HOMEインタビュー 5つの会社を設立!アパレル余剰在庫解決を志す若手社長が「何が活きてくるかわからないのが人生」と語る理由

5つの会社を設立!アパレル余剰在庫解決を志す若手社長が「何が活きてくるかわからないのが人生」と語る理由

白井恵里子

2020/12/16(最終更新日:2020/12/16)


このエントリーをはてなブックマークに追加

星野拓馬さん/提供:株式会社Appacle

国内で、人の手に渡ることなく廃棄されてしまう服の量は年間100万トンにもおよぶという。

この余剰在庫問題は、アパレル業界の社会問題となっており、余剰在庫が原因で廃業してしまうアパレル会社も後を絶たないそうだ。

この問題解決に取り組むため株式会社Appacleは、「会員制・アウトレットアパレル原価卸サービス」を提供している。専用サイトを通じて会員に手数料0円でアウトレット商品を卸売し、会員がその商品を自由に販売できるというサービスだ。

同社はこれにより、「アパレルをくるくる」と市場に流通させて、アパレル業界の抱える社会問題の解決を目指すとしている。

代表取締役の星野拓馬さん(28)は、同社を含めこれまで5社を設立し、そのなかで数々の人脈も形成してきた。良い意味で「ひとつのこと」にこだわらず、経験と人脈を積み重ねてきた星野さんに、ビジネスにおいて大切にしていることについて取材した。

大部分の会員は副業としてサービスを活用

同社によれば現在のアパレル市場状況は、企業が消費者に販売するという形態が主となる旧来の状況とは異なり、個人が気軽に商品を消費者に販売することができる時代。

そして実際、アウトレット市場をみると、ブランドやショップのセール価格よりも、個人がCtoCで販売する際の方が高額で取引されているという現状があるという。

これは「服本来の価値や在り方」を示しており、CtoCの販路を増やしていくことが、ひいては余剰在庫の問題を解決する一助となると、星野さんは考えているそうだ。

同社の提供するCtoCアパレル販売支援サービスでは、会員は同社から原価で購入した商品に自由に価格を設定し、販売することができる。販売で得た利益はすべて、会員の収入になる仕組みだ。

12月には、仕入れの際に活用できるアパクルクーポンのサービスも開始。会員がアパクルの商品を売れば売るほどクーポンを獲得できる仕組みで、会員の仕入れ負担を軽減する。

今年10月時点で、1100人以上の会員が所属し、大部分の会員は副業として同サービスを利用しているという。

アパレルの余剰在庫問題を解決したい

星野さんは21歳で初めて営業代行の会社を立ち上げ、その後、海外インターンシップ紹介業およびWEBマーケティング業の会社を設立。

24歳で3社目となる除菌剤製造メーカーを立ち上げ、続いて4社目の除菌剤販売会社も設立した。

そして2018年9月、25歳にして5社目の株式会社Appacleを設立。今年10月より、前述のCtoCアパレル販売支援サービスの提供を開始した。

-----貴社創業の理由、きっかけについて教えてください。なぜアパレルの余剰在庫に着目されたのですか?

星野さん:3社目の会社が他社の資本参加により、私が代表を退任したことで、時間に余裕ができはじめました。

次に新しい事業を始めようと意識している時期に、数年の付き合いのある社長が新たにアパレル業を始めているということで、倉庫に伺いました。

星野さんはそこで、新品未使用の秋冬服が大量にストックしてある状況を目の当たりにした。

そして、仕入れ値を聞くと非常に安価だったことに疑問を抱き、調べてみたところ、自分が知らなかった「余剰在庫」の問題について知ることになったという。

身近なショッピングモールや百貨店など、どこに行ってもアパレルの店舗は数多く目にするのに、実際は生産される服の半分が処分されているという状況で、余剰在庫に困っている会社が多いということを知りました。

そして、それを解決できる会社を作ろうと思い、株式会社Appacleを設立しました。

提供:株式会社Appacle

何が活きてくるかわからないのが人生

星野さんは同社創業に至るまで、数々の会社を立ち上げてきた。その中で何を大切にし、どのようなことを意識してきたのだろうか。

-----これまで様々な業界で多岐にわたる事業を手掛けてこられたとのこと、そのすべてにおいて「軸」となるようなものはありましたか?

星野さん:結果的に複数社の法人を立ち上げることになりましたが、数年前から計画していた訳ではなく、その場にチャレンジしたいものに挑戦しています。

また、私の起業のきっかけはスティーブ・ジョブスの死がきっかけです。

彼の有名な言葉である"Connecting the dots"(コネクティングドッツ)。いつか点と点が結びつく、何が活きてくるかわからないのが人生だと意識しています。

-----これまで人脈形成にも注力されたとのこと、「人脈があってよかった!」と実感されたエピソードなどもあれば教えてください。

星野さん:海外インターシップを紹介した当時の学生と今一緒に仕事をしていたり、1社目での社員が今の会社で社員になってくれたりなど、時が経つに連れてさまざまな点がつながってきているのを感じています。

そういう意味では、どこで点と点が繋がるかわからないということを意識して人と接したり、人脈形成しています。

これまで様々な経験を積み、数々の経験を積んできた星野さんだからこそ、後になって「あの頃の繋がりが活きた」と実感する機会が多いという。

そして、その"繋がり"はどこでどのようにして生まれるのか、分からないのが人生。ビジネスにおいても、そのことを意識しながら人との繋がりを大切にしているのだそう。

提供:株式会社Appacle

会員数1万人、年間流通枚数150万着を目指す

-----アパクルにおける今後の展望についてお聞かせください。

星野さん:価格の低下は企業の在庫問題や収入問題によるもので、避けられない社会課題です。

売れなくなる前に企業の在庫問題を解決し、個人が個人に服の本当の適正価格で販売する仕組みづくりを提供し、"三方良し"を実現します。

最終的な目標として星野さんは、会員数1万人、年間流通枚数150万着という数字を掲げている。

アパレル業界の社会問題を解決すべく立ち上がった彼のうしろには、これまで手掛けてきた様々な事業で得た経験や、繋がってきた人々の顔がしっかりと見える。

日々仕事に向き合っている若手ビジネスパーソンも、取り組んでいるタスクや一緒に仕事をしている人たちが未来の自分をつくってくれているのだと考えたら、楽しく、そして前向きに仕事に臨むことができそうだ。

出典元:アパクル

【関連記事】


hatenaはてブ


この記事の関連キーワード