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「選べないなら、選ばせない」お酒がランダムで届く“KURAND 酒ガチャ”企画者の、新しい価値の創り方

長澤まき

2020/12/05(最終更新日:2020/12/05)


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リカー・イノベーション株式会社は、お酒のオンラインストア・KURAND(クランド)にて、全150種類以上のお酒の中からランダムで届く「KURAND 酒ガチャ福袋2021」を2021年1月11日(月・祝)までの期間限定で販売している。

「なにが当たるかわからない。だからこそ楽しめる、新たなお酒との出会い。」をコンセプトとしたKURANDの人気企画だ。昨年発売した2020年版は、SNS上で話題となり、予定よりも2週間早く完売に。同社の利用者満足度調査でも平均90%以上の高評価を得ているという。

多くの人に受け入れられる、これまでにない新しいお酒の楽しみ方をどのように作りだしたのか?EC事業部/マネージャーの辻本翔さんに、同企画のアイデアの経緯や仕事への向き合い方などについて取材した。

お酒がランダムに入った福袋

KURAND 酒ガチャは、ランダムで詰め合わせたお酒のお買い得BOXを自宅に届ける“家飲み”のための企画。日本酒・梅酒・果実酒・クラフトビールなど、数種類のお酒がランダムに入っている。

SR・SSR・LRなどのレアなお酒が当たる可能性があるのも嬉しいポイント。商品の指定はできないが、一部プランでは、種類や味わいなどの好みを伝えることが可能。アレルギーによる商品の除外にも対応している。

今年の「酒ガチャ 福袋」は、昨年よりさらにパワーアップ。この季節にしか手に入らない限定酒をはじめ、できたての新種が目白押しの豪華なお酒の福袋を用意。「松 -極-」「松」「竹」「梅」「ミニ梅」の5つのプランがある。

「選べない」という課題を逆手に

「KURAND 酒ガチャ」を企画したのは、EC事業部/マネージャーの辻本翔さん。

辻本さんは、2014年に同社に入社。メディア編集・PR・プロモーション・デザイン・イベント企画/運営・マーケティングなどの業務を経て、2019年にEC事業を立ち上げた。

-----「酒ガチャ」というユニークなアイデアを、どのように考え出したのですか?

辻本さん:元々は、「福袋をやってみよう」という発想から、2018年の年末から企画をして、2019年に「初売りKURAND福袋」として販売を行ったことがはじまりです。

インターネットを通して、全く知らないお酒をどうやってお客さまに届ければいいかと試行錯誤している時に、「(商品を)選べないなら、選ばせないかたちにしてみよう」と思いつきました。

お客さまに楽しんでもらおうと思って考えた企画です。

「酒ガチャ」というワードは、ユーザーから生まれたという。

2019年9月頃に「KURAND 創業祭」にて福袋形式のプラン(何が届くかは届いてからのお楽しみ/ランダム形式)を販売しました。

すると、ユーザーから「お酒のガチャ『酒ガチャ』買ってみた!」という声が多く上がったため、「いっそのこと商品名にしてしまおう」ということで、2019年の福袋から「酒ガチャ”福袋”」というネーミングで販売しました。

その後、2020年6月から季節限定企画として定番化し、今に至ります。

楽しんでもらえる企画でないと価値がない

-----同企画においてこだわった点は?また、それをどのように実現させましたか?

辻本さん:お客さまがワクワクするような企画内容にするようにしています。

弊社のバリューに「お客さまのために」というものがあります。お客さまが楽しんでもらえる企画でないとやる価値がないので、楽しんで参加してもらえるような企画内容を心掛けました。

また、定番化した酒ガチャと福袋のような大規模な企画の大きな違いは、「季節限定酒の商品開発数」です。

一般的な福袋はクリアランスセール(在庫処分)の意味合いが多いと思いますが、KURANDではこの企画のために新商品を数十種類開発しています。

ユーザーから直接商品に関するフィードバックをもらいながら商品開発に活かす。D2CモデルのECサイトだからこそできることだと思いますので、そのあたりは、こだわった点です。

商品開発部と連携して、“どのような商品ならお客さまをワクワク喜ばせることができるのか”を議論しながら、実現に向けて取り組んでいます。

-----「酒ガチャ」への反響は?

辻本さん:季節限定の酒ガチャは、回を重ねる毎に毎回規模が大きくなっています。

「酒ガチャ」を定番化してからまだ半年ほどですが、すでに酒ガチャのリピーターが続出しています。

「知らないお酒をたくさん飲み比べできるのがいい」「新しいお酒と出会えた」「新商品が出たからまた買ってみよう」など色々な意見をいただいています。最近では、友達への誕生日プレゼントにする方も増えてきています。

何かと贈り物をする機会や集まる機会が多い年末年始。「酒ガチャ」は、お酒との出会いを楽しめるだけでなく、話題づくりやコミュニケーションにも一役かっているようだ。

酒ガチャを通して、喜びや感動を届ける

同社は、日本のお酒に新しい価値を創るべく、さまざまなお酒の楽しみ方を提案している。

お酒のオンラインストア「KURAND(クランド)」では他にも、アイスクリーム専用酒「罪-TSUMI-」や、料理に加えても楽しめる「海鮮系リキュール」など、日本酒を中心とした“日本のお酒”を酒蔵と共同でプロデュースし、ストーリーと一緒に届けている。

-----“新しい価値”を創り出すために、仕事にどのように向き合っていますか?

辻本さん:そもそもサイトに陳列されているお酒はKURANDでしか買えない商品ばかりなので、KURANDのお客さまは、お酒の専門知識などが少ない方や、「選べない」方が多いです。

そんな方々に向けて、「酒ガチャ」を通して、「新しいお酒に出会える」喜び(発見する喜び)や、「お酒に詳しくない私でも選べた」という感動を届けたいと思っています。

「選ぶことができない」という課題を、あえて「選ばせない」形にすることで生まれたKURAND 酒ガチャ。

固定概念に捉われず、商品・サービスの新たな価値を発掘して企画につなげる辻本さんの仕事術は、さまざまな業界・職種で働く若手ビジネスパーソンの参考になりそうだ。

出典元:KURAND/KURAND 酒ガチャ福袋 2021
出典元:KURAND
出典元:リカー・イノベーション

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