今年1月時点における外国人人口は287万人で、過去最高を記録したという。また、20歳から39歳の層をみると、総人口における外国人の割合は5.9%と非常に大きい。
このことからも分かるように、「入社した会社に外国籍の社員がいる」「新しく外国出身の社員が入社した」といった話はもはや珍しくない。日本語が流暢でスキルも高く、社内で貴重な戦力となっている外国籍社員も多いだろう。
日本とは異なる文化・バックグラウンドで育った彼ら・彼女らと一緒に働くことになった時、日本で生まれ育ったビジネスパーソンが大切にすべきことや意識すべきことはあるのだろうか?
国境を越えたグローバル採用支援を行うフォースバレー・コンシェルジュ株式会社で代表取締役社長を務める柴崎 洋平さんに話を聞いた。
日本企業と日本就職希望者を繋げる
柴崎さんは、1975年に東京で生まれ、幼少期を英ロンドンで過ごした。
1998年よりソニー株式会社にて世界を代表する多くのグローバル企業とビジネスを行った後、2007年に同社を設立。世界中の人材と企業を繋ぐ、国境を越えたグローバル採用支援事業を展開している。
2021年4月には、人材不足が特に深刻な地方自治体の課題解決に貢献すべく、特定技能で就職を希望する外国人材と企業を直接マッチングするダイレクトリクルーティングサービス『Connect Job WORKERS』をリリース予定だ。
日本で働くことが経済的インセンティブに
同社が保有するデータベースには、136カ国、累計約30万人の日本就職希望者が登録しており、日本の大手グローバル企業やIT企業を中心に約400社と取引を行っているそうだ。
また、世界トップクラスの大学約700校における新卒ネットワークも保有。世界中で合同企業説明会・選考会を実施し、日本企業と日本就職希望者を繋げている。
ーどのように、海外から人材を集めていらっしゃるのですか?
柴崎さん:具体的には国内/海外の学校や外国人ネットワーク等弊社の既存のネットワークを使うほか、デジタル広告、大使館や現地公的機関等のサポートも得たりすることで人材を集めています。
ーなぜ「日本で働きたい」人材が多いのですか?
柴崎さん:世界で多くの移民・外国人労働者が国を越えてチャレンジするように、 やはり日本で働くことが経済的インセンティブとなる方がまだ多くいらっしゃいます。
例えば、東南アジア/南アジアには23億人が住んでいますが、そのうちの22億人が日本のGDP10分の1以下の国々の方といわれています。
日本に行くと経済的にかなり大きなメリットがあるという方々が、日本から近いアジアの親日国に多くいるのです。
"日本型"を押し付けない
ー実際に文化やバックグラウンドが異なる仲間と一緒に働く際、日本で生まれ育ったビジネスパーソンはどのようなことを大切にすべきでしょうか?
柴崎さん:まずありきたりのことですが、「日本とは異なる文化・バックグラウンドで育った方々である」という事を認識、理解し、そういった方々の価値観を大事にするのが何よりも大切です。
つまり、相手をちゃんと尊重するということ、"日本型"を押し付けないということです。
また、"One Team"としての一体感をもつために、仕事以外の時間でも感動の共有をしていくと、一体感が増し、相乗効果が生まれるのではないでしょうか。
相手の文化や価値観をみんなで理解し、寄り添ってあげるという意識があるとよいと思います。
柴崎さんによれば、今後日本は、これまで以上に多くの外国人が住む国になっていくという。
それは、異なる文化やバックグラウンドをもつさまざまな人たちが同じ時間を共有し、同じゴールに向かって働くことが、より一層"日常的"になっていく可能性があるということだ。
お互いの価値観を大事にし尊重し合うという基本的なことを、ビジネスパーソンとしても常に意識していくことが、今後のキャリアアップや成功にも繋がっていくのではないだろうか。
出典元:みずほ総合研究所
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