HOMEインタビュー 廃タイヤに新たな価値を加えアップサイクル!モンドデザイン代表が「視点を養うより、まずは行動」と語る理由

廃タイヤに新たな価値を加えアップサイクル!モンドデザイン代表が「視点を養うより、まずは行動」と語る理由

長澤まき

2020/12/26(最終更新日:2020/12/26)


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提供:モンドデザイン/堀池洋平代表取締役

価値がないと考えられているものに潜む特性を見出し、それに新たなアイデアを加えることで、高品質かつデザイン性にも優れたアイテムを創り出している企業がある。

株式会社モンドデザインは12月8日(火)、廃タイヤを再利用したサステナブルブランド「SEAL」より、老舗下駄メーカー水鳥工業とのコラボルームシューズ「SEAL×two piece メンズミュール」を発売した。

廃タイヤと国産ヒノキの素材の特徴を最大限に引き出し、国内職人の手によって作られたスタイリッシュなシューズだ。

廃棄される素材に新たな命を吹き込むための価値・アイデアをどのように見出し、ビジネスにつなげているのか?堀池洋平代表取締役に取材した。

廃棄タイヤ・ビニール傘を再利用

同社は、廃棄タイヤをリサイクルして再利用するブランド「SEAL」と、廃ビニール傘を再利用するブランド「PLASTICITY」の2事業をメインに、“日本にも環境にも優しいデザイン”をコンセプトとした商品やサービスを展開している。

使用後に廃棄物として処理されている資源を調査・検証し、素材の特徴を最大限引き出しながら、さまざまな製品へリユース。

また、WWF(世界自然保護基金ジャパン)への寄付や植林といった同ブランドが行っている活動を通じて、ユーザーが気軽に社会貢献活動に参加できるような取り組みを積極的に行っている。

「楽しんで使ってもらえる製品を」と創業

堀池代表は1980年生まれ。幼少期を福島県いわき市で過ごし、2003年に大学を卒業。2006年11月に資本金200万円にて同社を創業した。

-----「エコ×デザイン」をテーマとしたビジネスを始めた経緯を教えてください。

堀池代表:僕はもともと、環境問題やエコ・リサイクルに興味を持っていました。

2005年頃に、何か環境に貢献する活動をするのもなかなか時間がかかり大変だと思ったことや、環境に配慮した製品を使用したいと思ってもなかなか使いたいと思う物がなかったことから、「積極的に楽しんで使っていただける製品を作りたい」という想いを持ったの最初のきっかけです。

また、それまでは、“エコ=かっこわるい”だった同世代の認識が、“エコ=スマートでかっこいい”という認識に少しずつ変わっていくのを感じたことも、きっかけの1つです。

根気強く試行錯誤し、ビジネスを実現

-----「廃棄物に新たな価値を加えて商品にする」というビジネスを実現する仕組みを、どのように創りましたか?また、それを実現させるにあたってどのような困難があり、それをどう乗り越えましたか?

堀池代表:ひとつひとつ手探りで仕組み作りを行いました。

弊社の行っている製品には、「廃材の回収」「廃材の選別」「廃材の洗浄」「縫製」という、大きく分けて4つの工程があります。

その一つ一つの工程で協力していただける工場を探すことが一番困難でした。

基本的には、根気強く沢山の方に連絡してテストをしていただき、試行錯誤を行うということをし続け、それらを乗り越えてきました。

廃ビニール傘を再利用するブランドPLASTICITY/キルティングバッグ

廃棄素材の特徴を最大限引き出し、リユース

同社が開発するアイテムは、ただ廃棄物をリサイクルするのではなく、素材の特徴を最大限に引き出しながら、クオリティとデザインの良い製品へリユースしているのが特徴的だ。

例えば、このたび発売した「SEAL×two piece メンズミュール」は、タイヤチューブが持つ水を通さない・弾力性があるという特徴を活かして、雨や汚れにも強く、高い耐久性で長く履くことができるアイテムとして開発。

さらに、木地に国産ヒノキを使用することで、吸湿性と保湿性を兼ね備えた快適な履き心地を実現した。

-----廃棄物を商品に生まれ変わらせるための“新しい価値”を、どのように見つけ出していますか?

堀池代表:製品にした時に、その廃棄物が素材として魅力的かどうか、ということを重視しています。

-----ものづくりにおいてこだわっている点は?また、それをどのように実現していますか?

堀池代表:大きくこだわっているのは、「高い品質」「デザイン性」「価格」「機能」の4つです。

品質については、全て国内職人の方に作っていただくことにより実現しています。

価格については、廃材とそうではない素材のバランスを考えて、よりよい価格になるようにしています。

デザイン・機能については、弊社が基本的には直営店での展開ということもあり、お客様と近い立ち位置にいることが出来ているため、それらを活用して開発をしています。

購入者の4割程がリピーターに

-----貴社アイテムへの反響を教えてください。

堀池代表:お客様の層は30〜40代の男性が多く、全体の8割ほどは男性のお客様です。

水に強いところ、また、他にはない唯一無二の素材という点に共感してくださる方が多いです。

年間で、ご購入いただく方の4割程はリピーターのお客様となってくださっています。ブランドのアイテムを気に入って、様々な製品を購入してくださる方がとても多く、そのような方に支えられています。

自分の考えを信じ、実行することが大切

廃棄される素材に新たな価値を加え、クオリティもデザイン性も高いアイテムに生まれ変わらせているモンドデザイン。

アップサイクルできる素材を見つけ出し、それに新しい価値を加え、新たな商品を生み出していく視点は、どのように養っているのだろうか。

-----そのような視点を養うために大切にしていることを教えてください。

堀池代表:まずは実行してみる、ということを大切にしています。

良いアイディアや新たな商品を生み出す視点は、多くの方が素晴らしい物をお持ちかと思います。ただ、それを実際に行動に移す方は極端に少なくなります。

ですので、良い視点を養うということより、自分の考えを信じて、まずは実行してみることが大切だと考えています。

せっかく浮かんだアイデアや視点も、実行に移さなければ何も生まれない。

自分ならではの視点やアイデアを根気強く試行錯誤してビジネスにつなげる堀池代表の仕事への向き合い方は、アイデアを行動に移すことの大切さを教えてくれる。

出典元:MONDO DESIGN

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