「周りでスキンケアをしている人が増えてきたけれど、実際どんなものを選んだら良いのだろう」と、自身のスキンケアに興味がありつつも、メンススキンケア商品を手に取ることを躊躇してしまっている男性も多いのではないだろうか。
合同会社メンズスキンは、今年7月から8月にかけて、クラウドファンディング「READYFOR」にて男性専用スキンケア「S.Forno The Face Lotion」および「S.Forno The Face Cream」の先行販売を実施。公開からわずか1週間で目標額の114%を達成し、このほど正式に新発売した。
美容業界では珍しい「商品原価率70%」を実現し、厳選した10種類の成分を配合。日本の男性の肌を研究しつくした、日本の男性のためのスキンケア商品だ。
「商品原価率70%」でも利益がうまれるよう、行っている工夫や施策はあるのだろうか?また、スキンケアという概念をまだ持っていない男性へはどのようなアプローチを行っているのだろうか?同社の事業戦略について、代表の大沼奈央美さんを取材した。
「スキンケアに何を使えば良いのか分からない」男性が多い
大沼さんは、幼少期から母親の影響で美容に興味を持ち、美容専門学校卒業後に大手エステサロンや大手脱毛サロンを経て、独立。
2019年10月、「男性にもスキンケアの楽しさ、大切さを知ってもらいたい」との想いから、同社を創業。長年の美容業界での経験を活かし、男性に高付加価値製品を届けるべく活動を続けている。
-----男性用スキンケア商品を開発したいと思った理由を教えていただけますでしょうか。何かきっかけがあったのですか?
大沼さん:私自身はもちろん、母や友人も日々の生活の中で美容を意識していましたが、男性は気にならないのか?と、美容業界に携わる中で疑問を感じていました。
女性はキレイになるためにスキンケアを念入りにするが、男性は気にしないんだと。
しかし大沼さんはある時、それは大きな間違いであることに気が付いたという。
気にしていないのではなく、何が男性の肌にとって良いのかがわからないだけだったのです。
そもそも男性向けの商品は少なく、何が男性の肌にとって一番良いのかもわからない。
夫や周りの方々も同様に疑問を持っていました。
「男性がもっとかっこよくなるために、自信を持って使えるスキンケア商品を届けたい」この疑問から会社を創業しました。
業界の常識にとらわれずに、想いを実現
男性専用のスキンケアの開発にあたって、どうしても乗り越えられなかった壁が「商品原価率の壁」だったという。
売るための商品を作ろうとすると、価格設定の問題から、当然高額な美容成分ばかり使用することはできず、美容成分を妥協しなければならない。
そして、商品を広く周知するために広告宣伝費等に多額の費用をかけようとすると、さらに商品の原価も下げなければならない。
こういったことから、美容業界では10%~20%の商品原価率が標準なのだという。
しかし大沼さんは、どうしても「本来は最も重要であるはずの成分に費用をかけたい」との想いが拭えず、何度も考え試行錯誤したそうだ。
大沼さん:「お客様に自信をもって本当に良いと思える製品を提供しよう。」
この言葉を合言葉に、成分費用以外の徹底したコスト見直しを行い、既存の業界の常識にとらわれず、最も重要である成分だけに徹底的にこだわり抜いた結果、商品原価率70%のスキンケア製品「S.Forno」は生まれました。
他社との差別化は、成分に裏打ちされた中身です。
「最小限」と「全て自動化」を徹底
-----こうして「商品原価率70%」が実現したのですね。とはいえ、事業として成り立たせるために他を経費削減するなど、工夫をされているのですか?
大沼さん:商品の中身に関すること以外は「最小限」と「全て自動化」です。
シェアオフィスを活用していますので、家賃等固定費がかかるものはほぼ0に近い状態です。
経路もネット通販に絞る事で、人件費も限りなく最小限で運用できています。
また商品の発送や在庫管理も、人手をかけずに全て自動化しています。
ECサイトも、ECプラットフォームを活用する事で、莫大に費用と時間をかけなくても、素早くかつお客様にとって使いやすいサイトを作ることができました。
このような努力の結果、大沼さんの「男性がもっとかっこよくなるために、自信を持って使えるスキンケア商品を届けたい」という想いを具現化するための仕事に、ほぼすべての時間を割くことができているという。
本当に良いと思える製品を提供したい
成分以外は「最小限」と「全て自動化」を徹底し、「商品原価率70%」を実現したS.Fornoは、登録者260万人の「サーベロイド」によるアンケート調査にて「総合満足度」・「商品デザイン」・「商品の信頼度」・「つけ心地の良さ」など7つの項目で第1位を獲得し、メンズスキンケア市場にて7冠を達成したそうだ。
-----そもそもスキンケア商品を使うという概念を持たない男性もまだまだ多いと思います。そういった男性にも商品を手に取ってもらうためには、今後どのようなアプローチを考えていらっしゃいますか?
大沼さん:SNSでのアプローチです。
そもそも美容にまったく興味のない男性はほとんどいないはずです!(ごくまれにいるかもしれませんが…)
20代~30代の男性の美容意識は今までとは明らかに変わってきています。
スキンケア商品は使わないのではなく、何を使って良いかわからない状態の人がほとんどだと考えています。
そもそも商品原価率が70%ですから、このビジネスモデルでは広告にお金をかけて大量販売することは出来ません。
SNSを見て、S.Fornoに興味を持って頂いたお客様にご利用頂き、本当に納得頂いた上で口コミを通して広げていきます。
-----商品が愛され続けるために、具体的にどのようなことを大切に事業戦略を立てられていますか?
大沼さん:自信をもって本当に良いと思える製品をお客様に提供する、の一点です。
商品原価率を70%にしてでも、お客様には「S.Fornoが一番だ」と迷いなく使ってほしいからです。
反対に、しないことは書ききれないぐらいありますね。
見栄の為にオフィスを大きくして固定費を増やすことや、広告費の無駄遣い、無駄な人件費をかけることなどは、絶対にしません。
-----最後に、今後の商品展開について展望をお聞かせください。
大沼さん:メンズスキンケアに特化した商品です。
お客様からもお声を頂いており、洗顔や、シャンプー、ボディークリーム等の展開を考えていますが、もちろん今後の商品も男性の皆様が自信を持って使える商品にのみこだわって展開しますので、これだ!という商品が完成するまでは商品展開はしません。
なので、商品展開をした時はぜひ期待してください!
業界の常識にとらわれず、想いを実現するために色々な工夫を施して事業戦略を立てている同社の計画力は、これから起業したいと思っているビジネスパーソンにとっても参考になりそうだ。
出典元:S.Forno
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