「オンラインだけでは雰囲気がつかめない」「学生同士でのつながりもつくりにくい」…コロナ禍で一気に加速した"オンライン就活"の広がりとは裏腹に、オンラインでは不十分と感じる就活生も多いのではないだろうか。
一方で企業の人事担当者のなかにも、「オンラインで本当に求める人材が採用できるのか」といった不安を抱えている人が少なくないようだ。
そんなリアルなつながりを求める就活生と人事担当者を対象に、BnA Alter Museumと株式会社NextKeymanは11月、共同で2日間にわたる就職活動イベントを実施した。
会場となったBnA Alter Museumは、京都府下京区にある10階建てのアートホテル。「あらゆる表現者の実験と発信の場」をコンセプトとしており、部屋そのものがアート作品となっている。この施設をまるまる1棟利用し、3密を避けながら双方が密なコミュニケーションを図ることができるという、"この空間だからこそ"実現したイベントだ。
なぜアート空間を就活イベント会場として選んだのか?参加者のニーズと感染対策をどう両立させたのか?BnA Alter Museum総支配人の渡邊 龍一さんと、イベント企画を担当した株式会社Next Keyman代表取締役社長の橋元 一晃さん、Sales Div. Chiefの岡本 雅貴さんを取材した。
10階建・31部屋すべてを利用し3密回避
この就活イベントでは、10階建・31部屋という施設を最大限活用。企業の人事担当者を各部屋に配置し、学生が部屋を順番にまわるという仕組みで行った。
各部屋でも入れる人数を制限し、運営側がそれをコントロールすることで、感染対策も徹底した。
参加する学生は、企業をまわるごとに、新しいアート部屋を訪れることができ、創造性が膨らむ刺激も受けられたという。
就活生・企業人事担当者はともに"表現者"
-----今回共同企画に至った経緯を教えていただけますでしょうか。何かきっかけがあったのですか?
渡邊さん(BnA Alter Museum):私が元々人事をしており、自社の採用を主に仕事をしておりました。
コロナになってから就活は全般的にオンラインとなっていきましたが、やはりリアルでないとわからないことがまだ多いのではないかと思い、ホテル1棟を利用すればコロナ対策および3密回避ができるのではないかと考えたのがきっかけです。
橋元さん・岡本さん(Next Keyman):弊社は採用イベントを定期的に開催しております。
その中で人事と学生が双方に楽しむことができる、結果的に双方が自己理解を深め採用・就職を決めることができるイベントを追求をしており、今回BnA Alter Museum担当者様とのつながりの中で想いが合致し開催にいたりました。
-----一見、アートと就活はあまり結びつきのない印象ですが、イベントにアートを取り入れた趣旨をお聞かせいただけますでしょうか。
渡邊さん(BnA Alter Museum):まず当館のコンセプトが「あらゆる人々の実験と発信の場」となっています。
そのような意味では、就活生および企業人事も"表現者"であると考えております。
また、アートという文脈においては「創造性と対話」という意味で、非常に結びつきがあると考えております。
「創造性」は就活生に限らず、社会人になってからも必要となります。
そして、「対話」は、自分との対話(自分が何をしたいのか、どこを目指しているのか)、将来の対話、過去の対話です。
就活は「様々な方向性で自己分析をする機会」だと捉えると、アートの鑑賞における対話ととても近しいものがあると渡邊さんは考えているそうだ。
テーマは相互理解
「感染対策」と聞くと、オンラインなど「離れて行う」イメージが湧くが、このイベントでは逆に「密なコミュニケーション」を取り入れたことが最大の特徴だ。
各部屋を企業ブースに見立て、大人数が密集しないかたちで、互いに向き合える機会をつくった。これは、施設1棟をまるごと活用したからこそ実現できたと言える。
-----参加者のニーズと感染対策をどう両立させるべきかといった点は、難しい検討ではありませんでしたか?
橋元さん・岡本さん(Next Keyman):感染対策という面ではそこまで難しくはなかったです。
企業ニーズ・学生ニーズ共に密にコミュニケーションを取りたいというところに関しては共通しており、そこを今回のイベント形式によって意図的に生み出すことが可能でした。
そのため今回のイベントを行うにあたり感染者対策と参加者ニーズを満たすことは一貫して理にかなっておりました。
-----今回イベントの企画・運営で一番こだわったところを教えていただけますでしょうか?
橋元さん・岡本さん(Next Keyman):相互理解というテーマにこだわりコンテンツ作りを徹底しました。
具体的には、参加企業様にはプレゼンのフィードバックを学生さんから行っていただき、また学生さんに対しては弊社で自己表現の方法を伝えるため講演を行い、相互理解を促すコンテンツを提供させていただきました。
その結果、参加した学生と人事担当者双方から、非常に高い評価が得られたそうだ。
リアルという場を大切にしてほしい
今回のイベントに込められた想いは「リアルという場を大切にしてほしい」。
各担当者からは、「コロナ禍だから諦める」のではなく、今置かれている環境の中で何ができるかを考えるという前向きな姿勢が伺える。
感染対策を逆手に取り、アートあふれる空間で密なコミュニケーションを実現したこのイベントは、コロナ禍で戸惑う就活生に希望と活力を与えてくれたことだろう。
出典元:株式会社NextKeyman
出典元:BnA Alter Museum
【関連記事】
日本酒好きな東大生たちが「日本酒オタクくん」リリース!活動を通じて感じる、学生だからこその"強み"とは?
同じ趣味を持つ仲間とのコミュニティや同好会などで、「大好きなこの業界を盛り上げたいけれど、知識や経験もないのでなかなか行動に移せない」「もっとこの業界のために役立つようなアクションを起こしたい」...
就活浪人やインターン難民が急増中!Twitter就活支援を行うリモーターズが考える、就活を乗り越える方法とは
コロナ禍において先行きが見えない中、就活生が抱いている不安は大きい。 株式会社ハロネットがスタートしたTwitter就活の支援事業「リモーターズ」も、学生から受ける就活への不安相談が急増し...
ワーホリやインターンを経て紆余曲折の結果、コロナ禍に起業した若手代表がその道を選んだ理由とは
「やりたいことがあるけれど、どう行動に移せば良いか分からない」「起業してみたいがその決心がつかない」など、夢があるものの行動を起こせないという人は多い。 日本中の魅力的な食品・伝統ある工芸...
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう