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「刺激的で心地よい緊張感」キヤノンMJの企業内起業『ichikara Lab』代表に学ぶ、挑戦することの大切さ

白井恵里子

2020/12/25(最終更新日:2020/12/25)


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吉武裕子さん/提供:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

新規プロジェクトや社内起業など、社内での新しい取り組みに挑戦することの価値は高い一方で、なかには「今抱えている仕事で手一杯」「自分の能力が発揮できるか不安」などの理由から、なかなか手を挙げられないと悩む若手ビジネスパーソンも一定数いるのではないだろうか。

キヤノンマーケティングジャパン株式会社は5月、コンシューマー市場の若年層向けマーケティングと商品・サービス開発の強化を目的に、同社初の企業内起業「ichikara Lab(イチカララボ)」を設立。

ichikara Labは12月、未来につながるヒントを探る「ワカモノスタディ」の活動を開始した。

若者たちと恒常的に様々なテーマについて話し合いながら、トレンド・価値観・購買行動・ライフスタイルなどの裏側にあるインサイトを探求し、若者たちが今求めている商品やサービスをともに考える取り組みだ。

社内で新しいことに挑戦すると、どのような日々が待っているのだろうか?挑戦することの大切さについて、ichikara Lab代表の吉武 裕子(よしたけ ゆうこ)さんを取材した。

若手社員約30人から成る「ichikara Lab」

ichikara Labは、若年層マーケティングの強化と新たな顧客層へのリーチをめざす、同社初となる企業内起業。2019年に若手女性社員約15人で結成した若年女性層をメインターゲットとする商品の導入マーケティングを行う「ichikaraプロジェクト」などが前身となっている。

現在は社内複数の部門から集まった若手社員約30人から成っており、若年層マーケティングの研究と、若年層向け商品・サービスの開発を手掛ける。

12月に開始した「ワカモノスタディ」では、大学生とともに「若者のビジュアルライフ」「若者の消費と所有」をテーマにワークショップを実施するなど、若者ならではの視点を深堀りする取り組みを展開中だ。

前進となるプロジェクトの成果が認められ起業へ

代表の吉武さんは、2005年にキヤノンマーケティングジャパン株式会社へ入社。プリンターやカメラの販売促進担当を経て、2011年より商品企画部門にてプロモーション戦略を主に担当していた。

2018年、どこでも手軽に写真プリントが楽しめるミニフォトプリンター「iNSPiC」の商品企画担当として市場導入やプロモーション戦略など、マーケティングプランニング全般を担当。

今年4月より、ichikara Labのリーダーとして、若年層向け商品・サービスの開発を担当している。

-----前進となる「ichikaraプロジェクト」が立ち上がった経緯について教えていただけますでしょうか。

吉武さん:市場環境が急速に変化する中、次世代の顧客を獲得し、新しい価値を提供していくことがコンスーマ向け製品を担当する部門として急務となっていました。

従来の製品のメイン顧客層は、40代~60代の男性が中心となっており、デジタルネイティブ世代やソーシャルネイティブ世代とよばれる新しい世代に対しては、全てにおいて従来とは異なるコミュニケーション設計が必要です。

ターゲット目線でのマーケティングプランニングによる次世代顧客の獲得を目的とし、組織横断若手社員によって、ichikara Labの前身となるichikara プロジェクトが2019年に発足されました。

同世代だからこそ得られる実感を生かすために立ち上がった「ichikaraプロジェクト」。この活動のリーダーを任されたのが、吉武さんだったという。

-----そこからどのようにして、ichikara Lab誕生に至ったのですか?

吉武さん:前身のichikaraプロジェクトの活動を通して、完成した製品を若年層に届けるマーケティングプランニングだけでなく、自分たち自身で若年層のニーズやインサイトを深掘りし、新しい価値を提供できる新規製品やサービスを企画してみたいと考えていました。

ichikaraプロジェクトの取り組みの成果として、若年層の顧客を獲得できたことや新しいコミュニケーション接点を創出できたことを会社からも評価してもらったことで、新たにキヤノンマーケティングジャパン初の企業内起業として立ち上げることができました。

提供:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

刺激的な日々で、心地良い緊張感

前身となるプロジェクトの成果が評価され、企業内起業へ至ったという吉武さん。新しい挑戦としてのichikara Labでは、どのような日々を過ごしているのだろうか。

-----若手でありながら社内で新しい挑戦に取り組むということは、勇気のいることではありませんでしたか?また仕事量という観点で大変ではありませんでしたか?

吉武さん:新しい仕事を受け持つタイミングで組織も仲間も新たになり、一から色々なことを自分達で決める楽しさも味わいながら、決断していく過程の中でichikara Labのチームビルディングができていった印象です。

新しいことを始める楽しみやワクワクした気持ちを持ったメンバーが集まっていたので、不安を感じるよりも、試行錯誤しながらアイディアを出し合う刺激的な日々を過ごしています。

吉武さんによれば、新しい組織を立ち上げることや、新規商品・サービスを考える仕事には、自分たち自身で何が必要か考え、仕事を作り出していくことが必要だという。

仕事量という観点よりも、より一層自分自身の情報感度や成長が求められると実感しておりますが、「大変」という気持ちよりも心地良い緊張感を持って日々取り組んでいます。

ichikara Lab専任メンバー/提供:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

-----社内プロジェクトに手を挙げてみたいけれど一歩を踏み出せない…という若手ビジネスパーソンも多いと思います。そういった人々に向けてアドバイスなどがあればお願いします。

吉武さん:プロジェクトに参加することは、現状の仕事とのバランスや、プロジェクト内で自分の力を発揮できるのだろうかと不安になり、一歩踏み出すことに勇気がいる方も多いと思います。

ただし、プロジェクトを通して様々な人や組織を知ることで、会社の新たな一面を知ったり、自分自身の成長を大きく感じる場面も多く、やってみたいと思った時に勇気を出して手を挙げてみることをおすすめします。

新しい挑戦へ一歩踏み出す時には、当然ながら従来よりもさらに自身の成長が求められるが、それを「刺激的」「心地よい緊張感」と楽しみながら前進を続ける吉武さんの姿は非常に逞しい。

「なかなか一歩を踏み出せない」という若手ビジネスパーソンも、勇気を出して手を挙げてみると、新しい景色が広がり仕事がより一層楽しくなるかもしれない。

出典元:キヤノンマーケティングジャパン株式会社
出典元:ichikara Lab

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