刺激的な環境で真面目に働き、経済的にも困っていることはないが、なぜか心が満たされず「幸せ」だと思えない…そしていつしか、仕事が手につかない状況にまで追い込まれてしまう。自分ではメンタルは強いと思っていたのに、生まれて初めて心療内科に行ったら「軽い鬱」と診断されてしまった。
これは、マインドフルネスサロン「MELON」を立ち上げた代表が、サラリーマン時代に経験した実際の出来事だ。
心にモヤモヤがうまれてしまうことは、誰にでも起こり得る。そんな時、どう対処したら良いのか?
自身の経験や、マインドフルネスとの出会いについて、株式会社Melon代表の橋本大佑さんに取材した。
33歳で「軽い鬱」と診断
橋本さんは、早稲田大学政治経済学部卒業後、23歳で日興シティグループ証券投資銀行本部へ入社。
26歳でオークツリー・キャピタル・マネジメントへ入社。刺激と競争に満ちあふれた、資本主義ど真ん中の世界でバリバリ働いていた。
33歳の時、心療内科で「軽い鬱」と診断されたことがきっかけでマインドフルネスと出会い、友人が自ら命を絶ったことを契機に『自分は何のために生きているんだろう』という問いについて改めて考えることに。
そして、37歳で株式会社Melonを創業し、マインドフルネスを広める活動を始めた。
マインドフルネス瞑想は、"今、この瞬間"に集中することでストレスレベルを下げ、続けていくことでQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を向上させることができる脳と心のトレーニングだ。
自分の悩みは自分自信が作っている
「軽い鬱」と診断された時期には、個人的な悩みで仕事が手に着かなくなってしまったと、橋本さんは当時を振り返る。
それまで自分のメンタルの強さには自信があったにもかかわらず、パソコンに向かっても情報が全く頭に入らない、食事も摂れない、眠れない、といった症状に悩まされたという。
ー当時、ご自身ではどのような対策を試されましたか?
橋本さん:苦しみから解放されるための答えを求めて書籍を読むなど、ネットで対策をたくさん調べて実践してみました。
そのうちに橋本さんは、仏教の「執着を捨てる」という考えに興味を持つようになったという。
自分の悩みは自分自身が作っているということに気づきました。
そこから調べていくうちにマインドフルネスに出会いました。
マインドフルネスは何かを得たり、達成したりしなくても今この瞬間にとどまるだけで心を満たすことができるという方法です。
マインドフルネスを広めたい
その後、優秀な営業マンだった友人が自ら命を絶ってしまうという出来事に直面した橋本さん。
自分が生きている意味について改めて考えた結果、手にした答えが「人間が物質的な欲望を超えて、本当に充実した人生を送ることを手助けしたい」というものだったという。
このことが、マインドフルネスを広めたいという気持ちに繋がり、同社の創業が実現した。
医師や実践者などマインドフルネスの専門家に直接アプローチし、プログラムを開発。インストラクターを揃え、2019年7月に表参道と日本橋(当時)でサロン提供を開始した。
新型コロナウイルス感染拡大を機に、今年4月にはオンラインプログラムもリリース。オンラインでの試みは好評で、スタートから10日間で登録者は3000人を超えたそうだ。
ーサラリーマン時代と今では、ご自身の感じられる幸福度合いにやはり明確な違いはありますか?
橋本さん:はい。前は金融機関でBtoBの仕事かつお客さんの顔が見えなかったので、数字以外にやり甲斐というものはあまり感じられませんでしたが、今はお客さん一人ひとりの顔が見え、直接お話する機会も多いので、直接感謝の言葉をかけて貰えたりするととても嬉しいです。
自分のことを客観的に観察してみる
ー心にモヤモヤがうまれてしまう時、周りにも相談できず一人で不安な気持ちを抱えてしまう若者も多いかと思います。そういった状況下における具体的アドバイスがありましたらお願いします。
橋本さん:まずは自分自身が何を感じていて、何を考えているのか少し客観的に観察してみると良いと思います。
また日常的にスマホなどから新しい情報をインプットし過ぎている方が多いと思うので、一度インプットや考えることを止めて、立ち止まる時間を作っても良いかもしれません。
マインドフルネスが一番おすすめですが、個人的にはサウナなども良いと思います。
あとは会社以外で、趣味のためのグループに属して世界を広げるのもおすすめです。
幸せを感じられなかったというサラリーマン時代の経験を糧に新しい事業を立ち上げ、挑戦を続ける橋本さん。
マインドフルネスサロン「MELON」のテーマは、"最高のすっきりに、出会おう"。橋本さん自身がマインドフルネスを通して"最高のすっきり"に出会えたからこそ、多くの人が集まるサロンへと進化を続けることができているのではないだろうか。
出典元:MELON
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