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その仕事、未来につながるスキルかも!スキルと趣味を掛け合わせた「脱:三日坊主アプリ」開発者の起業ストーリー

白井恵里子

2020/12/20(最終更新日:2020/12/20)


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戸田大介さん/提供:bondavi株式会社

毎日仕事を頑張っているけれど、明確な夢や目標が見つからず、「このままでいいのだろうか…」と悩んでしまっている若手ビジネスパーソンもいるのではないだろうか。

しかし、日々取り組んでいるその仕事を通じて培っているスキルが、長い目で見れば未来の夢やキャリアに繋がることになるかもしれない。そんな希望を与えてくれそうな起業家がいる。

bondavi株式会社は、2016年6月に三日坊主を克服するアプリ「継続する技術」をリリースした。

このアプリは昨今テレワークやおうち時間の増加で利用者が急増し、今年10月時点で累計ダウンロード数は76万を突破。代表取締役である戸田 大介さん(29)がサラリーマン時代に培った「データ分析」というスキルを活かして独自開発したサービスだ。

もともとは起業という目標を掲げていたわけではなかったという彼が、人々に愛されるアプリをつくり、会社を立ち上げたのはなぜだろうか?起業に至るまでの経緯について、戸田さんを取材した。

三日坊主を克服するアプリ「継続する技術」

アプリ「継続する技術」は、ユーザーが達成できる目標を定め、1日1回ワンタップという簡単な操作で目標を継続させることで、三日坊主を克服するためのサービス。

リリース以降徐々にユーザーが増えていたが、コロナ禍で筋トレやダイエットの目標を立てる人が増えたことや、空き時間の増加により資格や趣味など新しいことに取り組む人が増えたことなどにより、今年に入ってダウンロード数が急増したという。

「人の役に立てた」と思えることで仕事が楽しく

戸田さんは、23歳で大学を卒業後、広告代理店へ入社。WEB制作の進行管理担当業務を経て、24歳で「データ分析」の部署へ異動した。

ここで培った「データ分析」の経験・スキルと、趣味のアプリ開発を掛け合わせ、「ユーザーの役に立てるアプリをつくりたい」という想いで本格的にアプリ開発に着手。これが、後の「継続する技術」となる。

そして、27歳で広告代理店を退社し、bondavi株式会社を創業した。

-----広告代理店へ入社された理由を教えてください。

戸田さん:「なんとなくクリエイティブで楽しそう」くらいの軽い気持ちでした。

強いて言えば、大学時代にアプリ開発をしてウェブメディアで紹介された時、「世の中に情報を広める立場は楽しそう」と思ったことがその背景にあったかもしれません。

-----「データ分析」を命じられその仕事についた時のモチベーションはどのようなものでしたか?

戸田さん:データ分析の前に、少しWEB制作の進行管理の仕事をしていたのですが、その仕事が楽しく感じられず、入社後しばらくはモチベーションが下がっていました。

当時は「自分の手を動かした仕事がしたい」という希望から外れていたためにやる気が出なかったと思っていました。

ですが今になって考えると、単に仕事ができなくて人の役に立てなかったことが、面白く感じられなかった大きな理由だったと思います。

実際のところ、データ分析の部署へ異動となった時は「名前がカッコいいな」という理由でモチベーションは高かったと、戸田さんは笑う。

-----その仕事を実際に進めていくなかで、当初の気持ちから心境の変化はありましたか?

戸田さん: データ分析の仕事は楽しくて、どんどん仕事が好きになりました。

仕事をしてから気付いたことですが、数字が好きだったことも、何でも懐疑的に考える癖も、データ分析の仕事には合っていたと思います。

仕事が好きになってからは少しずつ人の役に立てるようにもなって、より仕事が楽しくなったと感じていました。

「データ分析」を活かして何かすごいことをやってみたい

データ分析では、例えば「アプリのユーザー登録をしている人が少ない」というデータから、「登録が面倒くさい」といった人間の心理を考察することができる。

機械に「面倒くさい」といった感情は理解できないため、データから意味を見出すには、人間が人間の感情を理解しなければならないのだそう。

戸田さんはこの実務を通じて、「人間のリアルな心理」を何度も目にし、そのうちに「人間の心理は、自分が思っているより遥かに繊細なんだ」と思うように。

そして、人間の根幹に迫るこの技術を使って何かすごいことはできないかと考えるようになり、「三日坊主を克服するアプリ」の開発を始めた。

戸田さん:「人間の心理を理解する」 ということは、「人間の行動に影響を与えられる」ということだと思いました。

行動できない理由を理解して、三日坊主を克服するというテーマは、まさにデータ分析を活かしてできることだと考え、開発を始めました。

提供:bondavi株式会社

改善を重ねアプリに磨きをかける

開発の道のりは決して平坦ではなかったが、友人に実際に使ってもらいフィードバックをもらったり、継続や習慣に関する本や記事、研究成果に目を通したりと、少しずつアプリを使う人への理解を深め、改善を続けていったという。

その努力の結果徐々にユーザーが増え、データが溜まってきたところで、「データ分析」を活用しさらにアプリの内容に磨きをかけ、現在に至るそうだ。

-----今後さらに、どのように「データ分析」スキルを活用していきたいとお考えですか?

戸田さん:まだまだ 「人間の心理を理解する」 ということが少ししかできていないので、もっと人間をよく理解して、アプリ開発をより意味のある活動にしていきたいです。

それができれば、(たまにユーザーにいただく声ですが)「何故かこのアプリを使うと、やる気が出る。行動できる」 といったアプリができるようになると考えています。

「達成」や「承認」を重ねていくことが大切

もともとは趣味の延長で始めた取り組みが、「ユーザーの役に立つアプリをつくりたい」という本気の心により少しずつ人々の気持ちを掴めるものとなり、やがて「この活動を中心に生きていきたい」と想い起業に至ったという戸田さん。

-----「夢・目標が明確でない」という悩みを抱えるビジネスパーソンに、何かアドバイスがありましたらお願いします。

戸田さん: 「仕事の夢・目標を見つけること」 を、「心から満足できる仕事を見つけること」 と仮に考えると、少し参考になりそうなデータがあります。

仕事における満足感は、どんな仕事をするかという 「仕事そのもの」 よりもずっと何かの 「達成」 だとか、それによる 「承認」 が大きく影響するのだそうです。

だとすると、夢や大きな目標がなくても、今の環境で小さな「達成」を重ねたり、それによって評価されて「承認」が増えたりすれば、「この仕事をしていてよかった」という満足感につながるのかもしれません。

「達成」や「承認」を重ねていくことで、本当に満足できる仕事になるという考え方は、サラリーマン時代に培ったスキルを活かして人々に評価されるサービスを生み出すことができた彼の姿と通じるものがある。

目の前の仕事で成果を積み上げていくことが、自分のキャリアの未来をつくってくれると思えたら、たとえ現時点で明確な夢や目標がなかったとしても、毎日のタスクに前向きに取り組むことができそうだ。

出典元:bondavi株式会社

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