生まれ育った日本を離れ、アフリカ・ケニアで起業し活躍している若手起業家がいる。
株式会社HAKKI AFRICAはケニア発のFintechスタートアップとして、金融サービスへのアクセスの不平等を解消すべく、現地の小規模事業者に対して小口融資を実施。
従来は信用情報がなく融資を受けられずにいた小規模事業者に対し、少額から融資を行い、返済実績を信用スコアリングDBとして活用することで、将来的により大きな融資を受けられるようにするという計画だ。
なぜケニアで起業することになったのか?途上国におけるビジネスにおいて大切なことは何か?代表取締役の小林嶺司さんを取材した。
ビジネスで彼らの助けになりたいと起業へ
小林さんは、1989年生まれの31歳。
20歳でアフリカ大陸を縦断し、アフリカに惚れ込んだ。
22歳で大学在籍時に渋谷道玄坂でSEO事業・EC事業で起業し、そのまま大学を中退。23歳で本社を神奈川県鎌倉市に移し、シェアハウス事業・コワーキング事業も手掛けた。その後、事業を大手企業に売却し、29歳でアフリカ・ケニアにて同社を創業した。
ーなぜケニアでの起業を決断したのか、その経緯ときっかけを教えてください。
小林さん:アフリカで起業をすることは決めていたのですが、調査のためにケニアへ訪れた際、真面目に働いても貧困から脱却できないスラム街の青年の現実を目の当たりにしたことがきっかけです。
現地での様子を実際に見た彼は、「ビジネスで彼らの助けになりたい」と考えるようになったという。
そして、ケニアにおける貧困課題をFintechで解決しようと志し、低金利・与信不要のマイクロファイナス事業で起業した。
自ら政府機関と交渉しビジネスライセンスを取得
「可能性をふやす人を、ふやす。」をミッションとする同社では、審査や送金、返済処理を自動化することで人件費を削減し、地域最安金利水準での融資を実現しているという。
さらに、送金と返済のすべてをモバイルマネーで完結することで、必要な時に迅速に事業資金を借りることを可能とし、非接触・キャッシュレスによる感染症拡大防止にも貢献している。
ー現地でのビジネス基盤やビジネス仲間をどう作られたのか、教えていただけますでしょうか。
小林さん:最初の社員とはスラム街を歩いていた際に遭遇し、そのまま雇用に至りました。
ビジネスの基盤は、体当たりで自らケニアの政府や政府機関と交渉。数ヶ月に渡る交渉の末、ビジネスライセンスを取得しました。
その後についても、自らスラム街を歩き、交渉を重ねていくことで顧客を獲得していったという。
文化が人を変え、文化が世界を変える
ー途上国で起業するにあたり、これまでに大変だったことは何ですか?また、それをどう乗り越えられましたか?
小林さん:信じていた従業員にお金を盗まれてしまったことがありました。
しかし小林さんは、これを機に、組織文化の創造に注力することとなった。
そもそも、日本の文化から比較して物事を捉えていたため、ケニアの文化ベースで考えられていなかった事業主である自分自身の非を感じ、組織文化を作れていなかった事に猛省し、地道に文化を作り続けました。
ー仕事をするうえで大切にしていることやこだわりを教えてください。
小林さん:シェアハウスの時からそうでしたが、コミュニティには「規則」ではなく「文化」が必要です。
盗みをしない規則は政府が整えていくとして、"盗みをするより真面目に働いた方が得をする"文化を作るのは民間の役目だと考えています。
さらにミクロ視点で見ると、組織の文化を作れるのは組織のトップだけ。
トップの一挙手一投足が、組織の文化を作り、腐敗していくか活気に満ち溢れるかが変わる。
一言一言ビジョンからブレずに、一人一人の社員に愛を込めて接するように心がけています。
文化が人を変えるし、文化が世界を変えると信じています。
今後数年以内にアフリカでNo.1のFintech企業になると、小林さんは目標を掲げている。
同社は9月、神奈川県が主催する「かながわ・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム」において、事業拡大に向けた個別ハンズオン支援を受ける企業として採択。
社会課題解決に取り組むスタートアップとして、今後ますますの活躍が期待できそうだ。
出典元:HAKKI AFRICA
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