HOMEインタビュー ワーホリやインターンを経て紆余曲折の結果、コロナ禍に起業した若手代表がその道を選んだ理由とは

ワーホリやインターンを経て紆余曲折の結果、コロナ禍に起業した若手代表がその道を選んだ理由とは

白井恵里子

2020/09/21(最終更新日:2020/09/21)


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小泉咲吾さん/提供:合同会社VentureBlossom

「やりたいことがあるけれど、どう行動に移せば良いか分からない」「起業してみたいがその決心がつかない」など、夢があるものの行動を起こせないという人は多い。

日本中の魅力的な食品・伝統ある工芸品を集めたECサービス「TripPicks」を9月にリリースした、合同会社VentureBlossomの代表・小泉咲吾さんにも、そのような時期があった。

「TripPicks」は、日本中の魅力あるごちそうや伝統ある工芸品をSNSやインターネットを通じて若者世代へ広く認知し、「いいね」という声を日本中へ、そして世界中へ届けることを目標としている。

小泉さんの夢は、「夢を語れる街を作ること」。その夢を叶えるため、これまでワーキングホリデーやインターンシップ、一般企業への入社など様々な経験をしてきた。

そうした紆余曲折の結果、同社を創業し、「TripPicks」を立ち上げた理由は何だろうか?起業という道を選んだ理由について、小泉さんを取材した。

「会社作ればいいじゃん」と言われ起業へ

小泉さんは1997年生まれ。

大学2年時に休学し、ニュージーランドへサッカー挑戦のため渡航した。セミプロ契約できたものの、結果が出ずシーズン終了後、サッカーを引退。しかし、ニュージーランドで出会った個人事業主や経営者らに影響を受け、帰国後ビジネススクールに通うことに。

次第に「自分でビジネスをしたい」と思うようになり、大学のイベント団体立ち上げや、リクルートキャリアやTeach For Japanでのインターンシップなどを経験した。

大学4年時にはビジネスに集中するため退学、投資用不動産会社や介護業界特化型人材紹介会社など、一般企業に勤めた後、4カ月間Web制作の勉強をして今年8月に同社を設立した。

ーインターンシップやビジネススクールなどをご経験後、なぜ起業という道にたどり着いたのですか?

小泉さん:起業はしたいと思っていたのですが、行動に移せないでいました。

人材紹介会社を退職後、将来独立しても最低限は生活するためにスキルが欲しくて、Web制作の勉強をしておりました。

そして、ある程度形になるものは作れたので、一度会社に入り実務を学ぼうと思い転職活動をしておりました。

転職における軸は「スキルを得るためにWeb制作かWebマーケティング」または「起業するために社長直下のポジション」のどちらかだったのですが、色々な方とお会いする中で、「会社作ればいいじゃん」と言われ、確かに1回やってみるか、というノリでした。

実際に起業をしてみると行動する気が起こったという小泉さん。当初は営業代行の受託ビジネスのみを展開していたが、「受託だけではこの先何があるか分からない」と考え、このたび自社サービスであるEC事業立ち上げに至ったそうだ。

旅行SNSという企画実現の種まきとして立ち上げ

ーECサイト「TripPicks」立ち上げの経緯を教えていただけますでしょうか。何かきっかけがあったのですか?

小泉さん:「TripPicks」はもともと、ライブ配信を用いた旅行SNSの企画でした。

この企画自体は2年前に考えたものですが、「このコロナ禍において旅行の市場が荒れている」「もしかすると大手よりも優位に立てるチャンスなのではないか」「旅行市場を取れば、旅行会社で勤めている元カノにアピールして再度惚れ直させることができるのではないか」等と考え、旅行市場を取るためのアイデア『ライブ配信を用いた旅行SNS』を進めることにしました。

小泉さんは、このアイデアに関し壁打ちをしていくなかで、ライブ配信プラットフォームのシステム開発にお金と人材が必要であることが分かったという。

VC(ベンチャーキャピタル)やアキュセラレーションプログラム運営会社に話をすると、「実績がなく、どれだけの需要があるかわからない」と一掃されてしまったため、実績・顧客・取引先を先に確保する手段として「TripPicks」を立ち上げたそうだ。

「TripPicks」では、全国のご当地食材や、若者に伝えていく価値のある伝統工芸品をはじめとし、ブランド力の弱い都道府県の旅行プラン、体験サービス、宿泊施設等、"旅行"をテーマとした商品やサービスを網羅的に扱う予定だ。

夢は「夢を語れる街を作ること」

ー今後の展望について詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

小泉さん:現状の旅行業界は、市場の大きさに比べて革新が遅いと感じております。

若年層はツアーパックを使わず、自らが行きたいところに気分で行く。

企業はここでしか得られない体験を提供しようとして高単価プランを作り、教育に力を入れるも、添乗員の仕事を1年目から頻繁に経験させると離職率が高くなりコストが余計にかかっている。

従業員としては若くして高いプランを経験できるのは良いけども、その分の責任から、疲弊してしまう。

そこにメスをいれたのが、移動と宿泊のみを販売する「フリープラン」と言われるものですが、より旅行会社の意味がわからない状態になってしまっていると思います。

「TripPicks」では、これからの日本を作る若年層をメインターゲットとしています。

ユーザー側のメリットは「1人旅をより楽しく」、企業側のメリットは「企業発信の広告ではなく、ユーザー発信の口コミとしてのサービス成長」です。

「TripPicks」やその先にある旅行SNSでは、ユーザーがライブ配信を用いて、地方の魅力や食べもの、泊まった場所、使ったツアーの生の声を届けることで、視聴者が「次の休日にここに行きたい」「行くまでではないけれどネット注文をしようかな」と触発される導線をはり、取引先である事業主の認知へと繋げていくことを目指すという。

弊社は、旅の情報をユーザーへ届けコンテンツを活発にする役目と、事業主様の代理販売をする役目を担います。

サービスが大きくなるにつれ、代理販売のみならず、自社で旅行会社を立ち上げ、ユーザーが作るツアープランやインフルエンサーが回ったプラン、若者が興味を示す尖ったプラン等を販売し、業界を革新させます。

若者に「働くことが苦しい」と感じさせないためにも、このサービスを開発する必要があると考えています。

小泉咲吾さん/提供:合同会社VentureBlossom

小泉さんの最終的な夢は、「夢を語れる街を作ること」だ。そのための手段として起業があり、「TripPicks」やその先の旅行SNSといった事業があるという。

「夢を語れる街作り」についてはまだイメージですが、夢を語ると「現実を見せるのが大人の役目」と言う人に出会う時があると思います。

もちろんそう言う人も必要であると思いますが、僕の考える大人の役目は「夢を実現させるためにどう歩むか」を教えることだと考えております。

親や教師、近所のおじちゃん、お店の人、警察官といった職業を超えて身近な大人達が協力する必要があるのです。

村人全員が夢を大小関わらず夢をもち、先人である大人が子に道のりを教える。

失敗をポジティブに考えられる人が多く、「楽しい人生」を送っていると考えられる人々。

この考えが事業に表れ、街がブランド化して外にも影響を与える。

この街を作れたら僕の人生はいかに幸せだろうか。これは僕のエゴなのかもしれませんが、そう考えています。

小泉さんは、その夢を実現させるべく、将来的には"まるで一つの街のような存在"である「旅館」を経営したいと展望を語る。

彼にとっては、起業は夢を叶えるための手段だ。誰かに「やってみたら?」と言われたという理由であっても、踏み出した一歩は確実なもの。まだ20代前半という若き起業家の挑戦は、志高い若者たちに踏み出す勇気を与えてくれそうだ。

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