HOMECareer Runners 新卒当時は"be動詞"すら分からなかったスピークバディ代表が、AI英会話アプリをつくった理由とは

新卒当時は"be動詞"すら分からなかったスピークバディ代表が、AI英会話アプリをつくった理由とは

白井恵里子

2020/11/09(最終更新日:2020/11/09)


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立石剛史さん/提供:株式会社スピークバディ

特に英語に苦手意識を持っているビジネスパーソンのなかには、近年の自動翻訳機能や通訳機能等のサービス普及を理由に、「英語力を磨く必要はない」「英語を勉強する理由がない」などと思っている人もいるのではないだろうか。

また、グローバスビジネスのなかで戦っていくために英語力向上を目指している人でも、「業務に追われて勉強時間がとれない」などといった悩みを抱えてしまってはいないだろうか。

株式会社スピークバディが2016年より提供しているAI英会話アプリ「スピークバディ(SpeakBuddy)」は今年9月、累計ダウンロード数が100万を突破した。

このアプリを開発した同社代表取締役社長の立石剛史さん(37)は、今でこそTOEICスコア満点を有しているが、実は外資系内定当時のTOEICスコアは280点、"be動詞"すらわからず、入社後かなり英語で苦労した経験があるという。

そんな経歴を持つ彼が、AI英会話アプリをなぜ作ろうと思ったのだろうか?そして、日本のビジネスパーソンが英語を学ぶメリットとは何か?立石剛史さんを取材した。

提供:株式会社スピークバディ

4000時間の勉強を経てTOIEC280点から満点へ

立石さんは、慶應義塾大学商学部卒業後、22歳でシティグループ証券(旧日興シティグループ証券)投資銀行部門に入社した。

SMBC日興証券への転籍や香港支社への転勤等を経て、29歳で退職。

30歳で、「マルチリンガルになれる時代を創る」というミッションを掲げ同社(旧appArray株式会社)を設立、32歳でAI英会話事業を開始した。

香港では、海外M&A・香港上場等の資金調達業務推進に携わっていたというが、内定当時は英語が苦手で苦労したという経験があるそうだ。

ーそこからどのようにしてTOIEC満点を実現したのですか?

立石さん:周りがバイリンガルだらけだったので非常に苦労しました。

中学1年生の文法(be動詞)から勉強を始めて、合計で4000時間は勉強しました。

留学も最長で3カ月だったので、ほぼ国内での学習です。

内定期間中の英会話研修がよいきっかけとなり英語の勉強を本格的に始めたという立石さん。TOEICの勉強などのインプットと、英会話によるアウトプットを同時並行で行ったことが効果的だったのだろうと、当時の勉強法を振り返る。

(インプット・アウトプットの)片方だけでは、本当の英語力は伸びないと思います。

英語をゼロから真剣に3カ月程勉強して、最初に受けたTOEICが550点だったと記憶しています。

その後、700点・800点・900点・満点でそれぞれ壁があったのですが、固執せずに他の英語の勉強を混ぜたのが功を奏したと思っています。

提供:株式会社スピークバディ

昔から「英会話のドラえもんが欲しい」と思っていた

AI英会話アプリ「スピークバディ」は、音声認識・会話AI・デジタル音声等の技術によって感情豊かなAIキャラクターと対話しながら英語を学ぶことができる新しい英語学習方法。

月額1950円(税込)という比較的安価な価格設定ということもあり、2019年4月に累計20万ダウンロードに到達、2019年5月にはApp Store教育ランキングで1位を獲得するなど、この1年で約5倍の成長を続けているという。

9月には遂に、累計100万ダウンロードを突破した。

ーAI英会話アプリを作ろうと思ったきっかけ・経緯を教えてください。

立石さん:英語学習において最も大変なのは会話相手を見つけることだと痛感していた私自身が、昔から「英会話のドラえもんが欲しい」と思っていたこと、英語学習をテーマにイノベーションを考えていた時にユーザーヒアリングで「英語を勉強しないのは恥ずかしいから」という言葉が出てきたこと、過去に音声認識技術が急速に向上したことなどから、「今なら英語学習の最終解が作れる」と考え、事業プランを作りました。

提供:株式会社スピークバディ

アイデア初期は「できるわけない」「そんなもの必要ない」の大合唱

ー累計100万ダウンロード突破されたとのこと、おめでとうございます。そこに至るまでの道のりや、大変だったことをどう乗り越えられたのか、教えていただければと思います。

立石さん:誰も見たことのないものを作るのは本当に大変で、事業アイデアを思いついた2015年当時は「できるわけない」、「そんなもの必要ない」の大合唱でした。

当時の音声認識や合成音声の質を考えると無理もないのですが、そんななかで信じてくれたごく少数の投資家の出資やメンバーのおかげで開発を始められました。

しかし、Makuakeでクラウドファンディングが成功してアプリをリリースしたものの、当時あがったレビューの多くが「どこがAIだ」というものだったという。

AIに対する過剰期待や幻滅期だったので、コンセプトは評価いただけたものの、継続利用される方は一部のご自身で機能不足を補える方々や、許容度の高い方々だったと記憶しています。

今は音声認識や合成音声のレベルも高く、実力判定やフリーアンサーの機能も入っているので同様の声をいただくことはなくなりました。

ユーザーの方々からポジティブな声を聞くことが増えたなと思った2019年の春から急激にダウンロード数が増え、今年9月に100万ダウンロードを突破できました。

オフィスの様子(2019年撮影)/提供:株式会社スピークバディ

結局、自分の言葉で話せる人が勝つ

ー自動翻訳や自動通訳サービスが普及していくなかで、日本のビジネスパーソンが英語を学ぶメリットは何だと思われますか?

立石さん:世界の共通語が英語になっていくのは明らかな流れのなか、機械翻訳等が手伝ってビジネスのグローバル化は加速すると考えています。

機械翻訳の限界もありますし、他国のビジネスパーソンが英語を使いこなすなか、英語学習不要だと考えるのは非常に危険だと警鐘を鳴らしています。

立石さんは、信頼関係が肝となるビジネスにおいて、翻訳でそれを構築するのは難しく、結局自分の言葉で話せる人・会社が勝つことになるのではないかと考えている。

「自身も英語で苦労した」という経験を持つ彼の言葉には説得力があり、これから国内外問わずキャリアアップしていきたいと思っている若手ビジネスパーソンにとって、そして英語に苦手意識を持っている人にとって、英語力向上への取り組みに一歩踏み出す活力ともなりそうだ。

出典元:株式会社スピークバディ
出典元:スピークバディ(SpeakBuddy)

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