HOMEインタビュー コロナ禍の中「草ストロー」導入店舗100軒を突破!農大2年のCEOに聞く、起業を成功させるために大切な考え

コロナ禍の中「草ストロー」導入店舗100軒を突破!農大2年のCEOに聞く、起業を成功させるために大切な考え

長澤まき

2020/09/27(最終更新日:2020/09/27)


このエントリーをはてなブックマークに追加

提供:HAYAMI/大久保夏斗CEO

東京農業大学の学生をはじめとする3人の若者が立ち上げた合同会社HAYAMIが販売する「HAYAMIの草ストロー」の導入店舗数が9月、販売開始から5カ月で100店舗を突破した。

コロナ禍で多くの飲食店が厳しい状況に置かれている中、わずか5カ月でどのようにして導入店舗を拡大したのか?大久保夏斗CEOにこれまでの道のりや、起業を成功させるために大切なことについて取材した。

提供:HAYAMI

100%自然由来&生分解性

「HAYAMIの草ストロー」は、東南アジアに生息するカヤツリグサ科のレピロニアと呼ばれる植物を原料とした、環境に配慮したストロー。

無添加・無農薬・保存料不使用の100%自然由来のため、道端の草木と同じように分解され、自然に還すことが可能。循環型サイクル構築の観点から、使用後は家畜のエサや肥料、ヒンメリの製作などの活用方法も期待されているそうだ。

さらに、同商品はベトナム・ホーチミン郊外の農村地帯で手作りで製造されており、仕事が減少する農村地帯での雇用創出にもつながっている。

提供:HAYAMI/草ストロー小売

提供:HAYAMI

「むしろやり直せるチャンス」と起業を決意

同社は、代表である東京農業大学国際農業開発学科2年の大久保夏斗さんとお兄さんの大久保迅太さん、MINH HOANGさん(ミンさん)の3人の若者が立ち上げた会社。

大久保夏斗さんは、フィリピンで国際ボランティアに参加し、18歳の時にお兄さんの影響でスペインやメキシコでバックパックを始めた。

草ストローに出会ったのは2019年。お兄さんが海外をバックパック中にミンさんと出会って草ストローについて聞き、帰国した際にその存在を教えてくれたという。

大久保さんは中学生時代にウミガメの鼻にプラスチックストローが刺さっている動画を見て衝撃を受け、「何か自分に出来ないか」と思っていたそうだ。そんな折、在学している大学の学科とのつながりもある草ストローに出会い、普及させようと決心したという。現在は、大学の授業と両立させながら、プロジェクトを進めている。

-----大学在学中に起業を決意した経緯を教えてください。

大久保夏斗CEO:元々は起業する予定はありませんでした。草ストロー普及をしていくうちに、お客様が法人との取引のほうが安心できると感じ、法人化することにしました。 

大学在学中であることはあまりリスクとは考えずに、むしろやり直せるチャンスだと思い起業に至りました。

提供:HAYAMI/大久保夏斗CEO

起業にあたっては、無料相談を最大限活用

-----起業までの道のりを教えてください。

大久保夏斗CEO:一緒に事業をしている兄が法学部出身で行政書士試験に合格しているため、会社法などの知識はある程度持っていたことは大きかったです。資本金の額やふさわしい会社形態など実務面でわからないことはウェブサイトで調べながら、手探りで進めていきました。

学生で資金もないので、市役所などで無料法律相談や税務相談をうけられる機会を最大限活用し、市役所や法務局など様々なところに連絡をとりながら、1カ月で手続きを終えることができました。

ベトナム側のパートナーは、事業を進めている兄がベトナムバックパック旅行中に出会った方です。

日本に2年間留学していて、日本語も堪能、会計やマーケティングなどの知識もあり、日本とベトナムの懸け橋になりたいと話していたため、一緒に活動することになりました。今は、ベトナムの農民や工場とのやりとり、現地NGO団体との農村支援活動などを担当しています。

-----草ストローを輸入販売するにあたって、どのような点にこだわりましたか?

大久保夏斗CEO:ベトナムと日本では、衛生面や品質の基準が大きく異なります。日本のお客様に安心してご利用していただくために、現地での衛生基準マニュアルの作成や品質基準の作成を行いました。

また、コストがかかるものの衛生検査や農薬検査を行い、公式な成績書を用意することで、安心して利用できる商品作りを心掛けました。

提供:HAYAMI/栽培地

個別店舗・SNSなど、3方面からアプローチ

-----導入店舗を拡大するために、どのような工夫をしましたか?

大久保夏斗CEO:主に、3つの方法で拡大を図りました。

1つ目は、個別のカフェへのアプローチです。

サンプリングやヒアリングを通して、関心の高いカフェや飲食店様が明確になってきました。リソースも限られているので、関心度の高い飲食店様にフォーカスしてアプローチしました。

その際に、都内だけでなく地方のお店へもアプローチすることで導入店舗数を増やしていきました。

2つ目は、SNSです。

導入店舗様の紹介やプラスチック問題の発信、プレゼント企画などを行うことで、より多くの人々、とりわけ若年層へのアプローチを図りました。

この結果、SNSを見て導入店舗を利用してみるユーザー様やSNSからのオンラインショップへのアクセス数が大幅に増加しました。

3つ目は、メディアへの掲載です。

広告費をかけず大衆にアプローチするためには、TVや雑誌などに取り上げられる必要があると考えて、直接、環境関連のメディアにアプローチして取材をお願いしたこともありました。

それをきっかけに、TVやラジオ、新聞等にも取り上げていただき、幅広い年代の方々にリーチすることができたと考えております。実際に、地元紙を見たご年配の方から直接ご連絡をいただいたこともありました。

提供:HAYAMI/導入店舗写真

周囲にサポートを求めることも大切

-----学生生活と事業を両立させるのは大変ではありませんか?どんな困難があり、どのように乗り越えていますか?

大久保夏斗CEO:授業自体は農村開発など事業とのつながりもあり、より意欲的に取り組めています。

現在オンライン授業があるので、それに伴って小テストやレポート課題の提出が多くあります。それらを行いながら事業に関する取材やミーティングを行うことが続き、時間に追われるような時期もありましたが、ときどき仲の良い友達と遊びに行き気分をリフレッシュしています。

提供:HAYAMI

-----起業を成功させるために大切なことは、何だと考えていますか?仕事をするにあたって大切にしている行動や考え方を聞かせてください。

大久保夏斗CEO:1つ目は、どんなことがあってもしつこくやり続けることです。

草ストローの販売を開始した時は、小馬鹿にされたり、学生がやっているからと取引を拒否されたりすることもありました。また、ベトナム側との意見相違やクレーム対応など精神的に辛い思いをすることもたくさんありました。

しかし、諦めずにしつこく、少しでも多くのプラスチックを削減して、未来に繋がる活動をするという信念のもと行動した結果、ゼロから導入店舗100店舗突破を実現できたと思っています。

2つ目は、できないことは周囲に助けを求めることです。

甘えのようにも聞こえますが、できることとできないことを切り分けて、できないことは積極的に周囲のサポートを求めることが、少ないリソースの中で運営していくにおいて大切だと思っています。

幸いにも相模原市役所や地元紙、大学のOBの方々など、多方面からたくさんのご支援・ご協力をしていただいております。

現時点ではまだまだ0.1%くらいしかやりたいことは達成していませんが、今後も、支援してくださっている方々に恩返しできるように精進していきたいと思います。

コロナ禍の真っ最中でも、信念を持って積極的に行動し続け、事業を拡大させているHAYAMI。

環境に配慮した取り組みが世界的に注目を集める中、これから同社の事業はどのように広がっていくのか、期待が高まる。

出典元:HAYAMI

【関連記事】


hatenaはてブ


この記事の関連キーワード