晴れて社会人になり、新卒社員として入社したという若手ビジネスパーソンの中には、「なかなか配属されたチームに馴染めない」「先輩や上司と仕事以外の話もしたいが、どうすれば良いか分からない」などといった悩みを抱えている人も多いのでは。
そんな若手の悩みに有意義な回答を提供してくれそうな起業家がいる。
イベントプロデュース事業を行う株式会社フラワーズロマンスは2020年12月、芸人が企業にインターンし、企業の魅力を伝えるという新しい採用広報動画サービス「芸人インターン」をリリース。同サービスでは、現役の芸人が講師を務めるコミュニケーションセミナーも提供するとしている。
同社代表取締役の中道正彦さん(37)は、某有名お笑い事務所で芸人として12年間活動し、引退後サラリーマン経験を経て起業したという経歴の持ち主。「元芸人が伝える実生活でのコミュニケーションスキル」などをテーマとしたビジネスセミナーの講師も務めている。
前述のようにコミュニケーションに悩む若手ビジネスパーソンは、具体的にどのようなことを意識すべきなのだろうか?中道さんに取材した。
芸人が企業の魅力を伝える「芸人インターン」
「芸人インターン」は、芸人が実際に起業を訪問し、採用プロモーションや企業ブランディングのための会社紹介動画を制作するというサービス。
中小企業が抱える「企業の魅力を伝えることが難しい」「職務内容や職場の雰囲気が伝わっていないため、入社後すぐに離職してしまう」などといった課題解決のために、芸人が企業の魅力やそこで働く人の魅力を引き出し、笑いを交えて楽しく伝える。
また、元芸人でありメディア出演経験も有する中道さんが、自ら企業の課題に合わせた動画内容を企画。数々の舞台に立ち、単独ライブの企画も行ってきたという元芸人だからこそ、バラエティ番組のような動画制作を実現できるという。
芸人の経験を活かし起業へ
中道さんは、21歳から12年間芸人として活動した後、33歳で限界を感じ引退。その後、「起業したい」との想いを実現すべく参加していたオンラインサロンで出会った仲間に声をかけてもらったことがきっかけで、飲食店の店長として飲食業界に飛び込んだ。
営業・企画・プレゼンなどビジネス全般において必須とも言える「コミュニケーション能力」を芸人時代に培ってきた中道さんは、その能力と芸人仲間の拡散力による集客効果が功を成し、決して良い立地とは言えない飲食店を1年間で黒字化した。
これに手応えを感じ、結婚式の二次会プランニング事業を立ち上げ、35歳で法人化。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響で、中道さんの事業は窮地に立たされることに。
中道さん:昨年コロナ禍の影響で、飲食店は臨時休業、結婚式二次会をはじめとするイベントプロデュース事業では予定していた仕事が全てキャンセルになってしまいました。
売上がほぼなくなってしまった厳しい状況のなかで困っていた時、「芸人で企業にインタビューしてくれる子おらん?」という先輩からの一言で「芸人インターン」は始まりました。
採用活動に課題を抱える中小企業と、コロナ禍で仕事の依頼が激減し困っている芸人。双方を繋げば、これまでにないサービスを生み出すことができるのではないか…。
以前から「芸人の能力はもっと幅広い分野で生かされるべきだ」と感じていた中道さんは、こうして「芸人インターン」をリリースした。
初めてのtoBビジネスに四苦八苦
「toBのビジネスは初挑戦なんです」と苦笑いする中道さんだが、芸人ネットワークやオンラインサロン仲間などに営業方法のアドバイスをもらうなどして、「人との繋がり」を武器に日々邁進しているそうだ。
実際、受注した企業からの反響は良く、就活生からの問い合わせも増えているという。
-----ご自身がネットワークを広げるために工夫していることはありますか?
中道さん:これまで私が立ち上げてきた事業については、全て自分から動いたというよりは、周りからの提案を形にしてきたといった方が正しいんです。
周りから声をかけてもらい、提案してもらうためには、まず自分が「いい奴」でいること。そして、常に自分の考えを発信していくことが大切だと思っています。
ネガティブなことも含め、自身の考えを常に発信し続けていれば、周りが「そういえば、こういうことを呟いていた人がいたな」と自分を思い出してくれる可能性が高くなる。普段の行動の積み重ねが、ネットワークを広げ、新しい事業にも繋がっていくという。
相手の関心事に関心を持つことが重要
中道さんは、「芸人から学ぶビジネススキル」「元芸人が伝える実生活でのコミュニケーションスキル」といったテーマでビジネススキル講師としても活躍している。
-----「なかなかチームに馴染めない」「人付き合いが苦手」といった新卒社員がコミュニケーション術を磨くためには、具体的にどうすれば良いと思われますか?
中道さん:「何をしゃべったら良いか分からない」という悩みはよく聞きますが、「何をしゃべったら良いか分からない」のは、その人に興味がないからです。
そういった時には、"相手が関心を持っていること"にまず関心を持ってみることをおすすめします。
例えば私には4歳の娘がいるのですが、ただ声をかけても知らんぷりをされてしまうことが多いです…。
でも、娘が夢中になっているゲームに関心をもって「何のゲームしているの?」「面白そうだね、パパもやってみようかな」と話しかけると、盛り上がるんです。
職場でのコミュニケーションも、これと同じなのではないかと思います。
また、上司と部下で「当事者意識の違い」などの壁が生じてしまうといった場合には、こんな方法も。
中道さん:運営している飲食店のスタッフとなかなか会えなくなってしまった時、SNSで「毎日スタッフの"いいところ"を呟く」という企画をやってみたんです。
そうすると、いいところを自然と探すようになり、スタッフの長所が見えてくるようになりました。
このように、相手の「いいところを見える可するシステム」を自分で作っていくこともおすすめです。
この方法は、「若手社員が上司の"いいところ"を毎日見つけてみる」という逆の方向でも役立ちそうだ。
上司の長所をたくさん見つけていけば、「自身もこうありたい」という目標にも繋がっていくのではないだろうか。
芸人のセカンドキャリアの受け皿となりたい
今後の展望について尋ねると、「これまでずっと芸人仲間にお世話になってきたので、今後は芸人のセカンドキャリアの受け皿として会社を大きくしていきたいです!」と意気込みを語ってくれた中道さん。
オンラインサロン、SNS、芸人仲間…様々なネットワークを日々大切にしてきたからこそ、今の彼がある。
在宅勤務などが増え、職場でのコミュニケーションがさらに難しくなってしまったコロナ禍では特に、彼の生き方やアドバイスから得られるものが多いのでは。
出典元:芸人インターン
出典元:PR TIMES STORY/「芸人の能力をもっと幅広い分野で活かせるはず」そんな思いで元芸人が作った「芸人インターン」というサービス。
【関連記事】
一歩を踏み出すことで景色が広がる!ビジコン優勝チーム代表者が参加を通じて得られた2つの気付き
「ビジネスコンテスト、エントリー募集中!」「力試ししてみたい若者募る!」このような謳い文句に惹かれては、エントリーボタンを押す勇気が出ずに挑戦機会を逃してしまってはいないだろうか。 「挑戦...
「刺激的で心地よい緊張感」キヤノンMJの企業内起業『ichikara Lab』代表に学ぶ、挑戦することの大切さ
新規プロジェクトや社内起業など、社内での新しい取り組みに挑戦することの価値は高い一方で、なかには「今抱えている仕事で手一杯」「自分の能力が発揮できるか不安」などの理由から、なかなか手を挙げられな...
その仕事、未来につながるスキルかも!スキルと趣味を掛け合わせた「脱:三日坊主アプリ」開発者の起業ストーリー
毎日仕事を頑張っているけれど、明確な夢や目標が見つからず、「このままでいいのだろうか…」と悩んでしまっている若手ビジネスパーソンもいるのではないだろうか。 しかし、日々取り組んでいるその仕...
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう