営者目線で「自分はどれくらいの粗利を生み出せているのか」といったことをまずは意識すべきです。

フリーランスは生きていくために、粗利をしっかりと出していく必要があります。

会社員であっても、粗利への意識をしっかり持って、チームに自分がどれだけ貢献できているかを常に考える必要はあると思います。

コミュニケーションや人間関係といった観点からは、「フリーランスであればドライでいい」と明言する辻本さん。

人間関係を過剰に意識した発言からは何も生まれないと思うので、フリーランス間では、「食い違っても生産性のあることを言う」ということを意識しています。

また、ノマド家では、「この人に会ってみたら良いよ」など、仕事につながるための"役立つコミュニケーション"を重視しています。

人間関係の苦手なビジネスパーソンであっても、彼のように「コミュニケーションは仕事の獲得やスキルアップのための"手段"」と捉えれば、日々のコミュニケーションも苦痛と感じなくなるのではないだろうか。

早い段階で市場に揉まれた方がいい

-----最後に、将来フリーランスを目指したいと思っている若手ビジネスパーソンにメッセージを一言お願いします。

辻本さん:早い段階で市場に揉まれることで、必要なスキルや行くべき道といった方向性が明確になるので、少しでも独立したいという気持ちがあるのであれば、早ければ早い方がいいと思います。

自分の周りでフリーランスとして成功している人は、シンプルに独立するタイミングが早かったという人が多いです。

チームの在り方、コミュニケーションの捉え方、辻本さんの考えは全て「合理的であるかどうか」だ。

入社間もない新人であっても、駆け出しフリーランスであっても、「合理性」をキーワードに物事を捉えていけば、チームのなかで働くことに対してより前向きになれそうだ。

出典元:ノマド家
出典元:株式会社フィジビリ

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