特に大きな組織に所属していると、幅広い世代のビジネスパーソンや、キャリア・経験値の異なるビジネスパーソンと一緒に働くことは珍しくない。そういった人々が集い、知恵を出し合い、その結果質の高い事業を生み出していくためには、どのようなことを大切にすれば良いのだろうか。
まもなく創業100年を迎える丸昌稲垣株式会社は11月10日(火)、ブランド「かもしみ」より、夜専用の生甘酒「よるしみ」を新発売した。
「かもしみ」は、若い社員とベテラン社員とが一致団結し、昔ながらの製法や地元の素材にこだわりながら何度も試作を繰り返し開発したという新ブランド。
若い社員とベテラン社員がそれぞれの強みを活かして相乗効果を生み出すためには何が必要なのだろうか?ブランド立ち上げの経緯について、同社市場開発チームの稲垣雅久さん(32)を取材した。
大正14年から続く南信州の味噌・漬物蔵元
同社は大正14年、南アルプス山脈と中央アルプス山脈に挟まれた長野県飯田市にて創業。
信州の風土にあった独自の野菜と食文化が育つこの地域で、本来のおいしさやうまみの詰まったこうじ製品と信州漬物を長年にわたり提供し続けている。
稲垣さんは、関東圏スーパーマーケットにて約7年従事した後、同社へ入社した。
稲垣さん:入社のきっかけは、兄や父が(同社の)経営に携わっており、私自身も食べることが大好きで、本当に美味しいと思うものをたくさんの人に共有したいと思ったからです。
がんばった一日の終わりに味わいたい生甘酒が誕生
-----新ブランド「かもしみ」を立ち上げることになったきっかけ・経緯を教えてください。
稲垣さん:本当によいもの・美味しいもの作る情熱と技術を育て残し、お客様に、その子どもたちに本当のおいしいさを思い出し、味わっていただきたい。
私たちが造る信州の本気の味を好きになってほしい。
「まだ間に合う」という社員たちの思いから、「かもしみ」(醸(かも)して沁(し)みる)が誕生しました。
同社は「かもしみ」新商品として、古くから栄養豊富な飲み物として受け継がれてきた甘酒がもつリラックス効果・疲労回復効果に着目し、熱処理を行わない"生"ならではのやさしい甘味が特徴の“夜専用”生甘酒「よるしみ」を作り上げた。
原料は、信州のお米と水のみ。温めるとほのかな甘さと香りが引き立ち、冷やすとさらっとした味わいが楽しめる。
甘酒が苦手という人や子どもも飲みやすいよう、アルコールフリー、食塩・砂糖・添加物不使用。粒感の少ない甘酒に仕上げたという。
「がんばった一日の終わりに、時間をかけて味わってほしい甘酒」として、オンライン限定で販売を開始している。
若手がアイデアを広げ、ベテランがアドバイス
ブランド立ち上げおよび商品開発にあたっては、若い社員とベテラン社員が一致団結し、何度も試作を繰り返したという。
-----新ブランド立ち上げにあたり、大変だったことは何ですか?また、それをどのようにして乗り越えられましたか?
稲垣さん:今までは、営業が売りやすいもの、作りたいものをお客様に合わせて作ってきたのですが、「かもしみ」では、市場調査やマーケット調査を行い、お客様の食シーンや生活スタイルまで踏み込んで考えていったため、経験が無いことばかりで、大変苦労しました。
ただ、若手の新しい発想と、先輩社員の発酵の知識(昔の作り方など)を参考にしながら、新旧融合して、さらに良いものを作ることが出来ました。
-----若手社員は、ベテラン社員とどのように向き合えば相乗効果が生み出せると思われますか?
稲垣さん:自由な発想で一旦アイデアを広げ、ベテラン社員に出来る出来ないをアドバイスいただきました。
発想の枠にとらわれず、自由に意見することで、良い相乗効果を生むことが出来ると思います。
若手による自由な発想を受け止め、それに対して昔の知識などを総動員しアドバイスをしてくれるベテラン社員の存在は、やはり大きかったようだ。
-----ご自身はどのようなベテラン社員になりたいですか?
稲垣さん:価値観を否定せず、正しい倫理観を持ったベテラン社員になりたいです。
老舗だからこその新旧融合が生み出した新ブランド「かもしみ」では、どこか懐かしい信州の味を穏やかに楽しめるという。
若手社員とベテラン社員が互いの価値観を尊重し、時代に合った商品を生み出していくという同社の文化は、組織で働く若手ビジネスパーソンにとっても良い刺激となりそうだ。
出典元:かもしみ
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